表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴンテイム 〜モンスターと心を結ぶテイマーの物語〜  作者: FP (エフピー)
第四章 フロワ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

98/103

第九十八話 神鳥のニヴァリス

 祠の入口付近の広場では、張りつめた空気が漂っていた。


 祠の前には、魔零派の信徒たちが、呆然としたような顔で立ち尽くしている。


 その中で、アレイシスとレバンは向かい合っていた。


「魔制炉の出力を上げると言うことは、動力をモンスター培養に戻すということだ」


「そんなことをすれば、魔零派の信徒は黙っていない!」


「それこそ、また全面衝突になるぞ!」


 アレイシスの声が雪原に鋭く響く。


 レバンは正面からそれを受け止める。


「わかっている」


「だが、もう魔制炉の出力を上げることでしかフロワは救えない」


 その言葉を聞いて、アレイシスの目が細くなる。


「そんな強硬手段でどうする!」


「魔零派の信徒達が止まらなくなる前に、私が阻止する!」


 次の瞬間、アレイシスが雪を蹴った。


 迷いのない剣が、まっすぐレバンへ襲いかかる。


 レバンもすぐに反応した。


 剣を抜き、真正面から受ける。


 刃と刃がぶつかり合う。


 甲高い金属音が鳴り、火花が雪の上へ散った。


 剣技と剣技が激しくぶつかる。


「なんでわからないんだ!」


「もう、とっくに今の魔制炉で抑えるには限界だ!」


「モンスターがフロワ近くまで来ているのを見ているだろ!」


 アレイシスが押し返す。


「それでも止めないと、派閥同士の争いが激化する!」


「魔制炉をなんとかするのがお前の仕事だろう、レバン!」


 レバンが剣を弾いて一歩下がり、そのまま切り返す。


「もうどうにもできないところまで来てしまった!」


 それを聞いてアレイシスが叫ぶ。


「魔零派は私の意思だけでは抑えきれない!」


「レバン! お前も分かっているはずだ!」


「あの過去を繰り返す気か!」


 剣が再び激しくぶつかる。


 雪が跳ね、踏みしめた足元が抉れる。


 その時、神鳥の祠から出てきたコヤン祭司の声が飛ぶ。


「アレイシス様!」


「今、加勢を!」


 それを、アレイシスが一喝した。


「一切手を出さないでくれ!」


 その声に、コヤン祭司は思わず動きを止める。


「しかし……」


 アレイシスはそれを視線だけで制した。


 その間にも、レバンは鋭く踏み込み、アレイシスの剣めがけて振り下ろす。


 アレイシスがそれを受ける。


「とにかく剣を引け!」


 レバンが吐き出すように言った。


「引いてどうなる、ニヴァリスを魔制炉の燃料にするか?」


「そんなことはさせない!」


 アレイシスの剣が、横一閃に振り抜かれる。


「ニヴァリスは魔零派を抑える唯一の抑止力だ!」


 レバンの顔が歪む。


「そうなのかもしれないが……」


「フロワが生き残る唯一の希望でもある!」


 その瞬間だった。


 祠の奥から、びしり、と鋭い破砕音が響いた。


 全員の動きが一瞬止まる。


 次の瞬間、激しい光が祠の中から噴き出した。


 蒼く、白く、凍てついた炎のような光。


 信徒たちは目を覆い、ある者は膝をつき、ある者はただ立ち尽くす。


「な、なんだ!?」


 レバンが目を見開く。


「魔力が……封印が解かれる!?」


 巫女が震える声で言った。


「本当なのか!?」


 アレイシスが振り返る。


 巫女は祠を見つめたまま、小さく頷いた。


「な……本当に!?」


 レバンの声から、余裕が消えた。


「行きましょう、アレイシス」


 巫女が、祠の入口を見て言う。



 一方、祠の最奥では。


 砕けた結晶の中から現れた神鳥二ヴェリスが、ゆっくりと翼を広げていた。


 白銀の美しく澄んだ羽だった。


 長い首がしなやかに動き、氷のような瞳がこちらを見る。


「あなたが……」


 僕が思わず呟く。


 ネージュは小さく目を細めた。


「ありがとう、フライ」


 その声は、静かでやわらかかった。


「もう、フライと僕は繋がってる」


「テイムを受け入れたってこと?」


「そういうことだね」


 ネージュは頷く。


「説明はあと」


「あの人達が来る」


「僕に乗って」


「乗るの!?」


 思わず変な声が出た。


 ネージュはそんなことを気にした様子もなく、翼を軽く開く。


「とりあえず、この場を離れよう」


「……わかった」


