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諸葛亮と呼ばないで〜陰キャ高校生ダイエット部の軍師になり無双  作者: 座山食空
第二章 勝ち得たもの、失われていくもの
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第二話 新しい部員 呂布

「このままではまずい」


放課後。


旧校舎第三準備室。


劉備部長は深刻な顔で言った。


「部室が狭い」


「はい」


「人が多い」


「はい」


「あと明らかに石嶺先輩目的が多い」


「はい」


部室外。


「石嶺先輩いますか〜!」


「低糖質スイーツ教わりたいです!」


「関羽先輩もかっこいいです!」


「えっ俺!?」


関羽先輩がまた赤くなっていた。


慣れてない。



現在。


入部希望者。


四十七名。


多すぎる。


完全にバブルだった。


「選別が必要だ」


周瑜先輩が腕を組む。


「だがどうする?」


「面接?」


「絶対カオスになる」


「モルック実技?」


「ただの球技大会になる」


その時だった。


劉備部長が立ち上がる。


嫌な予感。


「やはり――」


来た。


「三国志研究会らしく」


嫌な方向だ。


「三国志筆記試験だ!!!」


「終わった」



翌日。


教室。


静まり返る空気。


配られる問題用紙。


『織冠高校ダイエット部(三国志研究会)入部試験』


怖い。


しかも。


作問者。


劉備部長&周瑜先輩。


終わっていた。



問題例。


『問題1

蜀漢南征時、藤甲兵を率いた武将の名を答えよ』


「知らねぇよ!!」


一年生が叫ぶ。


『問題2

馬謖が街亭で行った致命的失策を簡潔に述べよ』


『問題3

次のうち実在した武将を選べ

A・張苞

B・兀突骨

C・胡烈

D・全部』


「兀突骨って何!?」


「骨!?」


「人類!?」


教室がざわつく。


僕も普通にわからなかった。


「……」


ちなみに。


僕も受けさせられていた。


劉備部長曰く、


「孔明なら満点だろ!」


とのことだったが。


無理だった。


僕の三国志知識、

完全に“なんとなく”だった。


「赤壁で燃やした人たち」


くらいしか知らない。



そして。


結果発表。


静寂。


劉備部長が答案を見つめる。


周瑜先輩も固まっていた。


「……」


「……」


「全滅だな」


「全滅ですね」


四十七人。


全滅。


平均点、

9点。


しかも、名前を漢字で書けば5点というボーナスがついての9点。実質4点。


低すぎる。


「おかしい……」


劉備部長が震える。


「なぜだ……」


「問題だろ」


僕は即答した。


その時。


周瑜先輩が一枚の答案を持ち上げる。


「……いや」


「?」


「一人だけいる」


静寂。


全員が振り向く。


答案。


九十八点。


「!?」


「化け物か?」


名前欄。


『一年 武田猛』


「誰?」



数分後。


部室。


ガラッ。


床が少し揺れた。


「失礼します……」


でかかった。


めちゃくちゃ。


一年生。


130kg超え。


汗。


メガネ。


三国志Tシャツ。


しかも。


柄が董卓だった。


怖い。


「武田猛です……」


声は小さい。


だが。


目だけ異様に輝いていた。


「試験、すごかったな!」


劉備部長が感動している。


「兀突骨まで答えるとは!」


武田は少し照れた。


「南蛮編好きなので……」


ガチ勢だった。


その時。


僕は気づいた。


この人。


モルックにもダイエットにも全く興味なさそう。


実際。


周瑜先輩が聞いた。


「ちなみに何目的で入部を?」


武田は即答した。


「石嶺先輩です」


「終わった」


さらに。


「ABEMAで見て……」


「はい」


「低糖質蒸しパンの回で好きになりました……」


「キモい!」


劉備部長が叫ぶ。


武田はしゅんとした。


だが。


その巨体。


その怪力。


そして。


後に“呂布”と呼ばれ、

モルック部史上最強のエースとなり。


大学卒業後、

日本初のプロモルッカーとして世界大会へ挑むことを。


この時、

まだ誰も知らなかった。



一方その頃。


部室奥。


「お前の問題だろ!」


「いや兀突骨は常識!」


「常識じゃねぇ!!」


劉備部長と周瑜先輩が責任のなすりつけ合いをしていた。


「そもそもなんで藤甲兵出した!」


「お前が南蛮編推したんだろ!」


「孔明!」


急に振られた。


「はい?」


「お前なら解けたよな!?」


静寂。


僕は目を逸らした。


「……」


「孔明?」


「僕、32点でした」


「低っ!!実質27点じゃん!」


部室が揺れるほど笑いが起きた。


その時。


武田が静かに呟いた。


「……街亭で山に布陣したのは、正直ありえないと思います」


空気が止まった。


「あっ」


周瑜先輩が言う。


「こいつ本物だ」


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