第18話 失われた半分
「シモ! おい、しっかりしろ!」
戦友のアンッティが、雪の中に倒れているシモを見つけ、駆け寄った。
そして、息を呑んだ。
「なんてことだ……」
シモの顔は、見るも無惨な状態だった。
左の顎の骨が完全に砕かれ、顔の左半分が吹き飛んでいた。肉が垂れ下がり、大量の鮮血が胸元を赤く染めている。
どう見ても助かる傷ではない。
「衛生兵! 早く来い!」
仲間たちが彼をソリに乗せる。
だが、混乱する戦場の中で、彼は一度「戦死者」として扱われた。
死体の山の上に、仮死状態のシモが乗せられる。
その時、一人の兵士が叫んだ。
「待て! 足が動いたぞ!」
死体の山の中で、シモの足がわずかに痙攣していた。
まだ心臓は動いている。あの華奢な体のどこに、これほどの生命力が残っているのか。
「こいつは死なない! 死神もこいつを連れて行くのを怖がってるんだ!」
彼らはシモを野戦病院へと急送した。
その道中も、彼は意識不明のまま、うわ言のように何かを呟こうとしていた。
それは恐怖の言葉か、それとも母を呼ぶ声か。誰も聞き取ることはできなかった。
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