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仁以千絵君へ                         一九九九年六月八日

そうかい。わかったよ。もうこれ以上は何も言わないけれど、でも、今の君の現状、周囲からの扱われ方、君の身の周りの現実、色々とよく考え合わせてみてほしい。僕は君がわざと自分で自分を痛めつけているような気がしてならない。

 でも、君の世の中の見方に同調するようなこともあったよ。同級生に一人嫌な奴がいて、この間、彼に「千円貸して」と言われたのだけれど、それより前に貸した500円も返してもらっていないから、先にそれを返してくれるように言ったんだ。そうすると、

「君は優しい人だと思ったのに。いいから貸して。」

ときた。僕は断った。

「貸してくれないなら、五百円玉も返さないからな。」

と恥もせず堂々とそう言い切るんだ。甘ったれで、そのくせ決して人に頭を下げたり、お礼の一言も言わない。僕はもう返してくれなくて結構だ!と言った。五百円貸したときは、彼は、校内の購買でシャープペンの芯を買うお金が足りないんだと言っていた。ノートを取るためのシャープペンの芯が必要なのに持っている十円単位のお金じゃ不十分なのだと。今回は理由を尋ねても「いいから貸して」と言い張るばかりだった。僕は、君が人に心を開くと罠にからめとられると言っていたのを思い出した。君のうがったものの見方が真理をつくこともあるんだね。相手の立場に立って親切にしたらつけこまれるということもある。と、いうことをひとつ学んだよ。でも、つけこまれたとき抗う手段もまた、「心を開く」ことの一つだろうね。ところで君は中学校生活を安心して送れているかい?

                                    圭太より


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