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歪しい人の愛し方  作者: お麩の府


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12/24

12話

 安芸坂先生は黒板に自分の名前を書き、2枚のプリントを配り始めた。

 配られたプリントに目を落とすと片方には日程と大まかな場所、そして泊まるホテルが記載されていた。もう片方にはレポートの概要についてが書かれていた。

 プリントの中身を要約すると、研究旅行自体は4泊5日で、2日目までは奈良に滞在した後電車を使って各班で京都に向かうらしい。そしてレポートの『はじめに』を1600字以内で体育祭前日まで、つまり5月15日までに提出しろとの事だった。え?キツくない?……


「2日目の集合時刻までに京都のホテルに着いてればいいから2日目が始まってからすぐに京都に行くのもアリではある。そこは各班自由だ。3日目〜5日目は京都滞在と書いてはいるがまぁ、府外に出るのも違反ではないからそこも自由だ。ただし集合時刻は守るように」


 その後に小さい声で「じゃないと野宿させちゃうぞ」と言っていたが流石に冗談だろう。

 安芸坂先生の説明を聞いていると、この研究旅行というものの意義が段々と見えてきた。多分これは他の学校で言う年1の泊まり行事なのだろう。普通はこれが名目上は勉強のためではあるが実態は遊び100%というのが大半だ。しかしこの駒場台高校は名目上ではなく完全に勉強方向にシフトしているという感じで、生徒からしたら普通の旅行にしろという意見が出てきそうなものだった。


 自由度が高いのはレポートという制約が付いた事による誓約と解釈するのであれば充分納得がいく。

「説明は以上だ。ここに書いてあることに何か質問あるか?」


 プリントを眺めながら安芸坂先生の説明を聞いていたが特に質問するような内容は浮かばなかった。強いて言うならめちゃくちゃデカく書いてある


『スマホは持って来るな。持って来たら叩き割る』


という文言くらいだろう。

 だが、スマホの携帯を禁止するのは安全面で大丈夫なのだろうか。流石に学校側もそんな発想が浮かばない訳が無いので何かしらの対策はしているのだろうが、この紙面に書いてある事だけだと保護者側にも心配の声があがるだろう。

 誰か質問してくれないかな〜と思いながら周りを眺めていると1人の女子生徒が手を挙げていた。ウマル・ハイヤームさん……じゃなくて堂上さんだった。


「えーーと、堂上か」


 気怠げに安芸坂先生が言うと彼女は口を開いた。


「はい。ここにスマホの携帯を禁止するような文言が書かれているのですが、これは安全面から見ても保護者の納得を得られるとは思えないのですが」


 ありがとう、ウマル・ハイヤームさん。マジ感謝感激雨霰。


「あー、それはアレだな。旅行中にって意味だ。初日の集合時に皆のスマホを回収して班に1つ連絡兼地図確認用にスマホを渡す。最終日の解散時に回収したスマホは返すから安心しろ。これなら安全面でも問題無いだろう?」


 うーん、それなら大丈夫か。多分持って来るなというのはスマホ回収をスルーして違法に持ち込むアホに向けての言葉なのだろう。

 ウマル・ハイヤームさんもその言葉で納得したのか「ありがとうごさいます」と言って再びプリントに目を落とした。


「他に質問ある奴は……居ないな。それじゃ、解散。と言いたい所なんだがすまんが今から呼ぶ奴はこれが終わった後1階の応接室に来てくれ」


 生徒指導の教師から呼ばれるって2日目にして何をやらかしたんだよ……。

 俺は他の外部生を見て誰が何をやらかしたのか想像していると安芸坂先生は気怠げに3人の名前を呼んだ。


「44Rの佐々木、43Rの堂上、42Rの石倉。以上の3名だ。それじゃ各自解散」


 佐々木と堂上と石倉って人かぁ。誰だろうなぁ。ぼくわかんないや。


ここまで読んでいただきありがとうございます。


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