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仁以千絵君へ                        一九九八年二月二五日

そりゃあ、あるよ。でも、君の(ハルカさんの)言う「相手に適応」はした上で、出来るだけの対応はして、心に思い浮かんだことを全部吐き出した上で、それでも心にくすぶるものが少し残るだけだから、君の場合と同じようには考えられないね。いつまでもそんな生き方を続けていくと心と身体がずれていってしまうよ。つまり、心で思う事、感じる事が素直に言動に出なくて、自分の思うように生きられなくなってしまうよ。それが頭で意図してそうするのではなく、身体に身についてしまうと、何か大切な機会を得た時に何も言いたいことが言えなくなるよ。そのうち、君の意図とは逆に、心を守るため、心を世の中に開かなかったつもりが、満たされなかった心はだんだん意志を失っていって、君の「自分の世界」と素直な反応の間に仕切りを設ける力も失うかもね。そうなると君の心は見事に周囲の物事に染まっていって独自のものはなくなっていくかもしれないよ。すると、心と身体のずれはなくなるかもしれないけれど、君が守ってきた高貴で大事な「心の世界」はなくなって、本末転倒だね。

 僕は思うんだけれど、あまりに長い間満たされない希望や情熱は、尽き果ててしまうんじゃないだろうか?火は薪をくべないと、燃え尽きてしまうよ。君は真理を尊ぶ人だろう?君はもしかしたら、人生の分岐点に立っているのかもよ。僕と同じ小学生の君には荷が重いのかもしれないけれど…。でも、君の選択によっては、君はこれからもっと身を軽くして生きられると思うよ。僕は君が楽に生きられる方を選んでほしい。僕は君が好きだから。

                               君の友達の圭太より



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