表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/32

異変 流星side

「キャー!!!皇くーん!!!」

「……」



その日、俺はいつものように体育館で練習に励んでいた。



「流星!行け!」



仲間のその声で、リングに向かってボールを飛ばす。



「……」




――また、外した。

新学期が始まってからの俺はずっとこんな調子である。



こんなに連続でゴールを外すのは初めてだ。



「皇君また外した……」

「今日の皇君いつもと違うみたい……」



女子のヒソヒソした声が聞こえてくる。

だけど今はそんなのどうだっていい。

――俺が求めてる声は、これじゃないから。



部活が終わった後、俺は先輩に呼び出された。



「流星、お前最近どうしたんだ?」

「……すいません」



自分でも原因が分からなかった俺は、ただ謝罪することしか出来なかった。



「……もしかしたら、スランプに陥っているのかもしれないな」

「スランプ……ですか?」

「ああ、最近何か変わったこととかないか?」

「変わったこと……」





『流星!!!頑張って!!!』





「………!」



何故かそのときの俺の頭に浮かんだのは体育館の隅で応援する日和の姿だった。

日和は部活がある日は毎日のように俺の応援に来ていた。



男子バスケ部の応援に来る女子は別に少なくは無い。

今日もアリーナが女子たちの歓声で溢れかえるほどだった。

だけど――



……何で、アイツの声だけあんなに鮮明に耳に入って来ていたんだろうな。



独特な声をしているわけでもないというのに、日和の応援だけは何故だかいつも鮮明に聞き取れた。



「……どうやら心当たりがあるようだな」

「あ……」

「お前はしばらくの間休め。先生には俺から言っておくから」

「で、ですが……」

「これは強制だ。あんまり女子たちを悲しませるなよ」

「先輩……」



結局、俺は強制的に休みを取らされることになってしまった。

こんな自分が情けなくて嫌になる。





「流星!」



部活終わりの俺に、同級生が話しかけてきた。



「相変わらずお前の人気凄いな!」

「……そうか?」

「おいおい、知らないのかよ。応援に来てる女子の九割はお前狙いだぞ」

「……俺は興味が無い」

「そんなにモテるのに勿体ないやつだなぁ」



そこで俺は、体育館の隅にいた女子たちに目をやった。

ちゃんと姿を見るのは初めてかもしれない。

それほどに興味が無かった。



俺と目を合わせた女子たちが騒ぎ立て始めた。



「あれ、そういえば最近あの子来てないな」

「……!」

「ほら、いつも流星の近くにいるあの子だよ」



――日和。

そういえば最近日和と登下校をしていない。

今までは部活が終わる俺を待っていたのに、今となってはすぐに帰ってしまうから。

それに何故だか朝も迎えに来なくなった。

昼だって……



『行くか、五条』

『うん、桐生君!』



……何で力人が日和を昼食に誘うんだ?

あの二人は一体いつの間に仲良くなっていたのだろうか。

何故か分からないが無性に腹が立つ。



「毎日応援に来てたのに、最近になってパッタリと来なくなったな」

「……」



あの日だって、一緒に帰れないと言われて困惑した。

そして気付けばいつもアイツがやっているように靴箱のところで日和を待っていた。



俺は一体誰を待っているんだ?と、そんなことを思いながらも。





「……流星?」

「……あ」



同級生の声で我に返った。



「本当にどうしちゃったんだよ……最近のお前何だか変だぞ……」

「……何でもない」

「本当か?」



自分を心配そうに見つめる同級生を無視して、俺は帰りの支度をした。




***




その日の帰り。

俺は一人で家までの道を歩いていた。

思えば、この道を一人で歩くのは初めてかもしれない。

毎日のように日和と登下校をしていたから。

しかし、今は隣を見たところでアイツはいない。



『流星!さっきの流星本当にかっこよかったな!さすが男子バスケ部のエースだね!』



もしアイツがいたら、こんな風に笑顔で俺に話しかけてくれていたんだろうな。





「……!」



……俺は一体何を考えているんだ?



クソッ………。



こんなにも心を乱されるのは初めてだ。

俺らしく……ない……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