守ろうと
朝陽とシュオンはひたすらに特訓をしていた。
「そういえばさ、鍛えたりとかに必死で忘れてたんだけど時雨にシュオンの事紹介したいんだけど良いか?」
_ん?あー、そうじゃな構わんよ。
「やったー!!そうと決まれば早速!特訓の成果もお互い知りたいしな!!」
朝陽はシュオンにそう言うと勢いよく道場から飛び出して行った。
_全く、騒がしいやつじゃのう。
やれやれ、と少し呆れつつもシュオンは後を付いて行った。
やっと少し力が付いてきてワクワクしていた朝陽は時雨の部屋へまっしぐらに走った。
バタバタバタッ勢いよく床を蹴った。
もう少しで部屋へ着くという時に時雨の部屋から何か話し声が聞こえてきたので朝陽は咄嗟に足を止めた。
「話は大体分かったよ。それなら他にも力を貸してくれる妖気?が居るって考えで良いのかな?」
『あぁ!勿論だ!まぁ、そいつらが何処にいるとまでは知らねぇんだけど…いつの間にか来るんじゃねぇかな。』
「僕が力を使いこなせるようになったらその確率って格段に上がるよね?」
『そりゃそうだろうな。だけど今そんなんじゃあ見込みは薄いぜ。もう少しコツを掴むこったぁな!』
「うっ…ごもっとも。」
時雨は誰と話してる様だったが明らかに父の声では無かった。
(…ッ!もしかしたら鬼関係何じゃ…!!!時雨が危ない!!)
そう朝陽は思い勢いよく部屋の扉を開けようとしたその瞬間。
『おい、そこに居るのは誰だ。』
時雨じゃない誰かが確かに朝陽に向かってそう言った。
先程の楽しそうな声ではなく少しドスの効いた声だった。
ドキッと体が跳ねたが意を決して時雨の部屋のドアを開けた。
「!?兄さん!?」
時雨がもし危険な状況に陥っていたらと、心配していた朝陽に向かって時雨は元気そうでもあり何故?と言いたげな表情を浮かべていた。
「いや…ちょっと用があって来たら話し声が聞こえて…。」
朝陽は正直どう言うべきか返答に困っていた。
すると、
_おや、久しいではないか。
シュオンが出てきて時雨と一緒に居た男に向かってそう言った。
『シュオン殿!!また会えるとは嬉しいぜ!』
その男はシュオンを見た瞬間とても穏やかな表情を浮かべた。
「え、いや、知り合い?」
あまりにも普通にシュオンが声をかけるので朝陽は驚きを隠せなかった。
_あぁ、こやつは前の災いが起きた時に共に戦った戦友の様な存在じゃ。
『シュオン殿にそういう風に言って貰えるのは鼻が高いなぁ!』
3人のやり取りをキョロキョロと時雨は見ていた。
その様子に気付いたシュオンはいち早くそれに気づき、
_急な事で驚かせてしまったな、朝陽の弟、時雨よ。そなたとこうして会って話すのは初めてじゃな。我はシュオン。いわゆるこの神社の神様みたいなものじゃ。そして兄である朝陽に宿っておる。
そう淡々と説明した。
「か、神様!?あなたが!?」
神様だと聞いた時雨は慌てふためき正座をしてシュオンに向き直った。
「え、えっと…初めまして。ご存知かと存じますが…時雨と言います。えっと…。」
モジモジとして何を言ったら良いか分からない様子だった。
そんな時雨を横目に横にいた男が朝陽に向かって話してきた。
『あー、あっちは自己紹介してるみてぇだし俺も一応…。俺は武尊つーんだ。時雨が妖術で武器を生み出す事が出来るって事は知ってるよな?それで俺が作られたんだ。まぁ…なんつーか時雨の相棒って事だ!』
少し気恥しそうに自己紹介をした。
「え!もう作れるようになったのか!!…すげぇ…。…ってそうじゃなくて、俺は時雨の兄の朝陽だ!最初は時雨以外の声が聞こえて心配になっちまって…盗み聞きみたいな失礼なことしちまった…すんませんでした!」
朝陽は武尊の正体が分かってもホッとした。
『別に謝るこったーねぇよ。そりゃ知らねぇ間に居たら驚くだろうし心配して当然だと思う。だからまぁおあいこってやつだ!』
正直に自分の気持ちを話す朝陽に向かって武尊はニカッと笑って見せた。
すぐに4人は仲良くなった。
「兄さん、僕ね妖術がどういうのか少しわかってきたんだよ!まだまだだけど…きっともっと上手くなるよ!」
いつも何処か自信なさげな時雨は前より生き生きしている気がした。
「おぉ!凄いな!流石俺の弟だな!!俺はな妖気を上手く操れるようになってきたぜ!」
「そうなの!?僕はまだ上手く出来ないよぉ…」
『確かにまだ上手くは出来ねぇけどすぐにコツを掴めるようになるさ!』
_強くなるには沢山の修行、そして経験が必要じゃ。焦る必要はない。
シュオンは優しく微笑んでそう言った。
「そ、そうですよね!僕頑張ります!兄さん達に劣らないように!!」
「劣ってるとかそんなんねぇよ!俺達皆で強くなるんだ!俺と時雨にはシュオンと武尊が居るんだから大丈夫だ!」
励まし合い楽しそうに話す空間は心地の良い時間だった。
話が盛りあがったり特訓の成果をお互い見せあったりしていく内にあっという間に暗くなり、はしゃぎすぎた朝陽と時雨は眠りについた。
『シュオン殿…ちょっと良いだろうか。』
2人が眠りにつくと少し深刻そうな表情で武尊がシュオンに言った。
_あぁ、勿論じゃ。
その空気を悟り短く返事を返した。
武尊はこれからの事、そして島での災いである鬼の事を心配していた。
_そなたの言いたい事はよく分かっておる。だがまだ2人は未熟じゃ。それに直ぐに鬼が出てくる訳では無いじゃろう。…まぁモタモタしていると痛い目を見るハメになるじゃろうがな…。
『この2人にできるだろうか…。正直不安がデカすぎる…。』
_不安なのは分かるが信じようではないか。それに我らが付いておるのだ。この島をそして民を守って見せようぞ。
シュオンは武尊の不安を拭うように笑って見せた。
『シュオン殿の笑顔は本当に不安を消し飛ばしてくれるな!そうだよな…俺が不安でいるときっと2人にも伝わっちまうだろうし…うん、やってやるぜ!』
_その意気じゃ!
シュオンと武尊は今までよりも強く守ろうと誓い合った。




