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諸葛亮と呼ばないで〜陰キャ高校生ダイエット部の軍師になり無双  作者: 座山食空
第二章 勝ち得たもの、失われていくもの
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第六話 曹操会長のメッセージ(忘れられないHeat&Soul)

文化祭前日。


放課後。


校内は完全に浮ついていた。


段ボール。


絵の具。


脚立。


謎のテンション。


青春だった。


「うおおおおお!!!」


劉備小桃が叫ぶ。


「文化祭前夜祭ぃぃぃ!!!」


「声でかい」


現在、

ダイエット部(三国志研究会)は、

文化祭準備に追われていた。


『モルック体験会』


『低糖質カフェ』


『石嶺先輩監修』


完全に人気出そうだった。


そして実際、

めちゃくちゃ人気だった。



「石嶺先輩いますか!?」


「整理券もうないんですか!?」


「関羽先輩と写真撮りたいです!」


「えっ俺!?」


最近、

関羽先輩が本当にモテていた。


特に女子一年。


「なんかかわいい」


「包容力ありそう」


「優しそう」


「大型犬感ある」


「大型犬ってなんですか……?」


本人はまだ混乱していた。


その横で。


呂布こと武田猛。


「……」


女子から話しかけられるたび、

挙動不審になっていた。


「呂布くんモルックすごいね!」


「ふぁっ」


それを思い出しては吹いた。


麦茶を。


「汚っ!!」


部室が騒然となる。



その時だった。


ガラッ。


静寂。


空気が変わる。


「……」


曹操会長だった。


桑田慶介。


今日も無駄に威圧感がある。


黒シャツ。


腕組み。


完全に裏社会。


「会長!」


劉備小桃が敬礼する。


「来たか曹操!」


「……視察だ」


絶対違う。


この人、

普通にダイエット部が好きなんだと思う。


その時。


会長は静かに周囲を見回した。


文化祭装飾。


低糖質スイーツ。


モルック。


騒ぐ部員。


そして。


「……」


僕を見る。


嫌な予感。


「孔明」


「はい?」


「お前、最近モテてるらしいな」


静寂。


「違います」


即答した。


だが。


「耳を澄ませ、聞こえてくるぞ、『爆発しろ!』の怨嗟の声が」


「……」


「……」


「爆発しろ」


「あんたが今言ったんだろ!?」




その時。


校内放送。


『文化祭前夜祭カラオケ大会、まもなく開始しまーす』


ざわっ。


周囲が反応する。


そして。


劉備小桃がゆっくり振り向いた。


嫌な予感。


「……曹操」


「なんだ」


「今年も出るよな?」


静寂。


会長は少しだけ目を閉じた。


そして。


「……仕方あるまい」


終わった。



数十分後。


体育館。


超満員。


照明。


歓声。


「次の出場者は――」


司会が叫ぶ。


「三年!桑田慶介くん!!」


うおおおおおお!!!


女子悲鳴。


男子歓声。


なんなんだこの人。


そして。


イントロ。


サザンオールスターズ。


『真夏の果実』


「また季節ズレてる」


九月末だった。


しかし。


歌が始まった瞬間。


空気が変わった。


うまい。


めちゃくちゃ。


体育館全体が静まる。


「……」


「……」


「……」


歌が始まると打って変わって周囲の女子が完全に落ちていた。


劉備小桃まで聞き入っている。


関羽先輩が泣いていた。


「なんで泣いてるんですか」


「秋が……沁みる……」


情緒が終わってる。



歌い終わる。


拍手。


大歓声。


そして。


会長は静かにマイクを持った。


「……青春とは」


始まった。


「減量である」


「違います」


会場爆笑。


会長は少し笑った。


「だが」


静かに言う。


「無駄な時間ではない」


体育館が静かになる。


「遠回りも、失敗も、全部後で効いてくる」


その瞬間。


僕は少しだけ思った。


この人。


普段ふざけてるけど。


たまに、

めちゃくちゃ良いこと言う。


その時。


会長がこちらを見た。そしてまるで僕に言うように、



「みんなも、選べるうちに、ちゃんと選べ」


「……え?」


意味深だった。


めちゃくちゃ。


でも。


その時の僕には。


まだ。


何を言われたのか、

ちゃんとはわからなかった。


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