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圭太君へ                          一九九四年六月二一日

大人の汚い面を見るのは、とくにそれが親だったらすごくいやだと思う。汚くてよごれてて、いやらしいものが自分の身近にあるなんて、すごくけんおかんをかんじることだよね。僕だったらなんだかはだがべとつくようなけんおをかんじるよ。でも、圭太君のお父さんのおこった理由はしごくまっとうなものだし、それに僕は君が、「ふだんはおだやかでやさしい人が、ふだんとちがっておこるのがゆるせない」と言うようなりくつはちょっと受け入れがたい。だっていつもおこっていて自分のしゅちょうを通そうとする人がおこるのも、いつもやさしい人がその時だけおこるのも、おこったその時のじたいをじゅんすいに見ればいっしょな事だもの。物事をじゅんすいに物事として見ずに、「この人だからいい」「この人だからだめ」ってはんだんするのは、りにかなってないと思う。ずるいと思う。むしろ、ふだんやさしい人ならたまのわがままは通してあげたいと僕は思う。僕はむしろ毎日毎日かんじょうをむきだしにしている人が「やっぱり今日も自分のわがままを通した」っていうことの方がむっとくるし、はらが立つね。

                                  仁以千絵より


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