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勇者祭4 米衆連合国編  作者: 牧野三河


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第45話


 今日のわんちゃんは、トミヤスさんの所に居る、イザベルちゃん。

 97歳のいたずら盛りで、元気一杯。


 あっ。イザベルちゃんが起きましたよ。

 まだ眠そう。


「はあー・・・ふ」


 皆寝ているのに、早起きです。

 イザベルちゃんが寝袋から出て来ました。

 ごそごそして、可愛いですね。


「んん・・・」


 ここは馬車の中。

 イザベルちゃんが何かを引っ張り出しました。


 あっ。きょろきょろ後ろを見ています。

 いたずらが見つかってしまうかも!


「むう・・・」


 あれはイザベルちゃんのつなぎです。

 いたずらではありませんでした。

 くん、くん。


「まだ・・・まだ持つか・・・な・・・今夜は洗わねば」


 念入りにつなぎを見ています。

 虫が着いていたら大変!


「よし」


 あっ。今度は着込み。

 季節は涼しくなっていますが、それでも砂漠の昼は暑いですよ。

 イザベルちゃん、大丈夫?


「うむ」


 髪にはきちんと椿油。

 イザベルちゃんの毛並みはさらさらです。

 尻尾にも忘れずに。


 ちゃんと髪を上げています。

 着込みに引っ掛かったら大変ですからね。


「イザベル様」


「む、カオル殿。おはようございます」


 馬車をひょっこり覗いたのは、カオルさん。

 トミヤスさんのご家臣です。

 同じ家臣ですが、イザベルちゃんの大先輩。

 イザベルちゃんも、カオルさんには頭が上がりません。


「そろそろ、食事量を制限致しましょう。次の町までまだ3日ございます」


「ふむ。微妙な量ですね。何らかの事故など、足止めをくうと困ります。少し余裕は欲しい所です」


 本当に?

 イザベルちゃんは、食べ盛り。ちょっと残念。


 あれ? カオルさんが遠くを見ていますよ。

 イザベルちゃんも気になってしまいます。


「そろそろ山脈も近くなって参りました。2日・・・も、あれば、少しは緑が増えましょう。獣も増えます。また狩りも宜しいかと」


「そこらに入れば、馬が」


「はい。しかし、あまり山には近付かないように致しましょう。街道から離れず。この辺り、危険な獣も多うございます。熊、ジャガー、野犬の群れ。熊、ジャガーは単独なので良いですが、野犬の大きな群れがあると少々」


「確かに・・・」


「けぇーっ!」


 あっ! イザベルちゃんが驚いています。

 これはトミヤスさんの奥様、クレールさんの隼です。


「何!? 何者か参るか!」


「街道を走る輸送隊か、行商人かもしれません。慎重に」


「カオルさん。イザベルさん」


 あっ! トミヤスさんが起きました。

 イザベルちゃん、尻尾を振っている場合ではありませんよ。


「ご主人様、何者かが」


「はい」


 奥にはトミヤスさんのお友達、ハワードさんが居ます。イザベルちゃんも仲良し。


「マサヒデさん」


 わあ! ハワードさんはイケメンですね!

 イザベルちゃんが仲良しになるのも納得!


「何者かが」


「はい。隼はあちらを向いています。あっちですね」


「後ろですか・・・あのゴミクズ共の追手でしょうか」


「ありえます」


 喋りながら、ハワードさんがお手伝いをしてもらって、鎧を着ています。

 わあ! ぴかぴかですよ!


「逃げますか。斬りますか」


「相手次第」


「マサヒデ様、ハワード様、そう血気に逸らず。ただの行商人かもしれませぬ」


 イザベルちゃん。そんな事を言って、目が鋭いですよ。

 小さなお子様がいたら、泣いてしまいそうです。


「む・・・」


「カオル殿の偵察を待ちましょう。シズク殿!」


「うぁああ~い・・・へいへい」


 この欠伸をしている人は、シズクさん。

 マサヒデさんのお友達です。

 この角と、肌の色! そう。シズクさんは、鬼族なんです!


「一番目の良いのはシズク殿であるぞ! さあ! 起きよ!」


「んん~・・・うん」


 シズクさんは、まだおねむ。

 寝袋を下に敷いて、わあ! なんと、布団はバッファローの毛皮です!

 ワイルドな女性って、憧れてしまいますよね。


「水だけ飲ませてよう・・・」


「早く飲んで行け! 追手であったらどうする!」


「だあいじょうぶだってえ・・・軍隊でも来なきゃ平気だってえ・・・」


「その軍隊であったらどうするのだ! 行け!」


「へいへい」


「返事は一度!」


 イザベルちゃん、シズクさんには厳しいですね。丁度良い遊び相手です。


「へえーい・・・カオル、行こうぜ」


「参りましょう」


 さあ、イザベルちゃんはどうするのでしょう。


「はっ!?」


 あれ? この子はもしかして?

 そう。トミヤスさんの奥様、クレールさん。

 イザベルちゃんとは、古ーいお友達なんです。


「マサヒデ様! ハヤブサちゃんの念が送られてきました! 凄い速度でこちらへ向かっております!」


「騎乗!」


「「「「ははっ!」」」」


 ハワードさん達が馬に乗りました! 格好良いですね!


「マサヒデ様!」


「ラディさん! トモヤ! クレールさんの側に! クレールさん! 壁作って!」


「はい!」

「おう!」

「はいっ!」


 うわあ! あっという間に壁が出来ました!

