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[愛の形、孤独の形]Episode Crys&Pearl  作者: Emotional
3章『法ここに非ず』
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#45『シュレディンガーの信徒』

「うおぉぉぉらァ!!!!」


「クリス!」

「—――!」


自らの武器を以て、道を塞ぐ翼竜を仕留めにかかる。だが、最初の1匹がたまたまそうだったのか、他の翼竜の頭部には弱点が無かった。


「嘘だろ!?」


「じゃあ、核に当たるまで片っ端から――でもそれだとキリが無いな...」


「「そうだ!!」」


クリスとパールは突然閃くと、クリスが急いで近くの建物の屋上へと向かう。パールはカルサイトに少しの間だけ翼竜の相手を頼むと、結晶をありったけ生み出した。


「いくよ!!」


「カルサイトさん!離れて!!」


「あぁ!?お前らいつそんな人使いが荒ぇ奴になったんだぁ?」


カルサイトは小言を吐きながらも、前線から引く。入れ替わるようにパールが出ると、そのまま結晶を全てその場に落とした。

刹那、それらを弾丸が打ち抜くと共に、パールは思いっきり結晶を翼竜に向かって蹴飛ばした。


(—―――!!?)


一筋の光が教会の奥のエリアまで届く。軌道上に居た翼竜は跡形もなくなる程の大きな穴が開き、露出した核を結晶の破片が次々と貫いて行った。


「今だ!行くよ!!」


「お、おう。あん時の轟音ってそれかよ...」


4人は2人によって開いた活路を駆け、教会の中へと入って行った。



〈スズメウリ教会、大聖堂〉



予想通り、エリア内は閑散としており、あっさりと奥にある聖堂まで辿り着いた。だが、やはり以前襲撃してきた信徒と思われる者達が、中でこれでもかと言うほどひしめき合い、4人を待ち構えていた。

その中には白衣を着た者もおり、いずれもこちらに振り返る様子は無く、偶像とその上に佇む少女へ祈りを捧げていた。


「—――っ!?あの白衣は!!?」


「チッ......おいテメェら、会話が出来る奴は居るか?」


『フッ――フッ――――いらっしゃい、迷えるラムチョップ達』


「なっ、テメェ!!!!」


聖堂の奥、偶像の上に佇む少女。前に見た時は見えなかったが、顔につぎはぎを縫ったように大きく縫い目がある。肌の色や顔の形も、縫い目を境に少しばらつきがあり、見ているだけで嫌な想像をさせる。


『仲間を取り戻しに来た?それとも敵討ち?必要ない。私の仲間も一人殺させてやった。1対1、お相子。話は終わり?』


「テメェだけで完結してんじゃねぇ!何独りでほざいてんだ会話しろつってんだ!!それに、借したもんはそんだけじゃねぇ!!」


『何を返す?私じゃない。なら別の誰かが作った何か。つまり私には関係ない。』


「話が進まないな...カルサイト、やるよ!」


クリスとパールは武器を構える。信徒達は敵意を悟ったのか、皆素人なりに構えた。


「ハァ、そうだな。あいつの話まともに聞こうとすると頭がどうにかなりそうだ。」


『話してあげる?いや、どうせ無駄。こうした方が早いから―――』


少女は操作盤を繰ると、信徒達の中から数人を宙吊りにする。信徒達は完全に知能を失っており、少女に何をされようと抵抗する事は無く、吊られた信徒は瞬く間に烏の人形へと姿を変えた。


「先手必勝!!」


パールは結晶で信徒の群れに飛び込むと、自らを軸に結晶の風圧を利用して華麗に信徒達を捌いて行く。


『—――馬鹿?いや、合理的。爆風を受けても何ともなさそう。面白いのがいっぱい。楽しい』


パールに注目が集まる中、カルサイトはパールに気を取られている信徒達を片付けて行く。


『—―――あの爆風じゃ、私の意図は焼き切れない。愚策?』


「クリス!!」

「――うん!」


『なっ!—――フッ』


少女がパールに糸を伸ばす。パールの腕に糸が絡みつこうとした瞬間、一筋の弾丸が結晶の爆風と共に糸を焼き払った。


『—――でも、連射は出来ないみたい。もっと沢山。それと、あれだけ暴れてるんなら体力は有限。すぐにバテ――――』


今度は少女はクリスに向かって糸を伸ばす。だが今度は、珊瑚の結晶によって防がれてしまう。


『—―一番不可解。あれは何?』


「へッ、答えてやる義理はねぇよ」


珊瑚はクリスの射撃をサポートしながら、襲い掛かる信徒達から情報を集めようと試みる。いくつか針に記憶が入りかけたが、するりと抜け落ち、針の輝きはあっさりと失われて行った。


