表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
瘴魔と蒼白のツルギ~世界を滅ぼす剣を持った少年と、問題児だらけの第七小隊~  作者: 堕落だらだら
第一章 始まりの夜明け

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
10/17

第9話「大きすぎる足跡」

「はい、ゆうと君。温かいうちに食べて」

 野営地の簡易テーブルで、紅華がスープの入った器をゆうとの前に置いた。ゆうとは小さな両手でスプーンを握り、まだ少し震える手つきでそれを口に運んだ。

「……美味しい」

「でしょ。翡翠、パンもあっためて」

「はいはい」

 翡翠が焼き上がったパンを皿に載せて渡すと、ゆうとは少しだけ、緊張の抜けた表情を見せた。

「大丈夫だよ、ここには変な生き物は来ないから。ゆっくり食べなさい。」

「来てもあっちに居る怖いお兄さん達が追い返してくれるしね」

「うん、」

 紅華が優しく頭を撫でると、ゆうとはこくりと頷いた。

             *

 その様子を少し離れた場所から見ながら、紫音は蒼司を近くの物陰へと呼び寄せていた。

「もう一度、状況を整理させてくれ」

「さっき話した通りだよ。ゆうとが指した方向、崩れた建物の近く。それ以上のことはわかんない」

「本当に、それだけか」

「ああ。母親を連れ去った瘴魔の姿も、あの子はちゃんと見てないみたいだ。ただ『変な生き物』としか」

 紫音は腕を組み、しばらく考え込んだ。

「……気になるのは、あの一帯だ。封鎖区域の中でも、比較的安全とされてた場所のはずなんだが」

「それが今回破られたってことだろ」

「だとしたら、なぜ今なのか、が引っかかる」

「難しいこと考えるのは紫音の仕事だろ。俺は前で暴れる担当」

「その割り切り方、いつも通りだな」

 紫音は小さく息を吐いた。

「ゆうとの世話は紅華と翡翠に任せよう。俺たちは、少し情報を整理しておきたい」

「了解」

             *

 二人がテントの外で話し込んでいると、遠くから車両の音が近づいてきた。

「――志摩さん」

 姿を現したのは、志摩と、その背後に続く四人の部下たちだった。

「一個小隊、連れてきた。しばらく、こっちの防衛に俺の部下から人手を割こうと思う」

「ありがたいです」

 紫音が頭を下げると、志摩は周囲を見渡し、テントの奥で食事をとるゆうとに視線を向けた。

「あの子か」

「はい。改めて、状況を説明します」

 紫音は、ゆうとから聞いた話――母親と散歩していたこと、突然瘴魔に連れ去られたこと、場所――を、順を追って説明した。

「なるほどな」

 志摩は難しい顔で頷いた。

「実は、その現場、こっちでも確認してきた」

「痕跡が?」

「ああ。周辺に、かなりはっきりした足跡が残っていた」

「それは……」

「――ただ、少し妙なんだ」

 志摩は、地図を広げながら続けた。

「足跡が、あまりにも大きい」

「大きい、というと」

「うちの部隊の誰も見たことがないサイズだ。もし、その足跡から推定される体格の瘴魔が本当にいるなら――間違いなく、もっと目立ってる。誰かが既に目撃してるはずなんだ」

「……確かに」

 蒼司も眉をひそめた。

「あれだけ多くの共鳴者が周辺を巡回してる中で、誰も気づかないなんて」

「そこがおかしい。だから、俺も断定はできないでいる」

 三人は、それぞれ黙り込んだ。地図の上に描かれた封鎖区域の地形図が、風もないのに小さく揺れているような気がした。

「……何かが、隠れてるとかか?」

 紫音がぽつりと呟いた、その時だった。

 志摩の腰から、通信端末が鋭い音を立てた。

「――なんだ」

 志摩が応答すると、無線の向こうから、切迫した声が響いた。

『志摩隊長、応答願います! 第二防衛ラインで――』

「どうした」

『瘴魔の数が想定を超えています! このままでは防衛ラインが突破されます!』

「なに?」

 志摩の顔色が変わる。

『それだけじゃありません。群れの中に、一体……明らかに他とは違う個体が確認されています!』

「違う個体、とは」

『……“異質”としか言いようがありません。詳細は不明です。ですが、これまでのどの瘴魔とも、まるで別種のように見えます』

 通信の向こうで、悲鳴に近い怒号と、爆発音のようなものが響いていた。

「――志摩隊長、至急応援を!」

 通信が乱れ、雑音とともに途切れる。

「……おい、今のは」

 蒼司が息を呑む。志摩の表情は、これまで見せたことのないほど硬くなっていた。

「行くぞ。第二防衛ラインだ」

「志摩さん、状況が――」

「わかってる。だが、これ以上は聞いてる時間がない」

 志摩の声に、周囲の空気が一気に張り詰めた。連れてきたばかりの部下たちも、慌てて装備を確認し始める。

「紫音、蒼司、お前らも来い。紅華と翡翠には、ここでゆうとを守っててもらう」

「了解です」

 紫音が短く答えると同時に、蒼司も剣の柄に手をかけた。

「……“異質”って、何なんだよ、一体」

 誰にも答えられない問いだけが、慌ただしく動き出す野営地の空気の中に、いつまでも残っていた。


あとがき

蒼司 「今回さ、珍しく俺、真面目じゃなかった?」

紅華 「うん。」

蒼司 「即答!?」

翡翠 「主人公なのに今回は"保護者A"だったね。」

蒼司 「それ言う!?」

紫音 「たまにはこういう話も必要だ。」

蒼司 「でも最後さ、"異質な瘴魔"とか出てきて完全にシリアス空気だったじゃん。」

紅華 「安心しなさい。」

蒼司 「何を?」

紅華 「次回にはその空気、あんたが壊すから。」

蒼司 「俺、空気清浄機か何か!?」

翡翠 「むしろ空気汚染。」

蒼司 「毒舌が自然すぎる!」

紅華 「ところで読者のみんな。」

蒼司 「急に真面目!?」

紅華 「ブックマークして。」

蒼司 「お願い雑すぎるだろ。」

翡翠 「評価もしてね。★★★★★で。」

蒼司 「圧が強い!」

紅華 「別に★★★★でもいいよ。」

蒼司 「優しい!」

紅華 「その代わり蒼司が泣く。」

蒼司 「俺が被害受けるの!?」

翡翠 「★★★以下だったら作者が部屋の隅で体育座りするらしいよ。」

蒼司 「勝手に作者のメンタル設定増やすな!」

紅華 「だからブックマークと評価よろしく。」

蒼司 「頼み方が雑!」

翡翠 「あと感想もね。"蒼司カッコよかった"だけでも作者は一週間ニヤニヤできる。」

蒼司 「そこは"作品面白かった"でいいだろ!」

紫音 「……以上、作者が生活を維持するための宣伝でした。」

蒼司 「生活って言うな!」

紫音 「では、また第10話で。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