#11『ブラックジャック/ルーレット』
「...とりあえず、ルールは分かったわ。」
「それで、やるのか?」
「うーん...私は遠慮しとくわ。」
「ほぉ?お前さん達随分退屈そうだな。安定ばっか取ってちゃ人生面白くなんねぇぜ?」
「...分かったわよ。じゃあやってやろうじゃない」
「ちょっろ。」
「悪い!!?」
ゾイサイトは一度席を立ったが、挑発にあっさり乗せられチップを交換して戻って来た。
「それでは、始めましょうか。」
ディーラーはカードを配り始める。男は1+5で6、カルサイトは3と6で9、ゾイサイトはQと1で21となった。
「お前...やるな。ビギナーズラックってやつか。」
「どういうこと?」
「1は先程お伝えした通り11も兼ねていますので、貴方の合計は21となります。」
「じゃあ、勝ちって事ね」
「まだ分からんぞ。ディーラーが21を出せば―――って」
言ったそばから、ディーラーの出した数字はKと1となった。
「え、負け?」
「いや、引き分けだ。俺とこいつだけチップ没収される。お前はチップ返還だ。」
「へッ、次は勝つぜ」
「まだやりますか?」
その後は、皆平等に勝ち負けが続いたが、気付けばチップは半分近くまで減っていた。
「うーん......席変えるか。」
「それでは、カラーアップを行いましょう。」
「カラーアップ?」
「はい。チップにも種類があり、上の位と同じ値分下の位のものを持っている場合、上の位に交換するというシステムです。要するにチップの整理ですね。」
「そうか。じゃあ、頼む」
「意外と骨のあるやつじゃねぇか。気に入ったぜ。またやろうや」
2人は席を立つと、今度は奥の方にある席に着いた。そこにも1人座っており、カルサイトは1つ跨いだ席に着いた。
「あら、カップルのお客さん?」
「カカっ、カップルですって!?」
「ハァ......変に焦ると余計ややこしくなるからやめろ。ただの連れだ。」
赤面するゾイサイトの横で、カルサイトが冷静に静止を促す。
「へぇ......そこの人、結構楽しめそうね。」
「それでは、始めます。」
ここのディーラーも先程と変わらず、淡々と優しい口調で延べる。
ゲームを始めてみると、初っ端からディーラーが勝利を重ね、あっさりチップが無くなってしまった。
「はぁ...?イカサマじゃないの!?」
「まぁまぁ見てなさい貴方達、取り返してあげるわ。」
「え?」
「貴方達すごい勢いでチップを溶かすんですもの、それを見てて笑わずにはいられないわ。まぁ、その気概を買ってあげるって事ね。」
一緒に座っていた女性が賭け始める。最初は拮抗していたが、すぐに流れが訪れ、気付けば女性の隣にはチップの山が出来ていた。
「ほら、この1列持ってって良いわよ」
「ありがとう...ございます?」
「いいのよ。」
2人はその場を後にし、チップを紙幣に変換した。
「最終的にはマイナスだな。ってか、やけに少なくねぇか?」
「カジノってそう言うものでしょ?それを誤魔化す為のチップよ」
「まぁ、それもそうか。一旦入口戻るぞ。」
2人はエントランスに戻り、他2人が戻るのを待つ事にした。
〈カジノ2階、ルーレットエリア〉
カラコロと心地の良い音が鳴り、思わず円盤の上で転がる球を目で追ってしまう。
「そういえばパールさん、今おいくつですか?」
「ん?1ヶげ―――18だよ?」
「えぇ!?じゃあゲームできないじゃないですか!?」
「そうなの?」
「せめて20は行ってないと...」
「ん?そこの嬢ちゃん、もしかして未成年?」
「すみません、この娘は私の妹で、」
パールがマーカサイトの発言に疑問を持つよりも先に、耳に着けている無線から目の前で喋っているはずのマーカサイト声がした。
(合わせてください。立ち回りやすいように努力しますから)
パールはマーカサイトの発言と同時に耳に入った声に疑問を抱いたが、とりあえずは演じる事にした。
「へぇ、まぁ事情は聞かないでおくよ。それで?姉ちゃんの方はやるのかい?」
「はい。っと言っても、ルーレットは初めてで...」
「そうかいそうかい。じゃあチップ交換して来な。俺がルール教えてやるよ!」
「ありがとうございます、行きましょうか。」
(こちらから出す情報は最小限に、極力名前も出さないようにしてください。)
「うん!」
マーカサイトはチップを交換すると、先程の男の居る卓に戻った。
「よし、来たな。それじゃあ教えてやるよ。っといってもそこまで難しくねぇ。ホイールに投げ込まれたボールが、何処の番号に入るか当てるってだけだ。カードゲームみたいに実力が絡まず、平等に勝負出来るってんで、結構人気なんだぜ?」
「なるほど...赤と黒があるのも、関係あるんですか?」
「あぁ。良い質問だ。単純に数字を当てるだけでもいいんだが、それだと難し過ぎるだろ?だから、赤か黒の数字だったり、奇数(ODD)か偶数(EVEN)で賭けたりな?
