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諸葛亮と呼ばないで〜陰キャ高校生ダイエット部の軍師になり無双  作者: 座山食空
第二章 勝ち得たもの、失われていくもの
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第九話 呂布キレる

十月末。


空気は冷たくなり始めていた。


文化祭も終わり。


少し浮ついた空気が、

学校から抜け始めていた頃。


事件は起きた。



放課後。


旧校舎第三準備室。


「いやだからさー」


劉備小桃が笑う。


「赤壁って結局ノリだよな!」


「絶対違います」


周瑜先輩が突っ込む。


関羽先輩は、

低糖質プリンを食べていた。


石嶺先輩は新作おからクッキーを焼いている。


僕はホワイトボードに、


『モルック冬季布陣案』


とかいう意味不明なものを書いていた。


平和だった。


その時。


ドン。


静寂。


呂布だった。


武田猛。


130kg超。


最近少し痩せた。


だが。


今日は様子がおかしかった。


俯いている。


震えている。


「……呂布?」


劉備小桃が言う。


その瞬間だった。


「なんなんですかこの部活はぁぁぁぁ!!!」


部室が揺れた。


全員固まる。


窓ガラス震えてる。



「三国志研究会なのに!!」


ドン!!


机。


「誰も三国志勉強しないし!!」


「すみません」


僕は即謝った。


「モルック部なのに!!」


ドン!!


「誰も真剣に練習しないし!!」


「いやしてるだろ!?」


関羽先輩が言う。


「関羽先輩この前焼き芋食べながら投げてたじゃないですか!!」


「バレてた」



呂布は止まらなかった。


「孔明先輩!!」


「はい!」


「諸葛亮なのに街亭の布陣説明できないじゃないですか!!」


「だから僕ふわっとしか知らないんですって!」


「劉備部長!!」


「はい!」


「“三顧の礼”を“三回くらいお願いしたやつ”って説明してましたよね!?」


「だいたい合ってる!」


「合ってません!!!」


部室崩壊寸前だった。



数分後。


なぜか。


反省会になっていた。


「……」


全員正座。


怖い。


呂布が腕を組む。


完全に鬼教官だった。


「このままではダメです」


「はい……」


「部活には規律が必要です」


「はい……」


「まず朝五時ランニング」


「早い」


「その後三国志武将百人暗記」


「多い」


「さらに放課後モルック千本ノック」


「ブラック部活!」


だが。


圧がすごかった。


呂布。


本気だった。


劉備小桃が震えながら言う。


「……わ、わかった!」


「部長!?」


「やろう!」


「なんで!?」


「天下統一には犠牲が必要だ!」


「絶対違う!」



翌日。


朝五時。


河川敷。


「……」


「……」


「……帰りたい」


誰も喋らなかった。


寒い。


暗い。


眠い。


呂布だけ元気だった。


「走りますよ!!!」


「うおおおお!!」


怖い。



三日後。


誰も来なくなった。



放課後。


部室。


死屍累々。


関羽先輩が机へ突っ伏している。


「無理……」


「朝五時は人類には早い……」


周瑜先輩も死んでいた。


「武将百人暗記ってなんだよ……」


劉備小桃は魂が抜けていた。


「天下統一って大変なんだな……」


「だから違いますって」


だが。


呂布だけは普通だった。


いや。


むしろ輝いていた。



その時。


石嶺先輩が部室へ入ってきた。


「あれ?みんな顔死んでる」


「呂布が……」


関羽先輩が震える。


石嶺先輩は状況を聞き。


そして。


呂布を見た。


「武田くん」


「は、はい!」


瞬間で姿勢が良くなる。


「頑張るのはすごく良いと思う」


「……!」


「でもね」


少し笑う。


「楽しくないと、続かないよ?」


静寂。


呂布が固まる。


数秒後。


「……はい」


めちゃくちゃ素直だった。


しかも。


笑顔。


怖いくらい笑顔。


「すみませんでした」


「解決した!?」


石嶺先輩、

最強だった。



だが。


呂布自身は変わらなかった。


朝ラン。


筋トレ。


三国志暗記。


モルック練習。


全部続けた。ストイックに。


一人だけ。


そして。


十一月。


「……あれ?」


周瑜先輩が言う。


「呂布、痩せてね?」


痩せていた。


-10kg。

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