新たな武器?
目が覚めると朝陽の姿は無く、壁に寄りかかって眠っている武尊の姿だけがあった。
時計は7時前を指していた。
「兄さんもう起きたのかなぁ」
時雨はフワァと欠伸をして食卓の方へ向かった。
食卓へ向かうと1人分のご飯にラップが掛けてあり置いてあった。
ガラガラ!と家の扉が開き、朝陽は何処かへ行き帰ってきたとこだった。
「おはよ〜。なんかあったの?」
父と朝陽に向かって時雨が言うと、川岸さんへ回覧板を届けに行き色々貰ってきた事を教えてくれた。
朝陽は話終わるとそそくさと道場の方へ向かっていってしまった。
「時雨、飯食うか?」
「あ、うん!食べようかな。」
「温めるから少し座って待っててくれ。」
父は時雨にそう言うと手早くご飯を温めてくれた。
「ありがとう!いただきまーす!」
パクパクと口の中に入れていく。
「最近体の調子はどうだ?」
優しい口調で父は時雨に聞いてきた。
「んー?まぁ元気かな!」
どうして急にそんな事を聞くのかな?と思いながらも時雨は答えた。
「特訓?の方はどうなんだ?」
「あぁ!妖気とかそういうのか!ん〜順調とは言えないかもしれないけど、少しづつ分かってきて出来ることも増えていってるよ!」
「そうか、なら良かった。」
本当にホッとした表情を父は浮かべた。
「妖術で武器を作る事もちゃんと出来たんだ!脇差なんだけど、擬人化なんてしちゃってさ!武尊っていう名前なんだけど相棒出来ちゃった!」
生き生きと喋る時雨の様子を見て、父は優しく微笑んだ。
「そうか。いつか俺も会ってみたいな。」
「勿論だよ!起きてきたら紹介させて!!」
父の言葉をとても嬉しく思った時雨は嬉しそうにそう言った。
ご飯を食べ終わり、時雨は一旦部屋へ戻る事にした。
ドアを開けるなり
「武尊〜起きてるか〜?」
と声を掛け武尊の方を見ると、まだ寝ていた。
(よく寝るなぁ...武尊が起きるまで妖術のコツちゃんと分かるように練習でもしていよう。)
時雨は目を閉じ妖気に集中した。
(ギュッと強く妖気をまとめる...もっと強くてもっと固く...)
武尊の時の様になかなか上手くいかなかった。
(あれ...可笑しいなぁ...うーん.....なんでだろ...)
そうこう試行錯誤していると2時間近くが経っていた。
『フワァ...おはよ。...何してんだ?』
大きな欠伸をしてようやく武尊が起きた。
「おはよ。どんだけ寝てるんだよ!」
フッと笑みを零しながら時雨は言った。
「武尊の時みたいに妖術で武器を生み出そうとしてみてるんだけど...何だか上手くいかなくて...。」
『あぁ...俺の時は完全に声が聞こえてて俺に集中出来てたからすぐできたんだと思うぜ?多分だけどな。』
武尊は首を横に少し捻らせた。
「うーん...そういうものなの?」
『さあ?人によるからそうだ!とは言えないが恐らくな。まぁ、そんなに焦るこったあねぇよ。コツコツやっていけば慣れるさ!』
少し他人事だと思っていそうな感じで言った。
「確かに...。」
時雨は少し納得いかなかったがとりあえずは頷いた。
妖気に意識を集中させ、作り出したい武器をイメージする事にした。
(攻撃だけに特化しててもなぁ...あ、盾なんか良いんじゃないか!?)
最初はどうしても上手くいかなかったが1時間程、あーでもないこーでもないと言い考え続けているとようやく妖気は白い塊のようになり色を付け始めた。
(お!?盾...盾...どんな攻撃にも耐えられるような強い盾。守りたいものをちゃんと守れるような頑丈な盾...。)
時雨は頭の中でどういう盾かを強くイメージした。
すると緑色の光へと妖気が変化し瞬く間に眩しく光った。
「ッ!出来た!!」
妖気が光った地面には、時雨の体の大きさより少し小さめではあるが神々しい光を持つ盾があった。
『おお!出来たじゃねぇか!流石だな!!』
新しい武器を生み出せた事を自分の事のように武尊は喜んでくれた。
その武尊の喜んでいる姿を見て時雨は”武尊が1番最初に生み出せて良かった”と心底思った。
『早速どのくらい使えるのか試してみようぜ!』
盾を見ながら武尊は嬉しそうに言った。
「そうだね、実践で使えなかったら意味ないし...そうしようか!」
時雨と武尊は盾を持ち庭の方へ向かった。
庭は竹林に囲まれていて外からは覗けないようになっていて、広々走り回ったりできるくらいの大きさがある。
「ここなら迷惑にならないし、試すのに丁度いいと思うんだ!」
庭へ出た時雨は武尊に確認するようにそう言った。
「確かにそうだな!...よし!じゃあ始めよう。」
時雨は盾を構え、腰と足、腕に精一杯の力を込めた。
すると武尊は宙返りしたかと思うと姿を脇差に変え時雨目掛けて飛んできた。
ガーン!キーン!盾と脇差が激しくぶつかり合う金属音が響く。
精一杯踏ん張っていた時雨はあまりの衝撃によろめいた。
時雨がよろめき体制を崩してもなお武尊の攻撃は止まない。
『激しく燃えろ、心を燃やせ、火炎斬!!!』
武尊がそう叫んだ途端、脇差が炎で包まれ回転を加えて様々な方向から時雨の方に飛んできた。
「ちょ!え!待って!!」
時雨の叫びは虚しく空に消え、最初よりも強く激しく熱さを伴う攻撃が来た。
ガツン!!!と激しい投打と炎でメラメラ燃える熱さに時雨は思わず立っていられなくなり膝を着いた。
「ッ...!!」
痛みに耐える時雨にハッ!となり武尊は元の姿に戻った。
『す!すまない!大丈夫か...?』
心配そうに時雨の肩を持った。
「だ、大丈夫!それにしてもなにあの技!すごいね!」
少し痛そうな顔を浮かべながらも時雨は何処かワクワクしている様子だった。
『あれは初めて俺が覚えた技だ!何処まで盾が耐えられるのか気になって...初めてなのにやりすぎちまった...すまん...。』
時雨とは対象的に落ち込んでいる武尊。
「初めてだったらテンション上がるもんね!僕も同じだから分かるよ!全然平気だから気にしないで?ね?」
ニコニコと笑う時雨を見て武尊も笑顔になった。
『そうか...!なら良かった、本当に。』
そう言い時雨と武尊は2人して笑いあった。




