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瘴魔と蒼白のツルギ~世界を滅ぼす剣を持った少年と、問題児だらけの第七小隊~  作者: 堕落だらだら
第一章 始まりの夜明け

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第11話「タスケテ…」

 瓦礫の陰、青い炎に照らされたその輪郭は、確かに――他のどの瘴魔とも異なる、不気味な静けさを纏っていた。

 やがて、その影がゆっくりと立ち上がる。

「……あれ」

 白雨が息を呑んだ。

 人型だった。

 二足で立ち、腕があり、頭部らしき部位もある。だが、輪郭の端々からは黒い瘴気のようなものが絶えず立ち上っており、明らかに人間ではないとわかる異様さを纏っていた。

「人型の瘴魔なんて、聞いたことないぞ……」

 鬼頭が声を震わせる。

 その人型の個体は、周囲に散らばっていた瘴魔たちを――まるで従えるように、次々と自分の後方へと引き連れ始めた。統率された動きだった。これまでの瘴魔にはあり得ない、明確な意思を感じさせる動きだった。

「あれ、蒼司さんの方に向かってます!」

 御影が声を上げる。人型の個体は、無数の瘴魔を引き連れたまま、まっすぐに蒼司の方角へと進み始めていた。

「――まずい」

 志摩が真っ先に反応した。腰の武装に手をかけ、駆け出そうとする。

「俺も行く。お前ら、続け」

「隊長!」

 白雨たちも慌てて後に続こうとした、その時だった。

「――志摩さん、待ってください」

 紫音の声が、静かに、しかしはっきりと割り込んだ。

「なんだ、今は一刻を争う場面だぞ」

「わかってます。だからこそ、ここは俺たちに任せてください」

「お前らって、蒼司はあそこにいるんだぞ。援護が必要だろう」

 志摩の言葉に、紫音は小さく首を振った。

「援護は出します。ただし、志摩さんたちが前に出る必要はありません」

「――どういうことだ」

「ウチの狙撃手に、あの群れごと爆撃させます」

 その一言に、志摩も、白雨たちも、一瞬言葉を失った。

「爆撃って……お前、蒼司はあの近くにいるんだぞ」

「多少巻き込みますけど、死にはしません。あいつは頑丈だけが取り柄なので」

「頑丈で済ませていい問題か、それ」

 志摩が思わず声を荒げる。だが、紫音の表情に迷いはなかった。

「時間がありません。判断させてもらいます」

             *

 紫音はデバイスを操作し、通信の周波数をこちらの小隊内だけの回線へと切り替えた。

「――聞こえるか。座標を送る」

 短くそれだけ告げ、人型の個体と、その周囲に群がる瘴魔の座標情報を転送する。応答は、一言だけだった。

「……了解。ちょっと待って、狙点合わせるから」

 声は、紫音の耳元だけに小さく響き、周囲の志摩たちには聞き取れなかった。

「――今、何と?」

 黒瀬が怪訝そうに問う。

「準備ができたそうです。もうすぐ来ます」

「もうすぐって、どこから――」

 黒瀬の言葉は、最後まで続かなかった。

 遠く、地平線の向こうから、甲高い風切り音が空を裂いた。

 それは、まるで迫撃砲のような、緩やかな放物線を描く軌道だった。青白い光の弾が、空を横切るように、ゆっくりと、しかし確実に狙点へと吸い込まれていく。

「――は?」

 白雨が呆然と、その光跡を目で追った。

「今の、どこから撃ってるんですか。全然見えないんですけど」

「相当遠くからだと思います。あいつの狙撃範囲は、俺も正確には把握しきれてないので」

「あいつ、って……」

 御影が問いかけようとするが、紫音はそれ以上、名前を口にしなかった。

 光弾は、人型の個体と、その周囲に群がる瘴魔の群れの真上へと着弾した。

 直後、地面全体を揺るがすほどの爆発が巻き起こった。

 轟音と共に土煙が空高く立ち上り、周囲の瓦礫がまるで爆風に押し流されるように吹き飛んでいく。爆心地の近く――ほんの僅かにその範囲に、蒼司の姿もあった。

 紫音のデバイスから、微かに蒼司の抗議する声が漏れ聞こえてきた。何を言っているかまでは、志摩たちには聞き取れない。

「――ちょ、待っ、それ俺のこと巻き込んで――」

「うるさい、ちょっと痺れてるだけでしょ」

 その一言も、紫音だけに届いていた。

「……あの、蒼司さんも巻き込んでませんでした?」

 御影が恐る恐る志摩に確認する。

「巻き込んでたな」

「大丈夫なんですか、それ」

「――大丈夫らしい」

 紫音は特に慌てる様子もなく、デバイス越しに淡々と答えた。

「蒼司、生きてるな」

 小さく漏れ聞こえた声から察するに、蒼司は何やらまだ文句を言っているようだったが、紫音はそれをあっさりと聞き流した。

「はいはい」

「――『はいはい』で流していいんですか、これ」

