能力と鬼
神主である父が朝陽と時雨に話す事は2人をとても動揺させた。
朝陽と時雨が体調を崩してしまったのは能力が開花したからだ。
朝陽の体にはシュオン(守隠)が宿った。
シュオンは鬼の存在が現れてしまう前に出現するという神社に祀らわれていた力を使うことの出来る言わば神様だ。
そして唯一、鬼を封印し抑え込めることの出来る存在である。
時雨は島に漂う妖気を妖術に変え武器を生み出す事が出来る力を得たようだ。
「父さん、俺と時雨に能力?ってやつが使えるって話は…何となく嘘じゃないのは分かった。夢みたいなので聞いたやつだって…一応覚えてるから。でもさっきから言う鬼ってのはなんなんだ?」
朝陽は神主である父に聞いた。
すると、分かっていることは話すと言って聞かせてくれた。
鬼というのは鎌倉時代からこの島に現れるようになったようだ。
ほとんどの鬼は形を持たない。
大体が瘴気が元となり人を取り込んでしまう。
瘴気は少しづつ人間の身体に入り込み、自我を殺し乗っ取ってしまう。
乗っ取られてしまった人間はもう助ける術がない。
だが、完全に乗っ取られていない場合は助ける事が出来るかもしれないらしい…方法はよく分からないようだ。
鬼に乗っ取られてしまった人間は、人を襲うようになる。
いくら親しかった相手だろうと迷わず食い殺してしまうようになってしまうみたいだ。
「この島に本当にそんな事が…?僕はまだ信じられないよ…」
「嘘みたいな話だけど…俺達がこの島を守れるかもしれないって事だろ?なら守るしかないじゃないか!」
心配で困惑している時雨とは対称的にワクワクしている朝陽だった。
_そして2人の特訓が始まろうとしていた。