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新入生歓迎会です!

それから一週間が経った。



私の日常は相変わらずである。

以前と大きく変わったことと言えば、桐生君と親交を持つようになったということだ。

あれから桐生君は毎日ではないものの、ちょくちょくと昼食に誘ってくるようになった。



そして何故かヒロイン・朱里とも関わりを持つようになった。

ヒロインと仲良くなるのは悪い気はしないから別にいいが、攻略対象たちとの恋の進展具合がどうなっているのかが気になる。

しかし、知り合って間もない今恋バナをするのはいくらなんでも……という気持ちから聞けず仕舞いだった。



そんなこんなで私は今日も朝のショートホームルームに参加していた。



「今日は新入生歓迎会があるから、各自で準備をしておくように」



あっ、新入生歓迎会。

部活に入っていないためすっかり忘れていた。



この学校では、四月に新入生に向けた歓迎会が行われる。

そこでは生徒会による発表、部活紹介・勧誘などが主である。



ちなみに私・五条日和は帰宅部である。



流星は普通に部活に所属しているため、私はいつも部活が終わるまで彼を待っていた。

彼の部活に見学に行ったりして暇を潰していた。

今考えると本当にすごい女だったなと思う。

好きな人のためでも普通はそこまで出来ない。



新入生歓迎会かぁ……。

まぁ、見るだけだしそんなに深く考えなくてもいっか!





***





そしてあっという間に今日の授業は終了し、新入生歓迎会の時間となった。

学校の生徒全員が、第一アリーナに集まっている。



「日和ちゃん、楽しみだね!」

「え、あ、あぁ、そうだね!」



何故か、私と朱里は一緒に新歓を見ることとなってしまった。

朱里は今年転校してきたので、もちろん部活には入っていない。

だから二人揃って観客席だ。



……だけど、案外悪い気はしないかも?



何故そんなことが言えるのかというと、朱里が誰のルートに行くかはこれによって決まると言っても過言ではないからだ。



攻略対象は阿久津京也を除いて全員が部に所属している。

それも女子マネージャー枠のある運動部だ。



そう、つまり朱里がどの部の女子マネージャーとして入るかで私の命運は決まる。

流星ならバスケ部、桐生君ならサッカー部……といったように。

ちなみに帰宅部の阿久津ルートに行く場合、彼女の部活選びは一旦保留ということになる。



第一アリーナでは、既に新入生たちが用意されていた椅子に座っていた。

私たち部活に入っていない上級生からは後ろからの見学である。



今回の歓迎会では、生徒会の一人が進行を務める。



「それでは、新入生歓迎会を始めます!」



マイクを持ち、声高らかに叫んだ。

最初は新入生たちが一番期待を寄せているであろう部活紹介である。

高校生活の青春の代表ともいえるだろう。



「トップバッターは……サッカー部!」



――サッカー部。

他でもない、桐生君が所属している部活である。

そして彼はサッカー部の次期キャプテンだと言われている。

つまり、相当サッカーが上手いということだ。



その声に合わせてアリーナの扉からサッカー部の部員たちがなだれ込んできた。



「新入生の皆さん、こんにちは!サッカー部キャプテン三年の青山茂樹です!」



マイクを持って部活紹介をするキャプテンの後ろでは、部員たちがユニフォームを着てそれぞれの活動をしている。

リフティングをしている者、仲間同士でプレーしている者、様々だ。



あれ、この先輩……

どこかで見たことあるなと思ったら桐生力人ルートで出てくるキャラではないか。

あのときは「先輩」としか書かれていなかったが、青山茂樹って名前だったのか。

たしか、桐生君が最も尊敬している先輩のはずだ。



桐生ルートでヒロインは彼とかなりの頻度で関わることとなる。

桐生君と上手くいかなかったときの相談相手がまさに彼なのだから。



青山先輩が喋っている間に、私は彼の後ろで各自プレーをしている部員たちに目をやった。



桐生君は…………いた!

