第十八話 ダイエット甲子園 予選
「それでは最初の競技を発表します!!!」
高島政伸が叫ぶ。
スポットライト。
大歓声。
無駄に壮大なBGM。
全国高校ダイエット甲子園、
第一種目――。
「ダイエット知識!○×クイズぅぅぅ!!!」
会場がどよめく。
「うわぁ……」
周瑜先輩が嫌そうな顔をした。
「一番運ゲーだ」
だが。
高島政伸は続ける。
「ここで各地区、30チームまで絞ります!!」
「えっ!?」
関羽先輩が叫ぶ。
「そんな減るの!?」
「現在関東予選、参加校は87チーム!」
多すぎる。
「つまり半分以上脱落です!!!」
ざわざわ。
空気が緊張し始める。
その時。
劉備部長がこちらを見た。
「孔明」
「はい」
「頼んだ」
「いや僕そんな栄養士じゃないですよ」
でも。
正直。
ちょっと自信はあった。
この数ヶ月。
僕たちは勉強そっちのけで妙に健康知識を学んでしまっていた。
低糖質。
GI値。
脂質。
基礎代謝。
プロテイン。
ラカント。
なぜ高校生活でこんな知識が増えたんだろう。
*
巨大ステージ。
床には○と×。
チームごとに移動する形式らしい。
完全にテレビ番組だ。
「第一問!!!」
高島政伸が叫ぶ。
「夜八時以降に食べると太りやすい!○か×か!!」
「うわ、微妙」
僕は考える。
厳密には総摂取カロリー次第。
でも一般論なら……。
「○!」
僕たちは○へ移動した。
結果。
「正解はぁぁぁ!!」
ドラムロール。
「○ぉぉぉ!!!」
歓声。
いきなり20チームくらい消えた。
怖い。
*
第二問。
「脂肪は筋肉へ変わる!○か×か!!」
「これは!」
関羽先輩が叫ぶ。
「×だ!!」
「おおっ」
成長してる。
「脂肪細胞と筋肉は別物!」
「関羽先輩すごい」
「最近YouTubeで見た」
現代知識だった。
正解。
また減る。
*
第三問。
「レモン汁を飲むだけで痩せる!○か×か!!」
「うっ」
全員こちらを見る。
「孔明……」
「いや、雰囲気作りです」
「ですよね」
正解は×。
なんかちょっと恥ずかしかった。
*
問題は進む。
「ウォーキングは20分以上しないと意味がない!○か×か!」
「×!」
「筋トレ後は基礎代謝が上がる!○か×か!」
「○!」
「糖質は完全にゼロにすべき!○か×か!」
「×!!」
いつの間にか。
僕たちはかなり知識がついていた。
劉備部長ですら答えている。
成長って怖い。
その時。
高島政伸がニヤリと笑った。
「ではここで難問です!!!」
会場がざわつく。
「問題!!」
ドン!!
大型モニター。
『ダイエット中、チートデイは必須である。○か×か』
静寂。
「うわ……」
周瑜先輩が顔をしかめる。
難しい。
人による。
減量停滞期では有効説もある。
でも。
“必須”ではない。
「……×」
僕は言った。
みんな頷く。
移動。
結果。
「正解はぁぁぁ!!」
ドラムロール。
長い。
無駄に長い。
「×ぃぃぃ!!」
「よっしゃぁぁ!!」
関羽先輩がガッツポーズする。
その瞬間。
後ろから悲鳴。
振り返る。
『黒龍工業』
全滅していた。
「チートデイがぁぁぁ!!」
「我々の希望がぁぁぁ!!」
怖い学校だな。
*
そして。
最終問題。
「これに正解したチームが予選突破となります!!!」
緊張。
会場静止。
高島政伸が叫ぶ。
「ダイエットで最も重要なのは――」
沈黙。
スポットライト。
「継続である!!○か×か!!」
その瞬間。
僕たちは顔を見合わせた。
そして。
笑った。
「○」
全員同時だった。
移動。
そして。
「正解はぁぁぁ!!!」
ドラムロール。
会場の空気。
心臓。
汗。
「○ぉぉぉぉぉ!!!」
歓声。
拍手。
モニターへ表示される。
『織冠高校ダイエット・モルック戦略研究部 一次予選突破』
「うおおおおおお!!!」
関羽先輩が泣いていた。
劉備部長も叫ぶ。
「天下取りだぁぁぁ!!」
「まだ30校です」
でも。
嬉しかった。
すごく。
その時。
聖マリア学園の子たちが手を振ってきた。
「おめでとー!」
「ありがとー!」
関羽先輩の声だけ裏返っていた。
そして。
黒龍工業主将もニヤリと笑う。
「次は潰す」
「うわ怖っ」
でも。
その言葉すら。
なんだか楽しかった。