「あぁ...?どうなってやがる?まさか、針に収めるに足りるだけの記憶が無いのか!?」


『何も知らないみたい。やっぱり馬鹿だった。』


「ってなると、アイツから直接抜き出すしかねぇな......あんまりこういう使い方したくねぇんだけどよ。」


珊瑚は信徒から記憶を抜き取るのを辞め、肉弾戦で応戦する。信徒の数は少しずつ減ってきてはいるが、地に伏した者達は次々と少女の操り人形になって行った。


「クソッ、やっぱり元を断たねぇとな。どいつもこいつもアンデッドみてぇなしぶとさしやがって。—――ん?なぁ珊瑚、さっき記憶がどうとか言ってたな。」


「んぁ?あぁ。こいつら、見て分かる通り、本当にゾンビかもしんねぇ。」


「へッ、そうかい。ならもっと手っ取り早い方法があるな。」


「ん?」


カルサイトは少し間合いを取ると、懐から拳銃を取り出す。


「クリス!!こいつらはもう人じゃねぇ。容赦なくぶっ放せ!!」


「えぇ......?まぁ、そんな気はしたけど!」


クリスは試しに、信徒の群れへ弾丸を1発放つ。意外にも信徒達にはあっさりと風穴が空き、噴き出したのは血ではなく、翼竜の亡骸の様に液化した体の破片だった。


「うげっ、人からこういうの出るのは違うじゃん......あんま見たくないから、パールに集中しよ。」


「なんだそりゃ。まぁ、容赦しなくていいのは分かった。ちょっと本気出させてもらうぜ」


カルサイトは硬く握り拳を作ると、思いっきり自らの心臓へ打ち付けた。

彼はその場で1度強く足で地面を踏みつけると、ナイフを取り出し、目にも留まらぬ速さで心とに斬りかかった。まるでミキサーにでもかけるかの如く。一瞬にして大聖堂に集った信徒達はバラバラになり、その場に倒れて行った。


「えぇ......?」


「カルサイト、そんな事出来たの!?」


「あん時の火だるまみたいなもんだ。容赦が要らねぇなら、これですぐに片付く。」


『—―――』


少女はカルサイト達を睨むと、今度は人形の居なくなった操作盤から外に向けて糸を伸ばすと、窓の外から大量の信徒が現れる。


「チッ、まだ居たのかよ」


「この感じじゃあ、それ以上に居そうだな...クリス、パール。」


珊瑚は2人を集めると、声のボリュームを落とす。


「俺がサポートするから、あそこの扉から先に行け。」


「え!?でも、私達だけで大丈夫なの?」


「へッ、あんたらを信頼してのこった。外に居る信徒達が窓を割って入ってこない内にやるぞ。」


珊瑚はそう言うと、2人を先導して扉に向かって駆け出す。


『—――?フッ、いいよ?通したげる。でも―――』


『そこの爆弾魔は残って』


少女はパールへと糸を伸ばす。だが、珊瑚がそれを許さない。


『チッ、不愉快。』


「生憎、あんたの戦法は経験済みなもんでね。」


『—―――?』


珊瑚は走りながら3人に迫る糸を器用に捌いて行くと、そのままクリスとパールを扉の向こうへ。少女は案外あっさり諦めがついたようで、再び糸を外の信徒へ伸ばすと、窓と言う窓から信徒達を大聖堂の中に敷き詰めた。


「そんで?珊瑚、勝てる見込みはあんのか?」


「まぁ、どうとでもなるだろ。」


「ったく、俺より頭回るクセにこう言う時だけいつもテキトーだよなお前」


2人は互いに背中を預ける。少女が信徒を烏の人形と共に差し向けると共に、2人は群れの掃除を始めた。


  To be continued.

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