妖術で武器を
朝陽とシュオンが地道にコツコツ特訓をしている間、時雨も又地道にそして着実に力を付けていた。
最初は妖気を少し操る事が出来る程度だった時雨だが、思うように妖気を操る事が出来るようになった。
妖気を妖術に変え武器を生み出すというのも後わずかで掴めそうな気がしていた。
「ずっと妖気に集中してたせいか体が重い気がするな...もう少しで武器の生み出し方分かりそうなのに...うーん...」
『モタモタしてんじゃねーよ!ったくよ!』
何処からかそんな乱暴な言い方が時雨の頭に響いた。
「えぇ!?何!?誰!?」
あたふたと辺りを見回しても誰も居ない。
『そんな事より早く体作ってくんねーと声しか出せねぇじゃん!』
「体??体を作るってどういう事?」
『あぁ!?そんな事もまだ分かってねぇのかよ。んーそうだな、妖気をこう...ギュッてすると色が見えるだろ?それが妖術の元になんだよ!そんで妖術の元になったら頭ん中で念じるっつー感じだ!』
「色...?...妖術の元?見えなかったけど...。」
『あ??とりあえずギュッてする訳じゃねぇぞ?固く強く壊れないように崩れないようにギュッてまとめるんだ。ただギュッとするだけじゃ見える訳ないだろ。分かったらさっさとやれよ!』
「な、なるほど...?」
時雨は謎の声の言う通りに今まで以上に妖気に集中し力を込めた。
『もっとだ!もっと集中しろ!』
だんだん力を込めて集中していく内に最初は白い塊のようになっていた妖気は色をつけ始めた。
『集中を切らすな!もっと強く確実に集めろ。』
返事をする暇もないくらい時雨は意識を集中させた。
「青色のモヤ?みたいなのが妖気を覆った!!」
『出来たじゃねぇか!そしたら生み出したい武器を強くイメージしろ!』
「わかった!」
使い勝手が良く最初に扱いやすそうな武器...時雨の1番に浮かんだ武器は脇差だった。
時雨が脇差のイメージを強く想った瞬間妖気を青色のモヤ、つまり妖術の元となるものの周りが眩しく光った。
「ッ!な、なんだ!!?」
あまりの眩しさに目を瞑った。
目を開けるとそこには1人の男が立っていた。
『やっとか!』
「あ!その声!今さっきまで聞いてた...!」
『俺が初めてのお前の相棒だな!』
その男はニカッ!と笑うと、まだきちんと理解出来ていなかった時雨に説明をしてくれた。
その男は時雨が妖術で生み出した脇差の擬人化だった。
時雨が妖術で生み出す武器には魂が宿る。
だが、全ての武器に魂が宿る訳では無い。
妖術の元にも人格や意識がある場合があり、その稀な妖術の元で武器を生み出す場合に魂が宿る。
そして、その稀な妖術での元が主人を選ぶ。
主人と言っても堅苦しい感じではなく、もっとラフな感じなようだった。
「そうなのか...でも生み出す前に声が聞こえたけど...?」
『あー、妖術の元にも強さが変わってくるからだな!俺は他の妖術の元のヤツらより力が強く優れてるから、妖気を操り妖術を生み出す事の出来る力を持つ者には声が聞こえるんだよ!』
「なるほど...」
『でさ、生み出したんだから名前付けてくれよ。呼びづらいだろ?』
「え?僕が?」
『当たり前だろ?名前ねぇんだけど』
「えぇ...うーん...。武尊...なんてどうかな?」
『おお!中々良いじゃねぇか!気に入った!』
突然の出会いに少しオドオドしたがとても嬉しく思った時雨だった。




