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歪しい人の愛し方  作者: お麩の府


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5話 登校という名の修行

 天気は予報通り大雨であり、こんな日は正直外になど出たくないのだが、学校が休校になる気配など無いどころかご丁寧に親へ学校側から登校するよう伝達されていた。まぁ雨風が酷いなら兎も角雨だけならそうだろうなと納得しながら俺は集合場所へと向かった。

 3階のロビーを抜けて集合場所に行くと既にそこには制服姿の1人の少女の姿があった。


「ごめん、待たせちゃって。今5分前だけどいつから居た?」

「数分前かな〜。ハル君の事だしちょっと早めに来そうだと思ったから待たせちゃうのは嫌だなって」


 俺への理解度が高くて遥検定2級くらいなら余裕で取れそうだな。名前書いただけで合格あげちゃうかもしれない。遥検定の合格余裕すぎるだろ。


「そっか、それでナツが待つのもそれはそれで何かおかしいな」


 笑いながら言うとそれに呼応するようにナツも笑い出す。


「確かに、それはそうかも。それじゃ、お互い早めに集まれたし行こっか」

「だな、母親が雨の日の渋谷行きはヤバいって言ってたけど実際はどんなもんかはちょっと気になるんだよな」


 怖いもの見たさで気になってしまう。通勤ラッシュは朝の東京ないし朝のベッドタウンでは名物らしくもはや名物超えて日常と聞いた。


「んー、電車にもよるけど乗車率250%超えるのもあるらしいよ」

「250%って何……乗車率100%超えること自体意味分からないんだけど」


 インドみたいに外に人間がぶら下がってたりするのか?……

 俺はこれから乗るものに命の危険を感じて戦々恐々としていると、どうやらインドみたいな感じではないらしい。


「そもそも乗車率ってのが電車の定員数を100%としてるんだけど、その想定が席の数プラス吊り革の数プラスドア付近に立てる人の数らしいよ。150%がこっちだと空いてる部類の扱いで200%からが本番ってママが言ってた」


 200%が日常ってのが先ずおかしいがそれがどれくらいなのか想像も出来ない。東京ドーム何個分みたいな表し方とかも分かりにくいしね。ハマスタ何個分とかなら想像つくんだが。


「200%ってどんくらいの混雑具合なんだ?」

「200%はなんだっけな、確か人と人が触れ合うくらいで圧迫感を覚えるらしい」


 確かにそれは混雑だな。花火大会の帰りとかそんくらいだしそれと同じような感じか。


「で、250%がすし詰め状態。電車によっては車掌さんがホームに待機しててドアを閉める時に無理矢理押し込むらしい」

「もうそれ次の電車乗れよ……」

「次の電車も似たようなもんだよ」


 スゥゥゥゥゥゥ…。

 え、俺今からそれに乗るの?嘘でしょ?嫌だよ、帰りたい。雨だし。

 何故か無駄に詳しいナツの解説を聞きながら横浜駅を目指して歩いていると、15分程度で目的地に到着した。改札付近は人は居るものの、予想より人が少なく俺は少し安心した。

 話は盛られる事が多いためこれも例に漏れず盛られてるのだろうと確信して駅のホームまで向かい、2人で電車を待った。だがこの時の俺にはこの後起きる悲劇など知る由も無かった。


────────────────────────


「死ぬて…………」


 池尻大橋駅の改札を出た後階段を登って駅から出た時には俺は既に疲弊していた。


「いやー、人すごかったね〜。ハル君もう吐きそうな顔してるよ。大丈夫?」


 実際吐きそうだった。人生で初めて人酔いというものをした気がする。アレに毎日乗ってる人間の気がしれない。本当に同じ人間なのか?

 俺が吐きそうな程疲れ果ててる隣でナツは元気に歩いていた。


「ナツは大丈夫だったのか?…あの人混み」

「私は大丈夫だったかな〜、ハル君が守ってくれてたし問題無かったよ。ありがとね」


 混雑から守るというよりは痴漢から守るためにナツを壁側に寄せて俺が身体でガードするという体勢を取っていたのだがこれが予想以上にキツかった。でもこれに慣れなければいけないのは分かっているため順応しようと思う。………………出来るのか?


「お、おお。大丈夫なら良いんだ。俺もこれに慣れなきゃだな」


 そう。今回は早めに行ってこれなのである。ナツ曰くアレは通勤ラッシュの時間帯から少し外れてるらしい。東京魔境すぎるって……。


「これから雨とか関係無くこの時間に行こう。多分通勤ラッシュに直撃したら俺が死ぬ」


 間違いない。


「だね。ハル君めっちゃ辛そうだったし。今日は雨だったからってのはあるけどあそこまでとは私も思わなかったよ」


 東京はこれから都じゃなくて人外魔境・トーキョーとかダンジョントーキョーのように凶悪さを込めた名前で呼ばれるべきだ。国会で可決されないかな。

 そんな事を考えながら俺達は駒場台高校に向かった。

 この身体に追い打ちをかけるように目の前には坂があり、入学式の際は行きは親が車で送ってくれたから分からなかったのだがこの坂が想像の3倍くらいキツい。いや、本当にマジで。

 坂には箱形バッグを背負う駒台生の姿がかなり多く見られ、中には別の中高の制服の姿も見られた。調べてみたらこの付近には学校が3個くらいあるらしく、東京の恐ろしさを改めて実感した。


ここまで読んでいただきありがとうございます。


感想、ブクマ等々してくださるとモチベーションの維持になるのでありがたいです!

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