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女王は拳で語る ― The Queen Speaks with Her Fists ―  作者: 十月さくら
閃光の女王と翡翠の白き魔女
21/45

再挑戦(リベンジ)はその日のうちに(7)


「――王の間の外に三十人ほど、王の間の中にも同じくらいの人数がいるようです」

「ノヴァが戦った後、ゴロツキ達のつてでかき集めたそうですよ。かなりお金をばらまいた見たいです」

「成程、六十ほどか。随分と集めたものだな」


 クレスタとフィルの報告にアイリスは頷いた。


「配置は?」

「王の間の扉を固めています」

「中はともかく、扉の前にその人数を配置したらろくに動くこともできないだろう。正面だけに集中できるのはこちらとしては助かるが」


 続けたミィムの言葉にアイリスは笑った。こちらの人数は戦うことができないフロナを除いて十四人ほど。ゴロツキ程度の相手、加えて、狭い廊下で囲まれる心配もない。正面でほぼ一対一で戦える。負ける要素はなかった。


「六十ほどですか。わたし一人で大丈夫ですね」

「いや、あたし達も活躍させて、ノヴァ」


 気楽に言ったノヴァの言葉。その実際にやってしまいそうな雰囲気にフィルは慌てて止め、そんな二人のやり取りに騎士団に笑いが広がる。


「そういうことだ、ノヴァ。私達の仕事を奪わないでくれ」


 アイリスも微笑み、騎士団の皆へ視線を向けた。


「皆、準備はいいな」

「はいっ!」


 腰の剣を抜くことはなく、全員訓練用の木刀を手に構える。


「よし、行こう――ノヴァは後ろにいてくれ」

「え~……むぅ、分かりました」


 頬を膨らませるノヴァに、騎士団の皆はまた笑った。



 ――バァンッ!!


 王の間の扉を開き、そして、アイリスを先頭に騎士団が突入する。


「は……はははっ、よ、よく来たなっ!!」


 声を震わせながらビエルが声を上げた。王の間の外であれだけの騒ぎがあればさすがにある程度の予想はできていたようだ。ゴロツキ達も準備万端で待ち構えている。


「お、お前達、何をしているのか分かっているのか! これは王への反逆だぞっ! お前達は罪人になるのだぞっ!!」


 この期に及んでそんな脅ししかできない。それだけでビエルの底は分かるようなものだが、ゴロツキ達にとっては金さえ貰えればそれでいいのだろう。

 雇い主は選んだ方がいい、などと諭すこともないだろう。悪人を一掃できるいい機会だ。


「言ったはずだ、騎士団は国を、民を護る為に在る。それで罪人と言われるのなら、喜んで罪人になろう」

「な、何を……!? ええい、お前達、こいつらを何とかしろ! 殺してもかまわん、女達は好きにしていいぞ!!」


 ビエルの言葉にゴロツキ達から下卑た笑い声が響く――そんな中で、


 ――トッ


 まるで遊びに行くように軽やかに、小さな少女が一歩踏み出した。


「……ぁ?」


 それは幸運か、不運か――今いるゴロツキ達は戦っているノヴァの姿を知らない。

 ただ一人だけ、ビエルだけが絶句し、震えていた身体をもっとガクガクと震わせ、ノヴァへ指を向けた。


「お……おおお、お前……な、なぜ……なんで生きているっ!?」


 ノヴァは口を開きかけ、少しだけ考える。シリスを助ける為にはビエルを怯えさせたほうがいい。


「シリスよりも強いからですよ。もっと強い魔術じゃないとわたしは倒せないかなぁ」

「っ! こ、この……っ!!」


 ビエルは歯ぎしりし、震える拳を上げて何かを言おうとするが、


「なんだぁ、このガキ。俺に幼児趣味はねえんだよ、ひっこんでろ」

「へへへへぇ、だったら俺にやらせろよ」

「へっ、ほんといい趣味してるぜ……がはっ!?」

「ぁ? ……げふっ!?」


 ビエルが声を上げる前にノヴァの前にゴロツキ二人が近づき、そして、瞬く間に鳩尾に打ち込まれた掌底に気絶させられる。


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