一体化
朝陽はゆっくり深呼吸をして日本刀を構えた。
_刀に妖気を纏わせるようイメージをしてみるのじゃ。
シュオンの言葉に耳を傾け、妖気を纏わせるイメージをした。
すると、妖気が刀の周りをグルグルと回り静かに刀を覆った。
_ずっと刀に妖気を纏わせられるように気を抜くな。この日本刀はそのままでも立派な強さを持っておるが、妖気を纏わせてこそ本来の強さを発揮させる。まずは稽古をしている間それをキープさせられるようにしてみよ。
「わかった、やってみる。」
シュオンの説明をきちんと聞きつつ、イメージを崩さないように朝陽は手元に集中した。
ただ刀を握っている状態ではすんなり妖気を纏わせられたが、刀を振ったり動いたりするとフワッと妖気が散ってしまう。
(もっと...もっとだ...。もっと強く纏わせるように...どんなに早く動かしても散らないように...。)
朝陽はそう心の中で強く念じ思った。
それでもやはり妖気は散ってしまう。
シュオンは約1時間程度その様子を見ていた。
_朝陽、1度我と一つとなってみるか?
急にシュオンがそう言うので朝陽は何を言ってるのかよく分からずポカーンとした表情を浮かべた。
_お主の体に我は宿っておるのじゃぞ?前にも言ったではないか。共に鍛えると。
「あぁ!そう言えばそうだった!...でもいきなり出来るものなのか!??」
朝陽はキラキラとした目でシュオンを見た。
_上手くいくかどうかはさておき、出来ないことはないぞ。だが...お主自身違和感がすごいやもしれぬがな。
シュオンの配慮の言葉を押しのける様な食い気味で
「やる!!やってみたい!!!!」
と朝陽は答えた。
_では早速するとするか。身体を楽にして深く深呼吸してみよ。後は我に任せるのじゃ。
コクッと朝陽は小さく頷くと目を閉じ肩の力を抜いた。
_ゆくぞ。
シュオンは優しく朝陽に声を掛けた。
朝陽はジワァと身体が熱くなるのを感じシュオンが自分と一体化するのを強く感じた。
全身の血が身体中を駆け巡る様な不思議な感覚と全ての物を自由に操れるという自信、今まで感じられなかった山の方から感じれる淀みの様な雰囲気、圧倒的にそれがいい物じゃないという確信が一気に流れ込んできた。
朝陽はその感覚に戸惑いを覚えた。
その戸惑いを感じ取ったシュオンはゆっくりと朝陽の身体から抜け
_違和感とだけじゃ説明が足りなかったかもしれぬな...すまない。...平気か?
と心配そうに朝陽を見つめた。
「いや、そんな事ないよ...。初めての感覚にはすげぇ驚いたけど...なんか...凄かった...。...それから今の俺じゃ見えないのが見えた...山の方に...あれって?」
_我との感覚等が共有されたから見えたのであろう…あれは淀みじゃ。鬼達の存在が確実の物になろうとする前兆のようなもので山の空気が汚染され始めておるのだろう。まだ薄いから害は出ないはずじゃが...もっと濃くなると害のあるものに変化してしまうんじゃ。
シュオンは緊張した面持ちでそう答えた。
「…そんな.....。シュオンはずっとあんなの見続けてたのか...?」
心配そうな少し泣いてしまいそうな表情を浮かべ朝陽はそう聞いた。
_そう心配するでない。確かに見えて嬉しいものとは言えぬやもしれん...だがアレが見えるおかげで後どのくらい時間が残されているのか分かることが出来る。鬼に備えての準備期間が出来るのじゃ。
シュオンは朝陽の心配を少しでも取り払おうと優しく答えた。
「そうかも知んねぇけど...。もっと沢山一体化しようぜ。そしたらシュオンが今まで一人で見てたモノを俺も一緒に背負える!!」
ニカッと笑う朝陽を見てシュオンは心が暖かくなるのを感じた。
_お主は優しいんじゃな...。
呟くようにそう言うと外の方へ視線を向けた。
この物語を読んで頂きありがとうございます。
ここで少し登場人物達の紹介をしようかと思います。
読んでいく内に(あれ、○○って誰だったかな?)なんて事になっている人が居るかもしれないので簡単に説明します!
⦿兄(四季 朝陽)
主人公的存在。とても活発でよく笑う少年。
⦿弟(四季 時雨)
兄と比べると静かな方で勉強熱心で頑張り屋の少年。
⦿神主 父(四季 圭佑)
家族を愛している大黒柱。神社の神主。
⦿母(四季 雪乃)
家族を優しさで包んでくれていた優しい母親。現在消息不明。
⦿シュオン(守隠) 神様
兄である朝陽の体に宿る神様。唯一鬼を封印し抑え込めることの出来る存在。
⦿武尊
時雨が妖術で生み出した脇差の擬人化。時雨の相棒。
⦿川岸 洋三 (通称かわじぃ)
近所に住んでいて昔から良くしてくれているお爺さん。
今のところこんな感じです。




