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1-38 ちっこい奴は面倒だな

 遅くなってすみませんでした!

 ブックマークありがとうございます!


 分かれ道になる度に頭の上にいる奴が「右ぃー」だとか「左なんだなーこれが」だとか「右……と見せかけて左!!」だとか、さらには「左……と見せかけてやっぱり左!」などなどと叫んで道を教えてくれるのだが……。


「普通に道教えろや!」

「ええー。だってそれじゃあつまんないよー?」

「面白さは求めてねえんだよ!」

「あははっー。おもしろーい」


 ……このやろう。俺で遊んでいやがる。


「……あんたたち仲いいわね」


 隣で実久がジト目を向けてくるのだが、えっどこが?


「あっ。そろそろ地上だよー」


 ふとピピカが言う。


「次に広い空間があるんだけどその先の廊下が入ってきた時の穴だよー」


 穴? ああ、俺が開けた縦穴の事か。


「真っ直ぐ行けば地上ね」


 そういえば、実久は反対側に一回行ってるから出口を知ってるんだったな。


 そうしてやってきました広い空間。

 ここはあれだな。最初に三択の道を提示してきた部屋。


 この部屋に用はない。だからさっさと先に進もうと思ったのだが。


「……うわー」


 周囲の空間がぐにゃりと歪んだ。


 その次に起こることは明確だ。


 部屋一帯に黒が現れた。


「さーてと、どうしようかねー」

「あんたはその子を守ってなさい。攻撃はあたしがやるわ」


 確かに今は俺が背負っている幼女の安全が第一だな。


「なあ。実久って雷を遠距離攻撃としては使えないのか?」

「……ええ。外部に放出するのあまり得意じゃないのよね」


 マーレ師匠の話じゃ実久の実力はAランク相当って聞いてたけど、俺ってランク制度もよくわかってないからな。


 上にSって領域があるらしいけど、Aランクは高い方だったはずだ。

 確かに平均はE……だったか?


 ともかくだ。

 実力的には上位の実久でも極端に苦手な事があるんだな。誰でも得手不得手があるって事だな。


 背中の子がいるせいであまり自由に動けない。実久が離れると万が一がありえるからな。


 だから極力実久には遠距離攻撃で戦ってもらいたかったのだが、出来ないなら仕方ないか。


「ピピカ」

「おっけーおっけーっ!」


 頭の上に女の子座りをしていたピピカは立ち上がると同時に羽をパタパタとさせて定位置に行くと、ググッと力を込めた後、両腕を前方に突き出した。


「行くよ! 『精霊魔法・雷電』!」

「ちょっ!?」


 周囲に現れた化け物ども一掃しようといざ実久が走り出そうとした瞬間、ピピカの雷撃が無数に伸びた。


 大きな一本ではなく、初めて俺にこの魔法を見せてくれた時と同じように何本も細い雷を放ったピピカ。


 それらは実久の隣も通り過ぎて無数の化物たちを貫いていた。


「全滅とまではいかないか」

「うぐぐー。馬鹿にされてる気がするー」


 俺のつぶやきに悔しそうに唸るピピカ。それはただの被害妄想だ。


「ピピカちゃんだっけ? ここまでやってくれれば上出来よ。あとはあたしに任せなさい!」

「ボクと同じ属性?」


 電気を纏い、走り出しだ実久を見てぼそっと漏らすピピカ。


「はっ!」


 電撃の纏った拳一撃で確実に化物を滅していく実久。


 ピピカのおかげで敵の数もだいぶ少なくなっていたからな。すぐに終わるだろう。


 俺は敵の遠距離攻撃に注意しながら、じっと待っていた。


 なんかすると怒られる気がするしな。


「はいっ。ラスト!」


 最後の一匹を蹴り倒す実久。


 なんというか、元々はマドンナ的存在だったくせに、こっちでは完全に暴力女というか、ツンデレ枠というか……。まあ、まだデレがないけど。


「さて、行くわよ」

「おー」


 幼女を背負い直してから俺は先を歩く実久の後を追った。


 ピピカはいつの間にか俺の中に戻っているのだが、そろそろ地上だし、あまり姿を見られたくないのかもしれないな。


 精霊の目撃情報が極端に少ないのってみんなこんな風にシャイだからか?


 ピピカがシャイ? 自分で言っててなんか違和感。


 廊下を歩いていると俺が開けた穴の場所まで来れた。


 この穴を上がるのが楽なんだろうが、両手がふさがっている今の俺じゃ無理だな。


 空とか飛べないし。


「一輝。こっち」


 進入の際、この穴から俺と実久は別行動を取っていたのだが、こっちは正規の出口に繋がるはずだったな。


 一度行った事のある実久が先導となって俺たちは止めていた足を再び動かし始めた。


「……行き止まり?」


 廊下の先にあったのはただの壁だけだった。

 次回更新は水曜日です!

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