第17話 運命の朝
3月6日、早朝。ウルリスマー地区。
この日、ソ連軍による大規模な攻勢が開始された。
森の中は、銃声と爆音で阿鼻叫喚の地獄と化していた。
シモは仲間と共に、湿地帯を進んでくる敵の側面を突く作戦に出ていた。
敵影発見。距離40メートル。
近い。あまりにも近すぎる。
シモは即座にライフルを構え、先頭の兵士を撃ち倒す。だが、次から次へと灰色の軍服が湧いてくる。
「撃て! 撃ち続けろ!」
叫びながらボルトを操作する。
その時だった。
対面の茂みから、一人のソ連兵が立ち上がった。その手にはライフルが握られている。
目が合った。
シモが引き金を引くのと、敵のマズルが火を噴くのは、ほぼ同時だった。
――ドォン!
通常の銃声とは違う、鈍く重い衝撃音。
敵が放ったのは、着弾と同時に炸裂する「炸裂弾」だった。
世界が白く弾けた。
熱い。痛いという感覚すら通り越した、灼熱の塊が顔面を直撃した。
シモの身体は木の葉のように吹き飛ばされ、雪の中に叩きつけられた。
視界が赤い霧に覆われる。
音が遠のいていく。
自分の血が、雪の上に大量に噴き出しているのが見えた。
(ああ、これは……だめかもしれないな)
シモの意識は、急速に闇へと沈んでいった。
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