彼は隅の方で一人でプレーをしていた。

そっか……桐生君はあまり前に出たがる人じゃないし、人との関わりも最小限だもんなぁ……。



それにしても青いユニフォームが本当によく似合っている。

たとえ話したことが無くとも、女子はあの姿に恋に落ちてしまうのだろう。



「あ、日和ちゃん!あれって同じクラスの桐生君かな?」

「う、うん……そうだよ!」

「へぇ……サッカー部だったんだね!」



お、これはもしかして桐生ルートか!?






「続いては、陸上部!」



サッカー部が退場し、今度は陸上部がアリーナへ入って来た。

「陸上部」という言葉を聞いて私はピンと来た。



ちょっと待って……陸上部ってたしか……



私は部員の中にいるであろう”ある人物”を探した。

や、やっぱりいた……!





――攻略対象その④・一ノ瀬雅



小柄で可愛らしい容姿を持つキャラである。

その可愛い容姿とは裏腹に、彼は意外と毒舌だ。

そのギャップが最高!みたいな感じで一ノ瀬推しも前世ではかなりいたんだよなぁ……。



一ノ瀬君の種目はたしか長距離だ。

しかし、彼は短距離走もかなり速いらしい。

流星や桐生君たち他の攻略対象と同じで基本何でも出来るようである。



断罪回避に夢中で彼の存在をすっかり忘れてた……。

同じクラスなのに、何ということだ。



「日和ちゃん、あれってもしかして一ノ瀬君?」

「そうだよ!」



あれ、一ノ瀬ルート説もあるのか?

ヒロインがどのルートに入るのか全く見当もつかない。





それからテニス部、吹奏楽部、美術部など各部の紹介が次々と終わっていく。

そしてついに――



「さぁ、最後は男子バスケ部!」

「……!」



どうやら流星の所属している男子バスケ部は一番最後のようだ。

その声に合わせてバスケ部員たちがアリーナに入って来た。



あ、流星!



その中にはもちろんエースである流星もいた。

来て早々、アリーナでバスケ部員による模擬試合が始まった。

ウチの高校の男子バスケ部はかなり強い。



うおぉ……元々上手い人が集まってるからか何か迫力があるな……。

遠くから見ているだけなのに圧倒されている自分がいた。



「――流星!」



しばらくして、流星にボールがパスされた。

両手でボールをキャッチした彼はドリブルしながらリングへと向かっていく。

そして……



「「「キャーーーーー!!!」」」



その瞬間、アリーナに女子たちの歓声が響き渡った。

これはすごい。

流星が見事に決めたのだ。



「わぁ!すごいねぇ!あれって同じクラスの皇君だよね?」

「うんうん、そうだね!」

「運動出来るんだねえ」



お、これは誰のルートに入るか本当に分からなくなってきたな。



そう思いながら流星を見たそのとき、シュートを決めた後の彼と目が合った。



あ……

何だか恥ずかしくなって、ぷいっと視線を逸らした。



「それでは、これで部活紹介を終わりにしたいと思います!」



私はそこでヒロインの方を見た。



「朱里ちゃん、部活決まった?」

「あ、うん……」

「お、何部にするの?」

「えっと……その……実はね……」



何か勿体ぶってるな。

だけどこれで朱里がどのルートに入るのかが確定する。

そのため、私としてはどうしても彼女の答えを聞いておく必要があるのだ。



一体どのルートに行くの!?



「私ね……実は前から楽器に興味があって……吹奏楽部に行こうかなって……」

「……え」



な、何!?!?!?

吹奏楽部って何!?誰ルート!?



しかしヒロインから返って来たのは衝撃的な答えだった。



「す、吹奏楽部かぁ……い、良いと思うよ!」

「日和ちゃんもそう思う!?良かった!」



朱里は愛らしい顔で微笑んだ。

そんな顔されると何も言えないではないか。



「ねぇ、朱里ちゃんは運動部には入らないの?」

「私運動そんなに好きじゃないし、文化部がいいなって前から思ってて」

「じゃあ、運動部のマネージャーとかは!?」

「えー……だってあれ、男の人ばっかりでしょ?ちょっと怖いなぁ……」



な、何だって!?



「続いては生徒会の発表でーす!」



「生徒会発表だって!楽しみだね、日和ちゃん!」

「う、うん……そうだねえ……」



その後の生徒会発表は、まるで頭に入って来なかった。



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