第103話 せいなる夜は続くよどこまでも
クリスマス連続第3弾
翌朝、徹夜明けのユウキとタマキは子供達に別れを告げてサクラを迎えに転移した。
子供達には何事もなかったように挨拶をして別れたので問題なかったが、先生や職員の人たちには生暖かい目で見られていた。
浄化を使用したのだから痕跡など何も無いはずなのだが、2人の雰囲気や距離感で分かっているのだ。大人から見た子供の行動とは、それなりに分かりやすいものである。かつて自分たちも通った道なのだから。
そしてユウキとタマキはサクラと共にクラン黄昏の拠点に戻り……再び温泉旅館で布団の上に居た。今度は3人で。
「流石に朝からはどうなの?」
嫌なわけではないがまだ少し恥ずかし気のあるユウキに対し、サクラが堂々と宣言する。
「まだクリスマスイブの34時ですよ」
「それは強引じゃない?」
サクラのかなり強引なセリフにユウキは戸惑うがタマキからも追撃がやってくる。
「ユウキ、寝てないからまだ次の日にはなってないのよ」
「小さな子供じゃないんだから」
口ではそんな事を言いながらもユウキだって嫌なわけではない。
15歳の少年少女が一晩程度で十分に満足などするはずがない。回復の魔法もあればポーションもある。徹夜明けとはいえユウキもタマキもまだまだ元気だ。
そのテンションのままサクラが混じっているのである。
特に一度タマキと前に進み始めたユウキは、既に一種の安心感を得ている。サクラの行動にタマキが問題ないと感じ、そして一緒に魅惑的な姿で誘惑してくるのだからこれを拒むことなどしたくはない。
「大丈夫よ、ユウキ。
ちゃんとこういうのも用意してあるんだから」
タマキはそういうと収納から1枚の紙を取り出す。
その紙には婚姻届と記載されており、既にタマキとサクラの名前が書き込まれているだけでなく後見人としてスミレの名前も記載されていた。
しかも夫1人妻1人の形式ではなく、多人数対多人数の特殊タイプの様式だ。これはシーカーPT等が使う物であり、一部の経済力のある家の者も使用している。
「いや、どういう事?
なんか準備が良すぎない?」
「理由ならちゃんとあるのよ。ねー」
「そうなんですよー」
タマキがサクラに確認を取り、サクラもそれに同意する。そして2人は見えそうで見えない姿からさらに服を脱ぎかけ、あと一押しと言う所でユウキの手で服を脱がさせる。ユウキは左手でタマキ、右手でサクラの柔らかさを堪能している間に服を脱がされ、せいなる夜の延長戦が始まった。
ユウキとタマキだけでなくサクラが加わったことにより、ユウキは劣勢にたたされる。特にサクラは踊り子として男の視線を引き付ける衣装を多数所持しており、裸同士でだけでなく時に衣装に着替えて再びユウキに脱がされようとしてくるのだ。
ただでさえ見えそうで見えないぎりぎりの線をついてくる衣装であり、それを目の前で脱がせてとアピールしてくる状況は抗いづらい誘惑である。
ユウキの上に跨りプルンプルンと上下に揺れる果実は、今にもすべて見えそうなのだ。
しかしユウキとてただやられているわけではない。
「フフフ、奥義! 触手変化」
おかしなテンションと共にユウキは<魔化>の標準状態へと変化し、体の一部だけをスライム状の触手へと変化させて襲い掛かる。
しかしサクラは待っていましたとばかりに体を反らせてアピールを強める。何故か縛られてもいないのに両手は頭の上で縛られているフリをはじめ、声をあげながら触手の感触を堪能している。
「楽しそうね。私もあるのよ」
そう言ってタマキはサスペンダーにホットパンツという海藤がしていたのと同様の格好でユウキにアピールする。
「いつの間に」
もちろんユウキはこういう格好も大好きである。サクラだけでなくタマキにも触手の魔の手が伸び……3人は大いに盛り上がった。
その後サクラ主導の妄想再現プレイで更に盛り上がるユウキたち。踊り子の衣装だけでなく学校の制服やチアの衣装、シーカーとしての装備等々コスチュームプレイが大爆発。
「実体で分身出来るようになれたらいいんですけどね」
