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第二十話 劉備先輩の家で合宿 火計

朝。


劉備部長の家。


いや。


改めて見ると広い。


普通の高校生の家じゃない。


庭あるし。


縁側あるし。


なんか池まである。


「お前ん家、地味に豪族じゃない?」


僕が聞くと、


「昔、じいちゃんが土地持ってた」


と劉備部長は雑に答えた。


なるほど豪族だった。



早朝六時。


居間。


僕たちは低糖質朝食を囲んでいた。


鶏胸肉。


ゆで卵。


味噌汁。


そして。


レモン汁。


「……」


僕はレモン汁を飲みながら呟いた。


「火計……」


静寂。


曹操会長がゆっくり顔を上げる。


「……まさか」


劉備部長も反応する。


「孔明……!」


周瑜先輩が嫌な顔をした。


「絶対ロクでもない」


僕は静かに頷く。


「はい」


そして。


言った。


「サウナです」


沈黙。


「サウナ?」


関羽先輩が首を傾げる。


「駅前の銭湯のサウナで“ととのう”」


「ととのう」


「汗の蒸発によりカロリーを消費する」


「おお……!」


劉備部長が感動していた。


「火計だ……!」


「いや普通にサウナです」


でも。


実際悪くない案だった。


もちろん脂肪が急激に減るわけじゃない。


だが。


発汗。


リフレッシュ。


モチベーション。


そして何より。


「皆、無理せず自分のペースで」


僕は言う。


「水分補給はちゃんとして、危なかったらすぐ出る」


「……」


「サウナは戦争じゃありません」


「今まで全部戦争だったのに」


周瑜先輩が突っ込む。


その時だった。


なぜか。


全員が僕を見ていた。


「……なんですか」


劉備部長が小声で言う。


「最近ほんと軍師っぽいな」


「やめてください」


でも。


ちょっと嬉しかった。



数時間後。


駅前銭湯『極楽湯殿・赤壁の湯』


絶対狙ってる名前だった。


暖簾。


下駄箱。


昭和っぽい匂い。


「うおお……」


関羽先輩が感動している。


「これがサウナ……」


「初めてなんですか?」


「俺、スーパー銭湯で飯しか食ったことなかった」


「サウナ入れよ!」


そして。


男たちは戦場へ向かった。



熱い。


めちゃくちゃ熱い。


サウナ室。


テレビ。


無言のおじさんたち。


そして。


滝のような汗。


「ぐっ……!」


劉備部長が震える。


「これが……火計……!」


「だから普通にサウナです」


関羽先輩は汗だくだった。


というか。


汗量が尋常じゃない。


「関羽先輩、溶けてません?」


「脂肪が……燃えている……」


なんか語彙まで熱気で溶けていた。


その時。


曹操会長が静かに言う。


「……まだだ」


「え?」


「サウナの本番は」


ゆっくり立ち上がる。


「水風呂だ」


ざわっ。


周囲のおじさんまで少し反応した。


なぜか説得力がある。



そして。


水風呂。


「うわぁぁぁぁぁ!!」


クールな周瑜先輩が珍しく叫ぶ。


「冷たっ!!」


「死ぬ死ぬ死ぬ!!」


関羽先輩は半分溺れていた。


しかし。


数秒後。


「あっ……」


静寂。


風。


露天スペース。


青空。


遠くの電車の音。


「……」


誰も喋らなかった。


いや。


喋れなかった。


気持ちよすぎて。


その時。


僕は立ち上がった。


なんかテンションが上がっていた。


「いいですか皆さん!!」


「始まった」


周瑜先輩が呟く。


僕は叫んでいた。


「サウナの本体は!!」


風。


蝉。


水滴。


「水風呂です!!!」


「おおおおお!!」


なぜか拍手が起きた。


おじさんまで頷いている。


「熱とは!」


僕は止まらなかった。


「冷たさがあるから成立する!!」


「深そうで浅い!」


周瑜先輩が笑う。


でも。


なんか。


めちゃくちゃ気持ちよかった。


その時。


曹操会長が静かに言った。


「孔明」


「はい?」


「お前、将来なんか変な宗教作りそうだな」



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