仁以千絵君へ 二〇〇五年二月一一日
ご希望通りキャンパスライフについて教えてあげるよ。勉強することは高校よりますます専門的になり、勉強ではなく研究とも言えるほど深く、また自分の考えや視点が必要になることもある。テストだけではなくレポートも書かなくてはいけないからね。こんなにも何かの専門分野を深く掘り下げて知り、考えるチャンスは研究者にでもならない限り、二度とこないだろうと思う。レポートを面倒くさがる人も結構いるけれども、君ならむしろ自分の意見を述べる機会が得られるのは嬉しいんじゃないかな?自分の考えを組み上げて、それがどう見られるか試すのは好きなんじゃないかい?一日の授業数(コマ数)は日によって大分違うけれど、高校の時より自由になる時間が増えた。そして、大学生というのは精神的にはもうかなり大人だ。他人と自分の区別ができているから、友人や仲間同士で遊んでいても、自分と他人が違う価値観で生きているのだと理解したうえで、互いに踏み込みすぎない節度をわきまえた対応を取れる。だから、友人と一緒にいても自由だ。その物足りなさはみんな、いわゆる「恋愛」で埋めている。僕も「右に倣え」だ。学ぶ楽しさも遊ぶ楽しさも得られる。君も大学生活を送れば、何の抵抗もなく素直になれるよ。きっと。ここで今過ごしている時間は、僕らのようなちょっとした頭でっかちにとっては、大人として扱われるが、社会人としては扱われない、自由で貴重な最も楽しい時間だと思う。では、また、君の大学受験の結果が合格で、どこかへ入れることが確定したら教えてくれ。もしも、本当にもしもだけれど、全部落ちていたらその時は、知らせは要らないよ。そしたらまだ君は、君がよく書くような自分の内面について繊細な手紙を書くための頭に切り替わってはいけないからね。
圭太より




