光の後継者(12)
「人間如きが! 人間如きがぁあああぁあっっ!!」
絶叫と共に、巨大な火球が無数に現れ、ノヴァへと降り注ぐ。
「――うん」
目の前で声が聞こえ、魔族は目を見開き息を飲んだ。
火球を撃ちつけた中心には、ノヴァはいなかった。すでに、自分の懐へと入り込まれていた。
「まだ、あまり上手くは使えないんだけどね」
ズドンッ!
爆発したような音が響き、踏み込みと同時に放った右の拳が魔族の身体を折れ曲がらせる。
「ア……ガッ……!」
倒れそうになる魔族の身体を右肩で押し留め、ノヴァは更に右足を踏み込んだ。
ダンッ!と再び爆発したような音が響き、連続で鳩尾を強打された身体が僅かに浮かび上がった。
「ごめんね……痛覚もなく気絶もしないのなら、攻撃を続けさせてもらう」
言葉すら出せない魔族に向かってノヴァは小さく呟く。浮かび上がった魔族の胸に肩を寄せ、腕を曲げた肘を鳩尾につけると、三度ノヴァは踏み込んだ。
全ては一瞬の動作だった。二度、鳩尾を強打され浮かび上がった身体は、全体重を使った体当てで後ろへと吹き飛ばされる。
「……ッ……!」
吹き飛び転がりながらも、魔族は何とか爪で地面を削り身体を起こした。が、またもその時には、目の前にノヴァの姿は消えていた。
「ッ! ガァアッ!」
怒りに任せ立ち上がり、姿を探す。その瞬間、空から声が響き渡る。
「旋風逆巻く風の神よ!!」
ガゥウンッ!!
風の衝撃波に地面が円形に沈み、周りの土を盛り上がらせた。
両手を突き出し、魔族の上から風の魔術を放ったノヴァは更に魔力を込めて叫ぶ。
「はぁああああぁああっっ!」
地面が抉れ風の圧力を受けた魔族の身体が折れ曲がる――が、反動するようにすぐに背を逸らせて天へと顔を向けると、口を限界まで広げ怨嗟の絶叫を轟かせた。
「オァアアアアァアアアアアッッ!」
声と共に、バチッ!と風の魔術が弾け飛ぶ。そのまま叫びを止めず、魔族は言い放った。
「殺す! お前は殺す、インファータ! 魔を滅ぼす者!」
「無理だよ」
空に叫ぶ魔族とは対象にノヴァは小さく否定して、静かに地面へと降り立った。視線を向け、続ける。
「あなたはわたしに勝てない。これで終らせる」
「ダマレェエエエエッッ!!」
絶叫したまま左腕を伸ばし、凄まじい速さで飛び込んでくる鋭く尖った手刀を左手で弾きながら、ノヴァは距離を詰めるために右足を蹴り上げた。
「ガァアアアァアアアアアッッ!!!」
距離を詰めようと向かう目の前に右手が打ち込まれてくる――そう、『さっき斬り落とした』右手を再び再生させて、伸ばし打ち込んできたのだ。
その右手の手刀を、左肩に掠めながらもギリギリで避け、なおも魔族に向かって走り込みながらノヴァは腰の剣の柄を握った。
「アァアアアァアアアアッッ!!」
ノヴァと魔族の間に巨大な火球が現れる……が、
――ィィィン
「――――!?」
立ち止まらないままの抜き打ちの一閃で、火球は真っ二つに割れ、弾け消失した。
驚愕に顔を歪ませる魔族に向かい、左手で剣を逆手に持ったまま、ノヴァはなおも突き進む。
「ガァアアアアアア――――!!!」
魔族がなおも叫びながら後ろへ退き、殺意と怨嗟と恐怖を込め、ノヴァと開いた隙間に黒い炎の壁を作り出す。
「白き光の戦女神よ!!」
呪文と共にノヴァは魔術を纏わせた右拳を叩き込み、黒炎を弾き飛ばした。
黒炎が飛び散る中、ノヴァは更に突き進んだ。
衝撃に頬が避け、皮膚が熱に切り裂かれながらも、ただ一点だけを見つめ、一つのことだけに全霊をかけ、そこからもう一歩踏み込む!




