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瘴魔と蒼白のツルギ~世界を滅ぼす剣を持った少年と、問題児だらけの第七小隊~  作者: 堕落だらだら
第一章 始まりの夜明け

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第10話「噂の小隊」

 第二防衛ラインに到着した瞬間、蒼司たちの目に映ったのは、地平線を埋め尽くすほどの瘴魔の群れだった。

「……マジかよ」

「数、昨日よりさらに増えてる」

 紫音が険しい顔で呟く。防衛ラインを張っていた部隊は、既に押され気味だった。悲鳴に近い怒号と、瘴魔の咆哮が入り混じり、戦場全体が悲鳴を上げているようだった。

「志摩さん」

「なんだ」

「――俺に前を任せてもらえますか」

 紫音の提案に、志摩が眉を上げる。

「一人でか」

「はい。蒼司なら、この数を捌けます。俺たちは後方から援護と索敵に回ります。志摩さんの部隊は、一旦待機して様子を見ていてください」

「……本気で言ってるのか」

「本気です」

 志摩はしばらく蒼司を見つめてから、小さく息を吐いた。

「――わかった。おい、お前ら、下がって待機だ」

「隊長、それは……」

 志摩の背後に控えていた四人の部下が、戸惑ったように声を上げた。

「いいから見てろ。百聞は一見に如かず、ってやつだ」

             *

「よっしゃ、行くか!」

 蒼司はそう言うが早いか、剣を構えて瘴魔の群れへと単身で突っ込んでいった。

「うおおおおおおお!!」

 開口一番の雄叫びが、戦場に響き渡る。

「――は?」

 その勢いに、女剣士が思わず声を漏らした。

「隊長、あの人、一人で突っ込みましたけど。頭大丈夫です?」

「見りゃわかる」

「見りゃわかりますけど、正気かどうかは別問題でしょ」

 紫音は、その様子を横目にしつつ、志摩へと向き直った。

「志摩さん。ちょうどいいので、皆さんのことを紹介してもらえますか。これから一週間、一緒に動くことになりますし」

「ん、そうだな」

 志摩は頷くと、まず一人目へと視線を向けた。

「――白雨」

「はい」

 腰に長刀を佩いた女が、一歩前に出る。

「こいつは白雨綾乃。うちの部隊で一番の斬り込み役だ」

「白雨綾乃です。よろしくお願いします、紫音さん」

 白雨は不敵な笑みを浮かべながら、紫音に向かって軽く頭を下げた。

「戦うの、結構好きな方なんで。皆さんの動き、楽しみにしてますよ」

 その背後――戦場の中心では、蒼司の剣が瘴魔の群れを次々と斬り伏せていた。

「うおおおお、もっと来い、まとめて相手してやる!」

 剣が一閃するたびに、数体の瘴魔がまとめて光の粒子となって消えていく。

「――続いて、こいつだ」

 志摩は、二人目へと視線を移した。

「鬼頭」

「――おう」

 がっしりとした体格の男が、短く応じて前に出る。拳には特殊な籠手が装着されている。

「鬼頭豪だ。うちの前衛の壁役をやってる。まぁ、ヘイトタンクって言ったら分かりやすいか」

 鬼頭は、それだけ言うと軽く頭を下げた。必要以上には語らないが、その分、視線には鋼のごとき落ち着いた力強さがあった。

「――どいつだ、俺の頭殴りつけた奴!ぶっ殺すぞ!」

 蒼司の怒声が、遠くから届く。触手のような一本を斬り飛ばしながら、彼はさらに前へと踏み込んでいた。

「気にしなくていいのか、あれ」

 鬼頭が視線だけをそちらへ向けて呟く。

「大丈夫です。あいつはああみえて頑丈ですから」

 紫音が涼しい顔で答えると、鬼頭は小さく肩をすくめた。

「――で、こっちが」

 志摩の視線が、三人目へと移る。

「御影」

「はい、志摩隊長」

 空中に十四基もの小型ガジェットを浮遊させた女が、静かに一礼した。

「御影千夏と申します。射撃を担当しております。至らぬ点も多いですが、よろしくお願いいたしますね」

 柔らかく、丁寧な口調だった。物腰の落ち着いた、どこか品のある佇まいが印象的だった。

「精密射撃が専門で、複数目標への同時対応もできる。この部隊の命綱だ」

 志摩の説明に、御影は少し照れたように微笑んだ。

「隊長がそう仰ってくださると、光栄ですわ」

「うわああ、しつこいんだよお前ら!タコ野郎にイカ野郎!」

 蒼司の悲鳴じみた声が、また戦場の向こうから響いてくる。数に押されながらも、彼は決して足を止めなかった。

「……本当に、平気なんですか、あれ」

 御影が、僅かに心配そうな声で尋ねる。

「平気です。あれでも本人なりに、ちゃんと勝ってますから」

