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[愛の形、孤独の形]Episode Crys&Pearl  作者: 情緒不安定
1章『愛を望む双子』
10/16

#10『平衡保つ賭博の宮殿』

〈深夜、暁の館、クリスとパールの部屋〉



「起きてても良いが、あんまでかい音出すんじゃねぇぞ?」


「はーい!」


「あぁ。」


自室と言っても、今は寝室としての機能しかない。2人はそれぞれのベッドに腰掛け、今日の出来事を話し合う。


「今日ね?動くおっきい翼竜と戦ったんだ!本当だよ?仲間達も頼もしくって、それに、結構余裕だった!」


「そうか―――」


クリスはパールの元気な姿に安堵した。


「それで...クリスは今日、何してたの?」


「私は、ライラと、ルピナスと、デパート?って場所に行ってた。2人共優しく私の手を引いてくれて、沢山の発見があった。」


「外に出れたんだね。大丈夫だった?」


「あぁ。2人が付きっきりで居てくれたおかげで、私も楽しめた」


「......そっか。ねぇねぇ、今度私もいっしょに行ってもいい?」


「勿論!今度は一緒に行こう」


2人はもう少し盛り上がるかと思ったが、案外あっさり話題が尽きてしまった。


「...まぁ、夜も遅いし、寝よっか。」


「そうだな―――」


2人は布団に潜り、そのまま夢の中に沈んで行った。



〈翌日、理性の街北東部、〉



≪理性と本能の街双方の狭間にあるカジノにて、妙な噂があるとの事で、調査を頼みたい。≫


エリナからの通信を受け取った1同は、街の北東にあるカジノへと向かっていた。


≪噂?本当にあった事なんですか?≫


≪そのカジノは理性と本能双方から客が訪れるんだが、噂によれば、そのカジノでは最近、理性の街からの客のみが負けて帰っているらしい。≫


≪それ、余計に信用できないんですが≫


≪偶然ではない。調査を依頼した所、本能の街の住民の一部から、妙な信号が無線に入ったとの事だ。≫


≪はぁ...まぁ、やるだけやってみるけどよ。≫



〈理性と本能の街、カジノ〉



昼でも陽の光より輝くその建物は、理性に準ずる人々でも、たちまち本能に従うように、その命と財を秤に賭けて行く。


「...着いたは良いんだけどよ、この恰好じゃ怪しまれねぇか?」


「そうね...近くに服屋があったし、多少変装して溶け込んだ方が調査しやすいでしょう。」


「エージェントみたい!かっこいい!」


「では、寄りましょうか......とその前に、皆さんどんな格好してるんでしょう?」


「そりゃあ、派手なドレスとか?」


「お前は映画の見過ぎだ、よく見てみろ。確かに服装には法則性が見られるが、そこまで変に目立つ恰好じゃなくって、自然体でもっと素朴な格好が多いだろ」


「本能の街?の人って、もしかして、ボロボロの服装の人?」


パールは研究所で遭遇した暴漢を思い出し、それを問う。


「貴方、会った事あるの?...って、最近物騒だから、見た事はあるか。そうよ。でも変ね。ここって本能の街からも客が来るはずなのに、誰がそうなのか分からないわ。」


「あくまでここは中立の立場を護るって体でのドレスコードか。まぁとりあえず、ここで話してるだけじゃ進まねぇ。とっとと服買い揃えて、中入るぞ。」


4人は服屋それっぽい格好に着替えると、カジノへ向かった。



〈カジノ1階、エントランス〉



高級感あふれる装飾が落ち着いた雰囲気を醸し出し、迷い込む人々を出迎える。


「......そういやすげぇ今更だが、パール、お前2個目の任務がこれか......」


「気を付けてね、中立の立場の施設とは言え、私達がやろうとしてるのは、下手したらそれを壊しかねない事だから。」


「大丈夫...とも言い切れないか。結晶使えないもんね」


「まぁ、いざとなったら使う時が来るかもな。俺らも念の為武器を持って来てる。あとは......」


カルサイトは無線をしまっている内ポケットに手を当てる。


「そういえば、変な信号がどうとか言ってたよな。だったら無線は使えなさそうだから....じゃあ、こんだけ広いのを固まって動いてると日が暮れちまう。2:2でどうだ?」