そこの表にある「1st12」「2nd12」「3rd12」ってのは、36を3等分したどれかの数に入るって感じだ。それと似たので、「1to18(LOW)」と「19to36(HIGH)」ってのもある。これは前半の数字か後半の数字かって話だ。」
「なるほど...意外と簡単?」
「あぁ。それに、複雑なルールなんかも存在しない。ただ、ディーラーがノーモアベット(no more bet)って言うまでに賭ければ良いだけだ。他にもいろいろ賭け方があるが―――話してるだけじゃ面白くない。やってみた方が早いだろう。ほら、チップを置きな。」
2人は卓を囲う。
「どうする?お姉~ちゃんっ」
「えぇ!?あぁ、そ、そうですね。確率的には―――ん?」
マーカサイトは表の端に、0と00と書かれたものを見かける
「0と00というのは?」
「あぁ。さっき言った1から36のどれにも、赤にも黒にも該当しない数だ。これが出たら全員負け、この店だと、そうなってるな。場所によっちゃあそれに賭けれる場所もあるらしい。」
「なるほど...とりあえず、「19to36(HIGH)」に入れてみます」
「初っ端1000チップかい、攻めるねぇ。じゃあ俺は、真ん中の「2to1」に賭けるぜ」
「そこは...もしかして、縦1列ですか?」
「ご名答!その通りだ。表の見方は完璧みたいだな」
「貴方は何処に入ると思います?」
「うーん......じゃあ、「24」!!」
「いきなり1本勝負かい!?若いにしては度胸あるじゃねぇか!」
そう言っている内に、ディーラーが賭けを締め切り、ホイールが回転を始める。白く軽い球が投げ込まれ、カラコロと心地の良い音を立てた後、ポケットに収まった。ディーラーがルーレットをゆっくり止めると、球は24に入っていた。
「すごいです!!」
「マジか......」
結果はHIGHに賭けたマーカサイトと、ピンポイントに24に賭けたパールの勝ちとなった。
「1/2は1倍、単一賭けは35倍だ。やるじゃねぇか!」
その後も何度か賭けを行い、男はバランスよく勝ち負けが分かれたが、パールは凄い勢いでマーカサイトのチップを増やして行った。
「へぇ......?なぁあんたら、当てすぎるのは悪い事じゃねぇが、周りに疑いの目を向けられちまうからな。—――そうだ、ちょっと一緒に来な。休憩がてらちょっと話そうや。」
3人は卓を離れると、1階にあるバーへと案内された。
To be continued.
ルーレット、払い戻し倍率
1つの番号:35倍
2つの番号:17倍
3つの番号:11倍
4つの番号:8倍
6つの番号:5倍
楯列12個:2倍
1st12:2倍(2nd、3rdも同様)
1to18:1倍(19to36も同様)
EVEN/ODD:1倍
赤or黒:1倍
(倍率は、元の賭け金に加えて得られる数)




