どうして、また
目の前は真っ白い色に染まっていて、まるで雲の中にいるようだった。
『.....ひ.........さひ...あさひ...』
遠くで誰かが呼んでる、?
フワフワとした感覚に包まれて何だか上手く体が動かない。
『朝陽。』
今度ははっきり聞こえ、ぼんやりとした意識の中朝陽は声の方に意識を向けた。
すると何だか暖かいものが朝陽の体を包み込んだ。
『寝ていて良いの?』
(...何言ってるんだろ...寝てる.....誰が...?)
『...朝陽...あなたは本当に変わらないのね。...でも無理しすぎるから...私心配よ。』
誰かはそう言うと背中の方をトントンと優しくあやすかのように叩いた。
(...心配?...俺の事知ってるの...?誰.....。)
『力を使いすぎるのは良くないわ。...体を壊してしまう。焦る気持ちは分かるけれど...体を壊して動けなくなってしまっては元も子もないわ。』
(なんの話しをしてるんだ...?わからない。)
一向にフワフワした意識の中ただひたすらに声を聞いていた。
『ねぇ朝陽、あなたはよく頑張ってるわ。本当にすごい子よ。...でもね、もう少し力を抜きなさい。そしたらきっと倒れる事も減るはずよ。』
(だから...何の話してるんだよ.....分からない。...倒れる事も減る...倒れるって...?)
『大丈夫よ...焦らないで。朝陽なら大丈夫よ。お母さんが保証するわ。』
泣いてしまいそうになる程優しい声でそう言った。
(...母さん.....?...何言ってるだ.....え...?)
朝陽は酷く頭を混乱させた。
何を言われたのか理解が出来ず色々な思考が頭の中を駆け巡った。
『いつまでもあなた達皆を見守っているわ...。愛してる。』
(ちょっと待って...何それどういう事だ。母さんなのか!?ちょっと待ってよ、分かるように説明.....)
手を伸ばし声のした方に全力で手を伸ばした。
が、伸ばした手はスカッと空気を掠めただけだった。
「...あれ.....。俺は...寝てたのか...?」
どういう状況なのかすぐに理解できず朝陽は周りに目をやった。
いつの間にか道場から部屋に戻ってきていた。
誰かが運んでくれたらしい。
_目が覚めたか朝陽。一気に集中して力を使いすぎたようじゃな。体の方はどうだ?
心配そうにシュオンが朝陽の元へ来た。
「え?...あぁ...平気だよ。それより誰か来なかったか?」
_時雨と武尊がさっきまでいたが...それがどうかしたのか?
「...いや...そっか.....なんでもないよ...ごめん。」
変な様子の朝陽に
_本当か?...顔色が良くないではないか。もう少し横になっておくと良い。
そう言うと掛け布団を朝陽に掛けた。
「俺...どのくらい寝てたんだ?」
_ん?そうじゃな...1時間弱って所じゃろ。
「...そうなんだ...。」
朝陽は夢に出てきた母さんの事が気になっていた。
_起きてから様子が可笑しいが...どうかしたのか?
「いや...。なんか...夢?...で母さんが出て来たから...何か混乱しちゃって...。」
_そうか...雪乃が。何か嫌な事でも言われたのか?
「いや全然!そんなんじゃないよ!...そんなんじゃないんだけど.....。」
朝陽が言おうとしてる事が何となく分かったシュオンは
_あやつなりに逢いたがっておるのではないか?今出来る精一杯なんじゃよ、きっと。
そう言うと優しく笑った。
「精一杯...か...。」
_...今それを考えて何になるんじゃ?どうにか出来るようにまずは力を付けることじゃ。朝陽は朝陽で頑張れば良いでは無いか。お主一人だけじゃない、我も付いておるのじゃ。安心出来んか?
「ううん、そうじゃないんだ...。...そうだよな。俺は俺のやれる事をやればいいんだよな。そしたら...きっと...また.....会えるよな...。」
朝陽は不安そうな目をシュオンに向けた。
_勿論じゃ!絶対に会える、我が断言する!
不安を打ち消すような優しい笑顔をシュオンは朝陽に向けた。
そして、軽くシュオンと朝陽は言葉を交わした。
_我は外の様子を軽く見てくる事にする。何かあればすぐ我の名前を呼ぶが良い。すぐに駆けつける。
そう言うとシュオンは颯爽と森の方へ消えていった。
部屋に一人になった朝陽は天井を眺めながら考えていた。
〖この能力が出てから夢に母さんが出てくるようになった。
母さんが居なくなってすぐの頃はよく母さんが夢に出てきて涙した日があった。
それでも1年近く経てば夢に出てくることは滅法減った。
それなのにまた夢に出てくるようになった。
なんで今更...いや...なんで急に...。
嬉しくないとか悲しいとかそんな訳じゃない。
むしろ嬉しい方だ...。
それでも...胸騒ぎがする...。
...考えすぎなのだろうか...。
本当に生きていてくれて...また逢えることを母さんも祈ってくれているのだろうか...。
逢いたい...また逢いたいよ母さん...。〗
そんな事を考えているといつの間にか頬には涙がつたっていた。
「あれ...俺泣いてる...?」
手で涙を拭い、今よりもっと沢山稽古を重ねてもっと強くなる事を改めて強く、朝陽は心に誓った。




