↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女王は拳で語る ― The Queen Speaks with Her Fists ―  作者: 十月さくら
閃光の女王と翡翠の白き魔女
6/45

牢屋から始めよう(4)


 魔術の力がどれだけ有用かは誰でも知っている。兵士としての戦う力はもちろん、緊急の怪我の治療、炎や水は普段の生活にも役に立つ。魔術師をいなくする理由はほぼ無かった……まあ、思想的に魔術師を受け入れない国もあるにはあるのだが。


「ここ、レイハイストは今では学術王国や『図書館の国《ランド・オブ・ライブラリーズ》』などと呼ばれていますが、昔は魔術王国と呼ばれていたのです」

「昔は?」

「ええ、そもそもレイハイストは魔術師が集まって興った国なのです。魔術は知の探求でもあり、その知識と研究に様々な人々が集まり、小国ながらも大陸一の知識の国と呼ばれるほどレイハイストは栄えていきました。ですが……知の探求は強大な魔術をも生み出し、他国の無視できない脅威にもなっていったのです」

「そして、およそ三百年前、戦乱の時代も重なってレイハイストも侵攻を受けることになる」


 ノヴァも少し知っている。三百年ほど前、大陸全土を巻き込んだ戦争があったことを。大国と大国の戦いというだけでなく、大陸全土で争いが起き、最終的に大陸の全部の国が疲弊しただけで終わった戦乱。何故、戦争が大陸全土で起こったのか、その明確な理由が分からず、今でも色んな説が生まれているとか何とか……そんな話をノヴァも聞いたことがあった。


「魔術師達は国を守るために戦い、その侵攻を止めた時には魔術王国最期の王女、レイハイストの魔女、フィリア・レイハイスト以外の魔術師は残っておらず……大きな傷を受けていたフィリアもすぐに亡くなり、そうして、レイハイストには魔術師は居なくなったのです」

「でも、それでどうして今も魔術師が居ないんですか?」

「侵攻を受けた理由は、他国が魔術師の力に脅威を感じたためです。なので、再び戦乱に巻き込まれないように、当時の貴族だけでなく平民の人々も含めた同意のもと、魔術師を無くすことを国として定めました」

「まあ、といっても、今はそんな方針を疑問に思う者もいる。現に、昔は魔術師を国に入れることも禁止していたようなんだが、今はお前みたいに入れているしな」

「なるほどぉ――」


 フロナに続けたアイリスの言葉にノヴァは頷き、瞬間その姿を消した。

 そして、


「ぁがっ!」


 左の通路から現われた兵士の後頭部を蹴り気絶させると、ノヴァは何事も無かったようにスタッと廊下に立つ。


「って、何をしている!」

「え? 何って、壁蹴りしてからの死角からの後頭部への一撃。これで大概気絶させられます」

「そうじゃない! どうして気絶させる!」

「だって、牢を抜け出していますし……見つかったらマズイでしょ?」


 ノヴァは気絶した兵士を壁に寄りかからせ、にっと笑った。


「私達がいれば大丈夫だ。いや、それより……」


 アイリスは呻き、兵士へと視線を向ける。いきなり気絶させるのも問題だが、こんな幼い少女が大人の兵士を一撃で……


「お前は……」

「あ、そういえば、名前言ってなかったですね。ノヴァです、ノヴァ・インファータ、旅の魔術師で武者修行してます」

「武者修行?」

「ええ、そうです。強くなるための武者修行……あれ? こっちに武者っているのかな? だったら騎士修行?」

「いや、何の話をしている」

「ああ、いえ。とにかく修行で旅をしていて……そうそう、今の体術もお婆ちゃんに習ったものなんです」


 ノヴァは再び歩き始め、呆気にとられながらもアイリスとフロナが付いてくることを確認して話を続けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。