「じゃあ、パールさんは私が!」


「分かった...チッ」


「何か?」


「なんでもねーよ。さっさと行くぞ。」


こうしてマーカサイトとパール、カルサイトとゾイサイトは手分けして調査を行う事になった。



〈カジノ1階、カードゲームエリア〉



ポーカー、バンカー、ブラックジャック等。エントランスでは分からなかったが、いざ入ってみると、案外様々な人が居る。常に余裕を見せながら、ゲームとして楽しむ人。手を出してはいけないお金に手を染めているのか、常に焦りと怒りに飲まれている人。そして、それを前にただ黙々と、ゲームを進めるディーラー。


「それで、まずはどうするの?」


「まぁ、とりあえず、」


カルサイトは懐から財布を取り出し、紙幣をチップと交換した。現在チップ数:10000


「ちょっと?任務で来てるの忘れた訳じゃないでしょうね?」


「あぁ。これはあくまで任務だ。そして、」


カルサイトはずらりと並ぶテーブルを見渡すと、1/4だけ埋まってるブラックジャックの卓に着いた。


「噂が本当かどうかは、やってみないと分からんだろ?」


「貴方、やった事あるの?」


「まぁ、PCでたまに遊ぶくらいだ。未経験よりはマシだろ?」


「お客さん、もしかして初めてですか?」


ディーラーは落ち着いた声で優しく語り掛ける。


「まぁ、リアルでやるのは初めてだな。」


「と言う事は、ルールはお分かりで?」


「まぁな。」


「それでは、始めましょうか。」


「ヘッヘッヘ、新入りか。まぁちょっとは手加減してやるよ。俺の運に歯止めが効けばの話だがなァ?」


同じ宅に座る細く白い棒を咥えた男が話しかけて来る。それを横目に、ディーラーはカードを2枚ずつ配る。

配られたカードを見るなり、カルサイトは渋い顔をした。


K(キング)J(ジャック)......弱ぇ......」


「へッ、もう負け腰かァ?そんなんじゃああっという間に財布が空になっちまうぜェ?」


カルサイトは目線だけでディーラーと隣の男のカードを見る。ディーラーは片方は裏面、もう片方は5だ。

そして、男のカードは、カルサイトと同じ値になる、J(ジャック)Q(クイーン)だった。


「お2人共、スタンドでよろしいですか?」


「「あぁ。」」


ディーラーが裏面のカードをめくる。そのカードは9で、ディーラーがさらに1枚引くと、K(キング)が出た事でバーストし、2人の勝利となった。現在チップ数:10500


「では、こちらチップとなります。」


「ねぇ、これってどういうルールなの?」


「なんだ、知らねぇのに付き添い出来てんのか。お前も大変だなァ?」


「...なんか、勘違いしてない?」


「こいつは確かに連れだが、まぁ、これから学びに来たって方が合ってるかもな。」


「でしたら、私達がお教えしましょう。よろしければ、こちらのチップをお使いください。」


ディーラーはゾイサイトにチップをいくらか渡すと、ゾイサイトは卓に着かされた。


「まだやるって決まった訳じゃ―――」


(うるせぇとにかく合わせろ)


「...あとで覚えていなさい。」


1同がチップを賭け、ディーラーが再びカードを配ると、チュートリアルが始まった。


  To be continued.

ブラックジャックのルール


まず、ディーラーとプレイヤーにカードが2枚配られる。(この時、ディーラーのカードの内1枚は裏面にして伏せられている。)


プレイヤーは配られたカードの数字の合計が「21」を上回らないように、

ヒット(1枚ドロー)、スタンド(現在の数字で確定)、ダブルダウン(賭ける金額を2倍にし、1枚のみドローする)を駆使し、21またはなるべくそれに近い値を目指す。

(1は1としても11としても扱える。J(ジャック)Q(クイーン)K(キング)は、いずれも10として扱う)


最終的な数字が21に近い人が勝ち、21を上回った人は当然負けとなる。

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