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兄弟×鬼  作者: テンマル
16/21

思い出して

外の方へ視線を向けたシュオンは昔の事を思い出していた。



もうあれはいつ頃の話であっただろう...。


いつかのこの島は賑やかで暖かい人々達で溢れていた。

自然は豊かで人口自体は少ないが交流は頻繁に行われていた。

子供達のはしゃぐ声。

大人達が島の事をもっと賑やかにしようと話し合う時間。

お祭りに備え、舞を練習する巫女。

近所の人にイタズラして、怒鳴られ泣いている子供。

神社に何かを願い毎日お祈りに来る島の者達。

何処もかしこも生き生きとしていた。

それがいつからか鬼が出てしまうようになった。

最初こそ島の者達は鬼達に苦戦し、大きな被害を受けた。

年月を重ね知恵をつけ、対抗する手段を見つけた。

我と共に島を守ろうと奮闘した島の者が、一人、また一人と命を落としていった。

最初こそ、島の者は我の存在を頼りにし

「知恵を、お力をお貸し下さい!!」

と懇願し祈ってばかりだった。

我も初めの時は何が何だかよく分からず、頼られた所で出来ることはとても少なかった。

共に鍛えていくうちに力が付いていき、島の者達は絶望の様な表情から少しづつ希望を抱いていけるようになった。


この島に鬼が出た最初の頃は人口の半分以上の命が失われてしまった。

この事を知っているのはきっと我だけであろう。

悲惨すぎたこの話は誰も頑なに語り継ごうとしなかった。

いや、きっとあの頃の者達はその時のことを"自分達の失敗"だとでも思っていたからかもしれない。

この事を語り継がれるのが恥だとでも思ったいたのだろう。

事実、当時の者達は涙を流し、それぞれ口を揃えてそう言っていたのだから。


幾度か鬼達との戦いを得た今でも、ふと考える事がある。

この戦いはいつまで続くのだろう。

永遠に終わる事がないのだろうか。

年月が経ち命が失われる事は減ったが犠牲がない訳では無い。

また島の者達が涙する事があるのだろうか。

神と称えられている我は...そんな大層のものでは無い。

神ならこの戦いをもっと早く終わらせられたのでは無いだろうか...。

考え出すとキリがない。

そして重く黒い何かに押し潰されそうで立っていられなくなってしまいそうになる。



そんな事を一人シュオンは考えていた。



暗い、今にでも泣き出してしまいそうなシュオンの横顔を見て朝陽は思った。

(きっと自分には想像出来ないくらい沢山の事を考えて、一人で抱え込んで来たんだろうな...慰めの言葉なんて何も思い浮かびやしない...。俺の事を思って笑顔で居ようと頑張っている姿を見てたら...なんかすげぇ辛い。...俺に出来る事はなんだろう.....。やっぱり強くなるしかないかな!強くなって頼ってもらえるようになる!...そんでいつか...心の底からシュオンに笑って欲しいな...。)

直ぐに声を掛けるのは何だか違う気がした様で朝陽はシュオンの隣に並んで、一緒に外の方を向いた。


少しの間二人は共に並び外を見つめていた。

_稽古...始められるか?

シュオンは静かにそう言った。

「勿論!とりあえず長い間一体化出来るようにしたいな!!」

待ってました!と言わんばかりの勢いで朝陽は答える。

その反応にフッとシュオンは笑みを漏らした。

_そうじゃな。ではゆくぞ!

二人はそうしてまた稽古を始めるのだった。

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