仁以千絵君へ 一九九五年二月六日
やあ。今回の君の手紙はちょっとむずかしかったよ。お父さんにわかりやすくせつめいしてもらおうと思って、君の手紙を見せたら「なかなか生きにくい子だね」って笑ってた。仁以千絵君の心の中についてよむのは面白いよ。ぜんぜん嫌だとは思わないから、どんどん書いてくれていいよ。僕の方はそうそう君みたいに神経がするどいわけじゃないから、あまり書くことはない。だから、僕は君が手紙で書いてくれたことについての感想を主に書くことにするよ。君は君が手紙で書いてくれるような考えは周りの人には言っていないんだろうね。きっと。君の周囲の人とのかかわり方はなんだか危うい気がする。いつか心がはれつしてしまうよ。他人とのやり取りにいちいちそこまでのぎんみなんて、小学生の内からすることじゃないよ。周囲の人から見て君はそんなにあつかいにくい人じゃないと思うけれど(だって、言い返したり主張したりしないんだから)、君が考えていることを知っている僕から見ると、君ほどめんどうくさい人はいないよ。君の考え方だと、「僕は対外的には、つまり現実的には人を困らせたりしない。むしろ他人にとっては都合がいい人間だ」「だからめんどうくさくはない。」みたいに言うんだろうね。でも、君を知っている僕はなんだかハラハラするんだ。人は案外人の心の内も気にしているものだよ。君の対外的な態度と君の内面の違いはきっと目に見えていると思う。君があまり心をひらかないのを、君はその時の相手について心をひらくかち(価値)がないと思っているというふうに何となく感じている子もいると思うよ。君はきっとグループやクラスの中で、自分の居場所を作っていないんじゃない?そうだとしたら自分の世界を大切にする君の場合、それは半ばわざとかもね。自分の居場所は常に他の人との関係の中で成り立つものだから。なんだかいやみっぽくなっちゃったけれど、それでも僕は君が好きだよ。
圭太より
ps.今「怪人二十面相」にはまっているんだ。いつかシリーズ全部読破してやる。君はどんな本が好き?