 クレールさんの魔術は凄いですね!


「ご主人様!」

「マサちゃん!」


 カオルさんとシズクさんが戻って来ました!

 この顔はただ事ではなさそうです!


「凄い速さです! 四半刻はかからぬかと!」


「魔術師ですか!?」


「おそらく! 物凄い砂煙が見えます! 地面すれすれを、風の魔術で飛んでおるかと存じます!」


「馬では逃げられませんか! 迎え討つしかないですね! イザベルさん! 弓、鉄砲の準備!」


「は!」


 イザベルちゃんが馬の鞍から取り出したのは、特製の弓。

 なんと、引き10貫。80ポンド以上です。

 普通の矢もありますが、今日は矢も特製!


「よし!」


 イザベルちゃんが取り出したのは、なんと総鉄製の矢!

 鉄砲に負けないように、特別に作りました!

 でも、数は少ないですよ。あまり使わない方が良いでしょう。

 あっ。普通の矢も持っていくんですね! 用心深い! さすがイザベルちゃん!


 わあ! 今度は鉄砲を出しました!

 格好良い! がちゃっと横に出して、からからーって回してます。

 映画やアニメで良く見るあれですね。


 この鉄砲は、この米衆連合に来る少し前まで、ラディさんが使っていた物です。

 お下がりですけど、イザベルちゃんは気に入ってるみたい。


「マサヒデ様! 弓、鉄砲、整いました!」


「馬車の下に!」


「は!」


 イザベルちゃんが、馬車の下に潜ってしまいました。

 大先輩のカオルさんは・・・あれ? どこに行ったのでしょう?


「ご主人様! 準備出来ました!」


 あれ? カオルさんの声は聞こえますけど・・・どこでしょう?

 あっ! あんな所に!

 地面そっくりの色の布を被っていました!


 ああ! 来ました! 凄い砂煙! 何が来たんでしょう!


「む!?」

「てめえは!」


 あっ! この人は、マサヒデさんと試合をした人!

 なんと、裏の闘技場で一番だった人です!

 そう、チャンピオンなんです!


「はーっ、はーっ・・・」


 疲れていますねえ。街道をずっと走って来たみたい。


「トミヤスさんよお・・・」


「なんです」


「握手、してくれよ・・・頼むよ・・・俺、本当にファンなんだよ。すげえファンなんだよ。頼むよ」


 シズクさんがトミヤスさんを見ています。

 大丈夫でしょうか?

 見た事のない人が多いでしょう。この人は、なんと虎族の方なんです。


 あっ。マサヒデさんが歩いて行きます。

 本当に?

 虎族って、怖い人が多いって聞きますけど・・・


「はい」


「ううっ! ありがとう! トミヤスさん!」


 わあ! 虎族の人が泣いてしまいました!


「俺、俺、もうあの闘技場から出たんだよ! 日輪国、行くよ! ちゃんと修行してるよ! 絶対、絶対、帰って来てくれよ! 待ってるからよ!」


「マスダさん」


「じゃあ、よ。驚かしちまったと思うけどよ。船、あるから・・・俺、行くぜ! 絶対、日輪国で一番の空手家になるからよ!」


「ふふ。待った待った。今の空手って、マスダさんの空手と全然変わってしまいました。でも、良かったら、マガチさんという方を探してみて下さい。旅の空手家ですが、4年連続の空手世界王者なんです」


「世界王者」


「人族で、素手で、イザベルさんに効かせられるくらいです」


「イザベル・・・って、あの狼族?」


「そう。今の空手、マスダさんから見たら、遊びみたいなものに見えるかもしれません。でも、本物は居るんです。人族で狼族に効かせるって、凄くないですか? マスダさんは虎族だから・・・龍人族の武術家と戦って、効かせるくらいでしょうか」


「そんな空手家がいるのか!?」


「はい。人族だから、マスダさんなら一捻りでしょう。でも、遥か上の種族に、拳の殴り合いで勝てる人って、居るんです。絶対、会って損はないはず」


 猫ちゃんの嬉しそうな顔!

 見ている私も、思わずほんわかしてしまいます。


「そうか、日輪国にゃ、そんな空手家がいるのか!」


「殺したりしないで下さいよ」


「しねえよ! 遥か上の種族に素手で勝てるってなあ! そんなの、オヤジしかいねえって思ってたよ。旅の空手家かあ・・・会いてえなあ・・・オヤジの故郷、すげえなあ! な、なあ・・・あのさ・・・」


 チャンピオンがもじもじ。可愛い!

 虎と言っても、やっぱり猫ちゃんなんですね!


「俺、トミヤス道場、行っても良いか?」


「勿論。紹介状は必要ないですから。マスダさんだったら、喜んで迎え入れてくれますよ」


「そうか! そうかあ・・・行くぜ! トミヤスさんのオヤジかあ! 剣聖かあ!」


「また会えるのを、楽しみにしてます」


「俺も・・・俺も! 楽しみにしてるぜ! 待ってるぜ! もっと強くなって!」


 押忍!

 虎族の人が、また走って行きました!

 うわあ! 凄い砂煙!


「マスダさん、純粋なんですね。良くも、悪くも・・・」


「うん・・・そんな感じする。でも、よく勝てたね。あいつもヤバかったけどさ。マサちゃん、もっとヤバかったよ」


「そうですか?」


「うん。私、鳥肌立ったもん」


 闇の闘技場のチャンピオンと立ち会ったんです。

 驚くのも無理はありませんね。

 それではまた来週!


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