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諸葛亮と呼ばないで〜陰キャ高校生ダイエット部の軍師になり無双  作者: 座山食空
第二章 勝ち得たもの、失われていくもの
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第八話 周瑜、マリア学園のモルック部の一番かわいい子とつきあってる説

「……これは黒だな」


十月下旬。


放課後。


旧校舎第三準備室。


劉備小桃が真顔で言った。


ホワイトボード。


そこには。


『周瑜恋愛疑惑』


怖い。


「なんなんですかこの部活」


僕は頭を抱えた。


だが。


確かに最近、

周瑜先輩は怪しかった。



まず。


スマホを見る回数が増えた。


しかも。


ニヤけている。


怖い。


さらに。


「今日ちょっと先帰るわ」


が増えた。


そして決定的だったのは。


聖マリア学園モルック部。


その中でも。


一番かわいいと言われている。


長身。


黒髪。


クール系。


名前は確か、

橘さん。


周瑜先輩と。


普通に距離が近い。


「……」


「……」


「……付き合ってるだろ」


劉備小桃が断言した。



「いやでも」


僕は言う。


「周瑜先輩ってそういうの隠しそうじゃないですか」


「だから怪しい」


「探偵に向いてない思考だな部長」


だが。


劉備小桃は燃えていた。


「尾行するぞ孔明!」


「嫌です」


「天下のため!」


「絶対違う」



翌土曜日。


立川駅北口。


人混み。


秋空。


僕は死んだ目をしていた。


「なんで僕まで」


「二人だと自然だからだ!」


「尾行に自然も何もないだろ」


その時。


「あっ!」


劉備小桃が僕の腕を掴む。


近い。


「周瑜いた!」


「やはりな、我が視力3.0の目で、やつの携帯を盗み見た結果、土曜日、立川北口10:00という文字が見えた、あやしいとおもったのだ」


「マサイ族?」


柱の陰。


見る。


周瑜先輩。


私服。


なんか普通にかっこよかった。


悔しい。


そして。


数分後。


来た。


聖マリアの橘さん。


「うわ」


「うわって言うな」


普通にかわいかった。


映画のポスターみたいだった。



「……追うぞ」


「刑事ドラマみたいに言わないでください」


だが。


気づけば僕たちは尾行していた。


立川モノレール。


ららぽーと。


カフェ。


雑貨屋。


完全にデートだった。


「黒だな」


劉備小桃が頷く。


「黒ですね」


でも。


そのうち。


なんか。


おかしくなってきた。


「これ食べる?」


「え、あ、ありがとうございます」


気づけば。


僕と劉備小桃も、

普通にクレープ食べていた。


「……」


「……」


なんだこれ。



昭和記念公園。


秋の風。


少し冷たい。


富士山が少しだけ見える。


前方では、

周瑜先輩と橘さんが歩いている。


後方では。


僕と劉備小桃が歩いていた。


「……」


「……」


妙に静かだった。


その時。


劉備小桃が言った。


「なぁ孔明」


「はい?」


「最近さ」


風。


髪。


夕陽。


「なんか変わったよな」


「……」


「前はもっと、うさんくさかったけど」


ドクン。


「今は」


少し笑う。


「ちゃんと頼りがいがある」


その瞬間。


なんか。


胸が苦しくなった。


その時だった。


前方。


周瑜先輩が振り返る。


静止。


目が合う。


「……」


「……」


「……お前ら何してんの?」


終わった。



数分後。


池の横。


公開処刑。


「尾行?」


周瑜先輩が呆れていた。


橘さんは笑いを堪えている。


「いやこれはですね」


「劉備が全部言い出した」


「孔明裏切ったな!?」


その時。


橘さんが笑った。


「付き合ってないよ?」


静寂。


「え?」


「普通にモルック用品と公園のモルック練習場見に来ただけ」


「……」


「……」


「……」


最悪だった。


だが。


その時。


橘さんが周瑜先輩を見る。


「でも」


少し笑う。


「そう見えた?」


周瑜先輩が珍しく固まった。


「……」


「あっ」


僕と劉備小桃が同時に言った。


これは。


まだ始まっている途中だ。


池越しの風が吹く。


夏とは違う空気。


関係は少しずつ変わり始めていた。


「黒?」


「限りなく透明に近い黒」


僕と劉備小桃はうなずきあった。

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