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女王は拳で語る ― The Queen Speaks with Her Fists ―  作者: 十月さくら
閃光の女王と翡翠の白き魔女
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再挑戦(リベンジ)はその日のうちに(2)


「漫画やアニメでよくあるけど、大きいシャツだけを着てる女の子って女の子から見ても可愛いよねぇ」

「まん……あにめ? なにそれ?」

「ううん、こっちのこと。それで……」


 軽く食事をして、ちなみにノヴァは宿屋に帰ってきて二回目の食事だったりするのだが。

 ともあれ一息付くと、テーブルの向かいで座ってミルクの瓶を両手で握っているミリアに向かってノヴァは問いかけた。


「どうしてあの時……ほら、城でシリスと戦っている時、わたしのこと止めたの? シリスを気絶させるつもりだったのに」

「だって……シリスのこと殺しそうだったから怖くなって……」

「え!? わたしをそんな風に見てたの!? ひどいよぉ、そんなことしないのに」

「でも、兵士をあんなに倒していたから……」

「そんなに怖いかなぁ。あれくらい全然だよ、普通だよ」

「普通じゃないよ!」

「そっかなぁ?」


 ノヴァは腕を組んで首を傾げた。自分が知っているファンタジーの世界では女の子が悪い大人をストレス解消で吹き飛ばしていたのだけど……実際自分も山賊退治とかしていたんだけど、どうやらそれは普通じゃないらしい。


(そういえば、同年代の女の子のことあんまり知らないかも……はっ、わたしってもしかして友達いない!?)

「……でもでも、旅をしていたら、友達なんで作れないし……うんうん、仕方ない仕方ない……」

「ど、どうしたの、ノヴァ……ぶつぶつ言って……!?」

「いや……なんでもないよ……なんでも……」


 知らずに俯いていた顔を上げ、ついでに目尻に溜まっていた涙も拭い。

 頭を切り替えて、ノヴァは話を続けた。


「まあ、とにかく。次は止めないでね、ミリア。わたしはシリスを気絶させるだけだから」

「あ……でも」


 今度はミリアが俯き、そして、小さく呟く。


「……それじゃ、駄目なの」

「ん? どうして?」

「気絶させても、ビエルに命令される限り身体は動くから……シリスの意識はなくても」

「薄々は分かっていたけど、やっぱりシリスは操られていたんだね」

「うん……」

「でも、意識はなくても身体は動く? そんな強力な傀儡の魔術、初めて聞いた」


 ノヴァはもう一度腕を組んで「ふむ」と唸った。傀儡の魔術や催眠術というのは確かにこの世界にはある。だが、当然、簡単なものでは無く、禁術に分類されるほど危険なものとされていた。

 それに加えて、


「たぶん、あの指輪だよね、傀儡の魔術が入ってるのは」

「そうっ! どうして分かったの!」

「シリスの近くに行った時、あの指輪から嫌な感じがしたから」


 レイハイストには魔術師がいない。そして、ビエルはどう考えても高位の魔術や催眠術を扱えるような人間では無い。

 そうだとしたら、何かしらの道具を使っているというのはすぐに想像できた。だが、禁術が付与された魔術道具――そうそうある物ではないし、希少過ぎて簡単にも手に入らない。

 それに、疑問もある。


(どうして、シリスに使ったのか)


 レイハイストに魔術道具があって、たまたまビエルが見つけたのなら、どうして王に使わなかったのか。

 いや、もっとそれよりも前の話。魔術師がいない国に、どうしてシリスがいるのか。


「ねえ、ミリア。シリスとビエルはどこであって、いつあの指輪を付けられたの? あ、いや、ごめん、順番が逆だね。それよりも前の話、どうしてシリスとミリアはここにいるの?」

「ん……そうだね、ノヴァには話しておかなきゃね」


 ミリアは少しだけ目を伏せると、すっと上げてノヴァを見つめた。


「シリスは――――」


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