等と言うサクラの妄想はまだまだ止まらない。ユウキが複数人に分かれての多人数プレイもしたいのだ。ちょっとした衝撃で消えてしまう今のままでは難しいのである。
楽しい時間が過ぎていくのは速いもので、3人が時間を気にした時には既に夕方になっていた。
サクラが時々全員にリジェネをかけていた事もあり、体力に際限がない状況というのはなかなかに凶悪なのであった。
*****
「結局婚姻届けを用意してある理由って何だったの?」
その日の夜、夕食を食べてのんびりしている時間にユウキは気になっていたことを質問した。
「うん。ユウキ、昨日結婚について『多分これからは周りの皆も早くなる』って言ったの覚えてる?」
「覚えてるよ。そうなんだーと思ったけど周りは周りだし、俺たちは今で問題ないならそれでいいかなくらいにしか思ってなかったけど」
「うん、そうね。周りは周り、私達は私達よね。
それでね、周りが早くなる理由がちょっと問題なのよ」
「何かあるの?」
ユウキは今一状況が飲み込めていない。
「前にPTを組むシーカーの男女の関係について話したことあるわよね」
「流石にそれは覚えてる。結構びっくりしたけど」
「私達は生理現象として習うけど、結局のところ未だ只の心構えだったのよね。今となって考えてみれば」
学校では生理現象を教えていたとはいえ、そもそもが安全マージンを取った魔物としか戦わせていないのだ。本来中学生や高校生が命の危険を感じてまで戦うという事は無いはずなのであった。
とはいえ生理現象として教えていても、年頃の若い子供たちが興味を示さない訳ではない。実際には生理現象ではなくとも、そういう関係を目指してしまうのは仕方のない事である。
「だからね。サクラちゃんが気が付いたのよ。
新しい訓練用ダンジョンでの学校だと、命の危険を感じる相手とも戦い始めてしまうって」
「実際に命の危険を実感したことがある人って、私たちの年齢だと少ないと思うんですよ。でも多分来年からは増えるから、実際に関係を持つ人が増えると思うんです。
それでそうなると、ユウキさんの周りにもそう言う人が寄ってくる可能性があると思ったんです」
「俺の周りには来ないんじゃない?」
「分からないわよ。
もし私達と伝手を作りたい人が居たら狙ってくると思うのよ。これは私やサクラちゃん相手でもいえることだけど。でも根本的に重要なのはユウキなのよね。
実際さっきみたいに女の子に迫られたら、拒否できる?」
「いや、それは確かに中々抗いづらい誘惑だけど……」
「生理現象だからそういう反応があって当然という意識を持ち始めると、もっと抵抗がなくなるわよ」
実際ユウキとしてはそのような教育を受けておらず、今はタマキやサクラからの伝聞でしかない。周りで当たり前の行動となった時のことを想像すると、どういう感覚となるのかは確かに不明である。
「えっと、つまり結婚していればそういうのから逃れられるという事?」
「逃れる必要があるかはともかく、少なくとも間に割り込まれなくなるでしょ。
お互い決まった相手が既にいるという話に説得力が増すから、嫌な相手からは逃げやすいわよ」
実際タマキとサクラが気にしているのは、ユウキと引き離されるような事態である。本当に困ったら3人で逃げてしまえば問題ないのであるが、3人でいる前提なら結婚しておけばひとつの防御策になると考えたのだ。
「まぁ、俺としては何か問題があるわけでもないんだけどね。
トオルにはからかわれる気がするけど」
「いいじゃない。羨ましがらせておけば」
そうしてユウキも婚姻届けに名前を記入し、高校入学前での学生結婚等と言う珍しい状況を作り上げてしまうのであった。
妄想少女サクラ参戦。
きっとセーフなレベルの表現であるはず(恐怖の手紙は来ないことを祈ります)
・素質至上主義の中で素質の無いユウキ
・肉体的には強くないけれど特殊なスキルなどを持つユウキ
・凛々しくなりたいけど見た目が中性的(周りの評価はかわいい)なユウキ
・かわいいお嫁さんが2人もいる羨まけしからんユウキ<NEW!
そんな特殊な主人公たちの学園生活をお楽しみに。
もう一話エピローグを入れてこの章は終わる予定です。




