10話 久しぶり
初めての授業日もしっかりと6限目までこなした後、終礼を終えた俺はクラスの人が教室を出る流れに乗って目的地である第2大教室を目指した。
新井君によると第2大教室とは2階の中学棟側にある特別教室らしい。国語科研究室の隣とも言っていたので俺はとりあえず階段へ向かうと突然後ろから話しかけられた。
「何で先に行っちゃうの〜!一緒に行こうよ」
口を尖らせながらナツはぶーぶーと不満を言ってきた。
「いや、さっき余計な事しちゃったし何かちょっと申し訳無くて」
実際、あれは俺が不適切な行動をしたから話題という火が燃え広がったと言っても強ち間違いではない。俺の中でもちゃんと反省はしている。
怒ってるかもなーと思いながらナツの表情を窺うと、彼女は何故か嬉しそうににこやかな笑顔を浮かべていた。
「何でそんなに嬉しそうなんだ?」
「えー?だってハル君が守ってくれたから私も安心して中学の時の事話せたんだよ?確かに頭撫でるのは……色々誤解を生んじゃうけどアレはアレで嬉しかったよ。ありがとね」
こういう事を素直に言ってくれるから俺は彼女を恋愛対象ではないと割り切って寄りかかれるのだろう。
まぁそれが依存なのだとは分かっているが、俺には彼女から離れる方法が分からないし依存という言葉が本当に正しいのかも分からない。
「お、おう。とりあえずごめんな。アレは完全に無意識だった」
今までこんなに人と関わった事が無かったためちょっとテンパってたが故の行動でもあるとは思う。今度からちゃんと意識的に直さないとな……。
その後ナツの案内もありながら第2大教室へ向かった。
ナツの案内に従って国語科研究室を探しているとそれっぽい場所を見つける事が出来た。
隣に第2大教室の看板が付いてる部屋があるのでそこで間違い無いだろう。ちなみに新井君曰くこの教室は結構頻繁に使うらしい。主に補習とかで。
「よし、それじゃ入ろう」
ナツの方を確認すると無言でこくりと頷いた。
「失礼します……」
ドアを開けるとそこはかなり広々とした教室で、後ろの壁半分は窓になっていた。
誰か居ないか見渡すと沢山ある座席の後方に1人の女子生徒が可憐さと落ち着きを纏いながら座っていた。
あの顔で茶髪の美少女…何か見覚えあるぞ?……
俺が記憶を探っていると彼女は俺達を待っていたかのように口を開いた。
「あら、来たのね。石倉遥君」
その時、声を聞いてやっと当時の景色を思い出した。
「それと……久しぶりね。ナツちゃ──」
「あ!ウマル・ハイヤームさんか」
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