 入口の方では、人の気配が動いている。


 迷っている暇はなかった。


 僕はネージュの背へよじ登る。


「ネージュ、祠を出る直前に目を瞑って」


 すると、ネージュは不思議そうに返した。


「……目を瞑るんだね?」


「わかった! じゃあ、行くよ!」


 次の瞬間、ネージュが床を蹴る。


 信じられないほど軽い動きで、そのまま祠の出口まで一直線に飛ぶ。


 風が頬を打つ。


 そして、入口の手前まで来た時、僕は目を閉じたまま叫んだ。


「お願い!!」


 直後、閃光玉が地面へ叩きつけられる音がする。


 フリールだ。


 次の瞬間、眩い光が祠の前で炸裂した。


 視界を奪う光が一気に広がる。


「くっ! なんだ、何も見えん!」


 アレイシスの声が響く。


 その混乱の隙に、ネージュは一気に祠の外へ飛び出した。


 冷たい雪風が顔を打つ。


 僕たちは山肌の上を駆け抜けた。


「フリールのお陰で助かった」


「姿を見られないで外に出られたね」


 ネージュの声には、安堵がにじんでいた。


(みんなは大丈夫?)


 僕は器に呼びかけた。


(ああ、この後も少し状況を見張っていることにする)


 パディットが答えた。


(気をつけてね)


 そう返しながら、僕はネージュの背にしがみついた。



 その頃、ニヴァリスの祠の前では──


「まさか……ニヴァリスか」


 レバンが、まだ残る光の中、動く影を見つめて呟いた。


 アレイシスは祠の前で呆然と立ち尽くしていた。


「なんだあの光は……」


 巫女は目を閉じるようにして、残った魔力を探る。


「まだ魔力の残りを感じる」


「ニヴァリス……本当に、復活した」


 その声は少し震えていた。


 レバンがアレイシスに近づいて言う。


「何が起こった?」


「わからない、光で何も見えなかった……」


 アレイシスが辺りを見回して答える。


「レバンは何か見ていないのか?」


 レバンは少し考えるように俯いた。


「……」


 しばらく黙り込み、やがて低く言う。


「俺は復活したニヴァリスを探す」


 アレイシスがすぐに返した。


「ニヴァリスがいなくなったとなると、魔零派はーー」


 その言葉を切るようにレバンが言う。


「まとめるしかない」


「アレイシス、それはお前の役目だ」


「俺はニヴァリスを使って、フロワを救う」


 それだけ言うと、剣を納め、そのまま背を向ける。


「レバン!」


 アレイシスの声にも振り返らず、レバンは雪の中を去っていった。


 残された静けさの中で、巫女が小さく言う。


「アレイシス……」


 アレイシスはまだ祠を見つめていた。


 そこにはもう、ニヴァリスの姿も、封印の気配もない。


「探さないと」


 巫女が言う。


 その声に、アレイシスは頷いた。


「……ああ」


「必ず、私が見つけ出す」


「レバンよりも先に」



 一方、僕たちは、山の上を目指していた。


 雪に覆われた尾根を越え、さらにその上へ。


「それで、どこに行くの?」


 風に負けないように、僕は声を張る。


「山頂だよ」


「祭殿があるはずだ」


 ネージュは短く答え、さらに高く羽ばたいた。


 やがて、雲の中へ突っ込む。


 視界が白く閉ざされる。


 冷たい霧が頬を打つ。


 次の瞬間、ふっと明るくなった。


 雲を抜けた。


 そこから山頂が見える。


 曇天の下に隠れていたはずなのに、そこだけは不思議と少し光を帯びている。


 そして、その少し下に石造りの建物が見えた。


 古い祭壇のようだった。


 ネージュは、そこへゆっくりと降り立つ。


「懐かしいな……」


 ネージュが小さく呟いた。


「ゼインたちと訪れて以来だよ」


 その一言に、三百年という時間を感じた。


「ゼイン……」


「ネージュは、本当に三百年前を知っているんだね」


 僕が聞くと、ネージュは静かに頷く。


「この地で起きたことはね」


 翼をたたみ、振り返って僕を見た。


「話すよ」


「何が起こったのかを」


 そうして、ネージュは三百年前にこの地で起こったことを話はじめた。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

次話も読んでいただけると嬉しいです。



補足↓


巫女=リーエルです。

ミス表記になってました。

巫女で大丈夫です。


わかりにくかったらと思い、書いておきます。

スライムのムー

みたいな感じで

二ヴェリスのネージュ

です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