「そう、なんですね……」

 御影は少し戸惑いながらも、それ以上は聞かなかった。

「最後は、こいつだ」

 志摩の視線が、四人目へと移る。

「黒瀬」

「……はい」

 短剣を両手に構えた、細身の男が静かに前へ出た。表情はほとんど動かない。

「黒瀬隼人。索敵と補助攻撃を担当している。冷静な判断力には定評がある」

「よろしくお願いします」

 黒瀬は、それだけ言って再び視線を戦場へと戻した。四人の中でも、最も落ち着いた佇まいだった。

「――今の紹介の間も、随分と騒がしいですが」

 黒瀬が、蒼司の方向を一瞥しながら淡々と呟く。

「あちらの方は、いつもああなのですか」

「まあ、大体こんなもんです」

 紫音が答えると、黒瀬はそれ以上、感想を口にすることはなかった。ただ、静かに戦況を見つめ続けている。

             *

 蒼司の暴れっぷりは、時間が経つにつれて、さらに苛烈さを増していった。

「まだまだ来い、いくらでも斬ってやる!」

 剣を振るうたびに、青白い炎が刃を伝い、やがて彼の腕、肩、全身へと広がっていく。斬撃の一つ一つが、爆発じみた閃光と轟音を伴い、瘴魔の群れを次々と薙ぎ払っていった。

「……なんか、途中から炎纏い始めたんですけど」

 白雨が、呆然とした声で呟いた。

「あれもガジェットの効果なんですか、紫音さん」

「いや」

 紫音が首を振る。

「あれは、あいつ自身の体質です。ガジェットを介さず、直接エネルギーを放出できる。理屈は俺も詳しくは知りません」

「反則みたいな体質だな。ガジェット要らずとは」

 鬼頭が乾いた笑いを漏らした。

「キレるとスイッチが入るらしいので、あんまり羨ましくもないですけど」

「あら、キレるとどんどん強くなるなら、一周回って便利なのでは?」

 御影が、上品な仕草で首を傾げる。

「気になるなら、後で本人に聞いてみてください」

 紫音がそう返す間にも、蒼司の勢いは止まらなかった。押し寄せる瘴魔の数は膨大だったが、それを上回る速度で、彼は敵の密集を切り崩していく。青い炎の光量は、戦うたびにどんどん増していき、今や彼の全身が青白く発光しているようにすら見えた。

「……凄まじいですね、本当に」

 白雨が思わず呟いた、その時だった。

「――志摩隊長」

 御影千夏の声が、僅かに強張った。

「どうした」

「あそこ……蒼司さん、でしたか。あの方の、少し後方――右奥の瓦礫の陰」

 彼女は十四基のガジェットのうち、数基をその方向へと向け直した。空中に投影された照準データが、瓦礫の裏に潜む何かの輪郭を、僅かに捉えている。

「あれ、他の瘴魔と、明らかに反応が違います」

「――なに?」

 志摩の表情が、一瞬で険しくなる。

「詳しく言え」

「動きが、遅い……いえ、違いますね。意図的に、動きを抑えているようです。周りの瘴魔とは、明らかに毛色が違います」

 御影の声には、隠しきれない緊張が滲んでいた。

「……妙ですね」

 黒瀬も、静かにその方向へと視線を向ける。

「これまでの瘴魔とは、明らかに異質な反応です。念のため、警戒しておくべきかと」

「隊長、これって」

 白雨、鬼頭も、一斉にその方向へと視線を集中させた。

 瓦礫の陰、青い炎に照らされたその輪郭は、確かに――他のどの瘴魔とも異なる、不気味な静けさを纏っていた。

あとがき

蒼司 「今回は俺、カッコよくなかった?」

紅華 「調子に乗ると次の話で痛い目見るよ。」

蒼司 「メタなこと言うな!」

翡翠 「というか、今回ほぼ蒼司しか戦ってなくない?」

蒼司 「主人公だからな!」

紅華 「サボってただけだけど。」

蒼司 「言い方!」

翡翠 「私はちゃんと待機命令守ってたし。」

蒼司 「お前はいつも楽してるだろ!」

翡翠 「遠距離職を舐めるな。筋肉痛ゼロだよ。」

蒼司 「羨ましい!」

紫音 「お前ら、読者が『いい話だったな』と思ってる余韻を壊すな。」

蒼司 「もう壊れてる?」

紅華 「木っ端微塵。」

翡翠 「ところで皆さん。」

蒼司 「急に営業モード!?」

翡翠 「ブックマークと評価をお願いします。」

紅華 「しないと蒼司が調子に乗ります。」

蒼司 「それ罰になってない!」

紅華 「もう手遅れだけどね。」

蒼司 「ひどっ!」

紫音 「……感想、評価、ブックマークは作者の励みになります。よろしくお願いします。」

蒼司 「紫音だけ急に公式コメント!」

四人 「それでは、第11話でお会いしましょう

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