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圭太君へ 二〇〇一年一〇月二〇日
手紙のことは気にしないで。お互い義務じゃないんだから、僕だって気を長くして待っているよ。君が面倒だと思うんなら返事をくれるのを勝手にやめたっていいよ。亡くなった子は気の毒だったね。でも他人が死んで悲しむことが出来る君の情緒を僕は頭では理解できるけれど、感じることがほとんど出来ない。僕は学校で一番仲良くしている子が実際に死んだって、自分の親が死んだって泣かないと思う。それはほとんど確信的なんだ。自分が死刑になることは考えただけで怖いのにね。僕はすこぶる同情する気持ちの欠けた冷たい人間なんだ。自分と自分の所有物にしか興味がないんだ。だって、それ以外のものには、僕には権利がないもの。僕の情緒は小学生にも劣るのだろうね。でも、僕はそれでいいと思っている。僕は自分の利益にならないものに気を取られずに、時間を浪費せずにいられるように、自分で自分をそういうままにしてきたのだから。それでも君の優しさと賢さ、思いやりに心を寄せるよ。亡くなった子の冥福を祈ります。
仁以千絵より




