平和な日常
盾が本当に使えるのかを試した時雨と武尊は部屋へ戻った。
時雨は盾を持っていたので腕や体に怪我をすることは無かったが、最後の衝撃で勢いよく膝をついてしまい擦り傷を負ってしまった。
『大丈夫か?』
そう武尊は心配しながら時雨の傷口を消毒し絆創膏を貼った。
「うん!このくらい全然平気!」
武尊を安心させるようなとても優しい笑顔を浮かべ時雨は答えた。
「それにしても本当に頑丈な盾だね。傷1つ付いてないや。」
時雨は盾をまじまじと見つめた。
『ちゃんと使えそうな事がわかって良かったな!...でもこれこのままの大きさだと持ち運びしずらいな...。』
盾を眺めながら少し困ったように呟いた。
「確かに...何とかならないかな。」
うーん...と首を捻りながら考えたが特に良い案は浮かばなかった。
「兄さん達の様子見に行ってみない?」
少しの間ボーッとしていたが突然思い出したように時雨はそう言った。
『ん?気になんのか?』
「そりゃあ気になるでしょ。まぁ武尊が行かなくても僕は行くんだけどね〜。」
よいしょっと呟き時雨は立ち上がったりドアの方へ向かった。
『しゃーねぇな。一緒に行ってやるよ!』
歩き出した時雨の後を追うように武尊も着いて行った。
少し歩くと急に何か思い出したように時雨は足を止めた。
「あ、でも兄さん達の所に行く前に父さんに武尊の事紹介したいんだけどいいかな?」
『おう!勿論だ!挨拶は大事だもんな!!』
「そう言って貰えると助かるよ!」
そのまま2人は父である神主の元へ向かった。
時雨は父の部屋の扉をノックした。
「入っていいぞ。」
そう父の声がしたので部屋の中へ入ると、何やら書類を机に広げていた。
「父さん僕だけど。今ちょっといいかな?」
忙しかったかな...と少し不安になりつつ時雨は聞いた。
「勿論だ。どうかしたか?」
ニコッと優しい笑みを浮かべていた。
「紹介しようと思って!」
『初めまして、神主さん。俺は時雨が初めて妖術で生み出した脇差、武尊と申します。以後お見知り置きを。』
武尊はそう言うと父である神主に深々と頭を下げた。
「あぁ君が時雨の相棒なんだね。初めまして、この神社の神主を務める四季 圭佑という者だ。会えて嬉しいよ。」
『こちらこそ、お会い出来て光栄です。』
父である神主と武尊が共に自己紹介をし軽く話をした。
「君のような心強い相棒が時雨についてくれていると父としてはとても安心出来るよ、本当にありがとう。これからも時雨の事をよろしく頼むよ。」
『全力で支え力になれるよう努めていきます!』
二人のやり取りを時雨は嬉しそうに見ていた。
「とりあえず紹介も終わったとこだし、早速兄さんたちの所へ行こうか!」
時雨はそう言うと早足で道場の方へ向かった。
その後を武尊も追う。
道場の中を覗くと妖気を纏わせた日本刀を両手に構えている朝陽が居た。
(!?...ほ、本物の刀かな!??)
時雨は目を凝らしジーと見つめた。
周りにシュオンの姿が見当たらない。
「兄さん一人で稽古してるのかな...?」
時雨が武尊に尋ねると
『いいや、違うな。朝陽の体にとてつもない力が重なってある。多分体の気にシュオンがいる状態だと思うぜ!』
「え、そんなのが分かるの?すごい...。」
刀を振り集中している姿に時雨は魅入る様に見つめていた。
数分の間、刀を振り続けていた朝陽は力が抜けるように膝を床に着け地面に倒れ込んだ。
「!?に、兄さん!!!」
咄嗟に時雨は叫んだ。
朝陽に駆け寄りもう少しで触れられる距離に来たところで、朝陽の身体からシュオンがフワッと出てきた。
「わっ!!」
時雨の驚いた声に驚きシュオンと朝陽の体が跳ねた。
「ッ!!びっくりした〜。時雨か...どうしたんだこんなとこ来て。」
朝陽は床に体を寝かせたまま聞いた。
「あー...いや、特に意味は無かったんだけど...兄さんがどんな様子で稽古してるのか気になって」
「なんだそれ。...ちょっと待ってな...体が今言う事聞いてくんねぇから...。」
『結構ハードな事してるんだな。』
_そうじゃな。とりあえずやれる所までやって見て様子を見るの繰り返しじゃからな。ずっと集中してるからその分疲労がくるのだ。
と、会話を交わしているとあまりの疲れに朝陽がスースーと寝息を立て始めた。
「あれ、兄さん寝ちゃった?」
時雨が朝陽の顔を覗き込むと完全に眠りに落ちていた。
_すまぬが少しの間そっとしてやってくれ。
シュオンは朝陽を気遣うようにそう言った。




