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仁以千絵君へ                        一九九四年六月一〇日

そうなんだ。いい友達ができて本当によかったね。実は僕は今、お父さんにはらを立てているんだ。僕のお父さんは大学でこうしをやっている人で、いつもはおだやかで、やさしい人なんだけれど、今日はなんだかイライラしながら家に帰って来て、食事もとらずにしょさいにこもっていたんだ。心配したお母さんがおにぎりをにぎって、「お父さんにもっていきなさい」って僕に二つのおにぎりをのせたおぼんをわたしたんだ。それで僕はおにぎり二つを持っていったんだけど、しょさいに入る時、ノックをするのをわすれたんだ。お父さんに向けて気持ちがせいてしまって。だって、僕だってお父さんが心配になったから。僕がいきなりとびらをあけて「お父さん」って大きな声で言うと、パソコンに向かって、とびらにせを向けていたお父さんははじかれたようにふりむいて、こわいかおして、ものすごくおこったんだ。

「部屋に入る時はノックしなさい!」

って。

 お父さんの言っていることはその通りだけど、いつもはそんなどなりつけるような言い方しない人だったし、せっかく心配しておにぎりをもってきてあげたのに、と思ったから僕もむかっとして、「おにぎりもってきてあげたんじゃないか!なんだよごはんも食べないで!」って言い返したんだ。そしたらお父さんはずんずん僕の方に歩みよってきて、いいからあっちへ行けと言って、僕のかたをおして、おにぎりもうけとらずに、僕を部屋の外へ追い出したんだ。こんなたいどってないと思わないかい?僕は追い出された部屋のとびらを見つめて、むかむかしてきて、あやうくおにぎりをチョコレートの板みたいなしょさいのとびらに向かって投げつけそうになったよ。なんだってお父さんはあんなにイライラしてたんだろう。それと、お父さんがパソコンの前のいすから立ち上がって、僕を追い出すためにこっちへ向かってきた時、パソコンの画面に女の人のはだかみたいなのが見えた気がしたんだ。はだかの女の人は前後にゆれてた。僕はその画面が頭にこびりついてはなれなくて、お父さんがそれを見ていたことにもむかっぱらが立つんだ。よくはわからないけれどいやらしいものだってことは僕にもなんとなくさっしがついたから。お父さんはイライラしたときいつもこんなものを見ているんだろうか?お父さんにそんな汚い面があるなんて僕はすごくいやだ。

                                    圭太より


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