 白雨が、思わず志摩に問いかける。志摩は複雑な表情のまま、乾いた笑いを漏らした。

「……第七小隊、噂以上に規格外だな」

「隊長、さっきの狙撃、誰がやったんですか」

 鬼頭が興味津々に尋ねる。志摩は一瞬言葉に詰まったが、結局は曖昧に答えるに留めた。

「……第七小隊のもう一人だ。詳しいことは、俺の口からは言えん」

「秘密主義ですね」

「向こうの事情もあるんだろう。詮索するな」

 誰も、それ以上言葉を続けられなかった。

             *

 土煙が徐々に晴れていく。

 着弾地点周辺、無数にいたはずの瘴魔の群れは、その爆撃によってほとんどが消し飛んでいた。焦げた地面と、崩れた瓦礫だけが残された荒野の中心――そこに、たった一体だけ、まだ人の形を保った影が立っていた。

「……嘘だろ」

 白雨が、思わず声を漏らす。

「あの威力を、まともに喰らって生きてるんですか」

「今の狙撃をまともに受けて生存する個体なんて、今まで見たことないぞ」

 鬼頭も、信じられないという顔で呟いた。

 人型の個体は、体の一部が焼け焦げ、黒い瘴気を纏った輪郭も僅かに揺らいでいる。だが、それでも、確かにそこに立ち続けていた。

 その様子を、少し離れた場所から蒼司が見つめていた。

「――お前が、親玉か?」

 蒼司は青と白の剣を構え直しながら、ゆっくりとその個体へと歩み寄っていく。ここまで戦い続けたことで、彼の全身にはまだ僅かに蒼い炎が揺らめいていた。

「ようやく本命とご対面ってわけだ」

 人型の個体は、答えなかった。ただ、ゆっくりと蒼司の方へと顔を――もし顔と呼べる部位があるならば――向けた。

「……ま、話が通じる相手かどうかは知らないけどな」

 蒼司が剣を大きく構え、間合いを詰めようとした、その瞬間だった。

 人型の個体が、静かに右手を持ち上げた。

 何かが起きた、という予感すらなかった。

 次の瞬間、蒼司の体が、まるで見えない何かに殴りつけられたかのように、勢いよく吹き飛ばされていた。

「――っ!?」

 蒼司の体が地面を何度も跳ねながら転がり、瓦礫にぶつかってようやく止まる。

「――蒼司!」

 紫音の声色が、初めて明確に変わった。

「志摩さん、行きます!」

「ああ、こっちも行くぞ!」

 紫音が駆け出すと同時に、志摩たち五人もそれに続いた。今度は、紫音もそれを止めなかった。

「――蒼司、無事か!」

 紫音が真っ先に駆け寄り、蒼司の体を支え起こす。

「い、いって……なんだ、今の……」

 蒼司は呻きながらも、なんとか身を起こした。目立った外傷はないようだったが、明らかに何か、目に見えない衝撃を受けた様子だった。

 全員の視線が、再び人型の個体へと向く。

 その個体は、右手を上げたままの姿勢で、静かにそこに立っていた。焼け焦げた輪郭の中、黒い瘴気が緩やかに揺らめいている。

「……あれは、一体」

 志摩が、警戒を緩めないまま呟いた。

 その時だった。

 人型の個体の輪郭が、僅かに震えた。まるで、何かに耐えているかのように。

 そして――

「タスケテ……」

 掠れた、けれど確かに、人の言葉として聞き取れる声が、その口から漏れた。

 その場にいた全員が、言葉を失った。

【蒼司】

「はい、第11話終了ー! ……って、おい紫音! 味方ごと爆撃するとか聞いてねぇぞ!」


【紫音】

「生きてるから問題ない。」


【蒼司】

「問題しかねぇよ!」


【紅華】

「でも吹っ飛んだ蒼司、ちょっと面白かった。」


【蒼司】

「笑うな!」


【翡翠】

「私も『あ、今回は三回転くらいしたな』って見てました。」


【蒼司】

「お前まで!?」


【紫音】

「……読者の皆さんも、ちゃんと生存確認できたので安心してください。」


【蒼司】

「俺の命で安心すんな。」


【紅華】

「ところで作者が、『ブックマークと★★★★★評価が欲しい』って泣いてたよ。」


【蒼司】

「お前、自分で言えよ作者。」


【翡翠】

「恥ずかしいらしいです。」


【蒼司】

「じゃあ俺たちに言わせるな!」


【紫音】

「というわけで、続きが気になる方はブックマークと評価をお願いします。」


【蒼司】

「お願いしまーす! 作者のやる気ゲージが上がるらしいです! ……たぶん!」


【紅華】

「上がらなかったら?」


【蒼司】

「その時は作者を男女平等パンチしとく。」


【作者】

「やめて。」

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初めまして!見てるだけでも笑顔になる♪(*^▽^*)最初だけど、全力応援中~٩((*´︶`*))۶
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