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[愛の形、孤独の形]Episode Crys&Pearl  作者: 情緒不安定
1章『愛を望む双子』
12/18

#12『ギャンブラーの誤謬』

「よし、俺ら以外誰も居ないな。」


エントランスの奥にあるバーは、他のエリアとは異なり扉の向こうにあり、賭博で乾いた心を潤すオアシスとなっていた。


「隣座んな。」


2人は男に促されるがまま、隣の席に腰掛けた。


「話と言うのは?」


「直球に行くぜ?あんたら、本能側だな?」


「—――」


(合わせてください。)


「......だとしたら、どうするんです?」


「別に?俺もそうだし。それに、未成年の妹連れてまでカジノに来る奴なんざ、こっち側としか思えねぇだろ?」


「...それで?」


「アレの出所を教えてくれ、頼む」


「......」


(マーカサイト、アレって?)


(もしかしたら、私達が探してるものかもしれません。少し探ってみましょう。)


「貴方は、何処まで掴んでるんです?」


「そうだな......いや、今ここで言ったとして、まぁ推測ではあるが、万が一お前らが嘘ついてるって可能性も捨てきれねぇ。でもあの当たり方は明らかに異常だった。つまり、お前達は持ってるって考えた訳だ。だから、ちと俺とゲームしねぇか?」


「ゲーム?」


そう言うと男は懐から、コインを1枚取り出した。


「今からこいつを弾く。表か裏か当ててみな」


「...そうですね......貴方はどう思い―――」


「おーっと、当てるのは姉ちゃんの方だ。」


「...分かりました。」


マーカサイトは男が見せびらかすコインを睨みながら考える。


(パールさん、)


(えぇ!?マーカサイトさんじゃないの!?)


(イカサマが本当なんだとしたら、こちらもそういう手を使う権利があるはずです。それで、どう思います?)


(うーん......)


「あんまり気負うな?これはただのゲームさ。それと、白っぽく見せようとしたって無駄だぜ?」


「では、表で。」


「よし。」


マーカスが答えた瞬間、男はコインを弾いた。コインはクルクルと宙を舞い、最終的に男の手の甲に当たると、男はもう片方の手でそのコインを抑えつけた。


「さて、伸るか反るか」


男が抑えた手を放すと、男性の横顔が描かれた絵柄が上を向いていた。


「へッ、あんたの勝ちだ。」


「やった...!」


「じゃあ、教えてやるよ。」



〈数分後、カジノ1階、エントランス〉



「あの2人遅いわね......迷ってないと良いけど」


「パールはまだしも、マーカサイトが付いてるなら、そんなヘマしねぇよ。」


「マーカサイトって、どんな力が使えるの?」


「......まぁ、人あんま居ねぇし、話しても―――」


「皆さん!!」


そういった矢先、2人が戻って来た。


「あんま大きい声出すな。...まぁ、とりあえず情報交換か?」


一同は1度カジノを出ると、近くの自販機で飲み物を買い、得た情報を交換した。


「......なるほどな。つまり、結局噂は本当で、やっぱり神子石を持っている人間だけに利益が行くようになってると」


「でも変ね、私達は負けたわよ?」


「あぁ、問題はそこだ。同じ神子石でも、何が違うってんだ?」


「パールさん、神子石持ってるんですか?」


「うーん......」


(確かに、私は勝ってたけど、神子石は持ってないよ?どういうこと?...あぁ、もしかして)


「これの事?」


パールはポケットから自身の出せる結晶を1つ出し、マーカサイトに見せた。


「なるほど!って事は、加工されていない神子石なのでしょうか?」


「とりあえず、本能の街の連中、神子石、この2つが揃ってんなら、後は......」


カルサイトは建物の上の方を見る。


「上に直接聞くしかねぇか?」


「じゃあ、やっぱりいつもの?」


「やっぱりそうなっちゃいますよね......」


「じゃあ、一旦エリナに無線するか。」


――――――――――――――



〈??????〉



ほぉん?資料はあっちに持ってかれたか。まぁ良い、それはそれとして、結構面白いもんが手に入った。あいつだけじゃなかったんだな。ってか、まさかそいつも持ってかれたか?......へぇ、じゃあ、楽しみにしとかねぇとな。



――――――――――――――



〈ペグマタイトタワー、最上階〉



「そうか、やっぱり本当だったんだな。」


≪えぇ。それで、どうします?≫


「そうだな......夜にやるってのはどうだ?」


≪夜...ですか?≫


「あぁ。前に仕向けた諜報員によれば、昼間よりも夜の方が、人が少ないらしい。」


≪変ね、カジノって夜の方が栄えてるイメージあるけど≫


「まぁ、噂は案外広まってるらしく、理性の街からはあまり客が来なくなってるらしい。」


≪なるほどな。じゃあ、また連絡するわ。≫


「あぁ。吉報、楽しみにしておく。あとそうだ、ついでで悪いが―――」


エリナが言い切る間も無く、カルサイトに切られてしまった。理由は単純。


「やはり、自分で取り寄せないと駄目か......新作が出たと聞いて、一足先にと味わってみたかったのだが......」



〈その日の夜、理性と本能の街、カジノ前〉



現場に着いたパールは、思い出したかのように暁に電話を掛ける。


「ごめん暁さん、帰り遅くなるかも」


『...そうか、気を付けて帰って来いよ。あと、晩飯要るか?要るなら作っておくが』


「うーん...うん、お願い」


『あいよ。じゃあ、頑張って来い』


「うん!じゃ!」


各々集まった4人は、昼間よりも目立たない恰好をしていた。


「......それで、どうするの?」


「......」


カルサイトはカジノの裏口に目をやる。


「警備が2人に、カメラが1つか。さすがに大事になるのは避けたいな。」


「となると私のこれも使えないし......どうしよ」


「...いや、もしかしたら使えるかもしれん。」


「え?」


「ちょっと耳貸せ」


カルサイトはパールに耳打ちすると、パールは心躍らせた。


「何するの?」


「なに、簡単だ。俺らはパール含めて、上手く行けば全員が中に侵入できる策だ。そんじゃ、ちょっと準備して来てくれ。」



〈数分後—――〉



「何して来たの?」


「それはねぇ......」


「お前ら、俺が合図したら裏口に走れ。いいな」


パールは結晶を1つ取り出す。そして、物陰からそれを投擲すると――――――



〈カジノ1階〉



建物の外から響く、花火よりも大きな轟音)


「なんだ?この音」


その音は立て続けに発生し、入り口のガラスを揺らす


「まさか、テロか!?」

「マジ!?」


聞き慣れない音に、周囲は慌てふためく。たちまち人々はパニックに陥り、ディーラーが人々を落ち着かせると共に、警備の人々が表に出て来た。



〈カジノ、裏口〉



「何の音だ!?」


「俺達も向かおう!!」


門前の警備はあっさり音に釣られ、カジノの表へと向かった。


「今だ!」


4人は裏口に向かうと、カメラをショートさせ、正面で鳴り響く爆音に合わせて施錠された扉を破壊した。


「ちょっと、ゴリ押し過ぎじゃないですか!?」


「どの道こうなるだろ、だったらこうした方が早いと思わねぇか?ってか、文句あるならエリナに言え。これ提案したのエリナなんだからよ」


「......はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!???」


  To be continued.

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