表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
固定スキル『固定』はゴミだと言われたが、敵をその場に固定してタコ殴りにできると気づいた件 〜追放された荷物持ちは、物理法則を無視して最強へ至る〜  作者: 冷やし中華はじめました
王都防衛戦(スタンピード編)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/94

英雄たちの凱旋

 デュラハンとの決着から数日が過ぎた。  スタンピードによる被害は甚大だったが、奇跡的に民間人の死者はゼロ。城壁の修復も、レンの『固定』スキルによる応急処置のおかげで驚異的なスピードで進んでいた。


 そして今日、街の中央広場では、防衛戦の勝利を祝う盛大な式典が開かれていた。


「『銀翼』万歳!!」 「ありがとう! あんたたちのおかげで助かったよ!」


 紙吹雪が舞う中、レン、アリア、ミリスの三人は、馬車に乗ってパレードの主役となっていた。  沿道には溢れんばかりの人だかり。  かつてレンを嘲笑っていた者たちも、今は声を枯らして英雄の名を叫んでいる。


「お、おいレン……手ぇ振れよ。みんな見てるぞ」 「わかってるけど……こういうの慣れてないんだよ」


 アリアは照れ隠しに不機嫌そうな顔をしているが、その耳は真っ赤だ。  ミリスに至っては、あまりの注目の多さに「ひゃうぅ……」とレンの背中に隠れてしまっている。  レン自身も、少し前までただの「荷物持ち」だった自分が、こんな場所にいることが信じられなかった。


(……悪くないな)


 レンは小さく笑い、ぎこちなく手を振り返した。  その光景を、ギルドのバルコニーからグスタフが満足げに見下ろしていた。


 ◇


 その夜、ギルド『銀の羅針盤』で開かれた祝勝会は、文字通りのどんちゃん騒ぎだった。  酒と料理が無限に振る舞われ、誰もがレンたちのテーブルに乾杯に来る。


「それでは、今回の論功行賞を行う!」


 グスタフの声が響くと、静まり返ったホールで、レンたちに革袋が渡された。


「今回の報酬総額は、特別報奨金を合わせて金貨500枚だ!」


 ドヨォォォォ……ッ!  会場がどよめく。金貨500枚。日本円にして数千万円規模の大金だ。  一生遊んで暮らせる額だが、レンたちの功績(数千の魔物撃破+将軍討伐+城壁修復)を考えれば安いくらいだろう。


「さらに、国からの正式な感謝状と、名誉勲章も授与される予定だ。……だが」


 そこでグスタフは言葉を切り、少し困ったような顔で入り口を見た。


「ここからは、俺の管轄外だ。……入れ」


 ギルドの扉が開き、重厚な鎧に身を包んだ騎士たちが入ってきた。  その先頭に立つのは、凛とした佇まいの女性騎士。  胸には王家の紋章が刻まれている。


「近衛騎士団、第三隊長のエリスと申します」


 彼女はレンたちの前まで進み出ると、恭しく一礼した。  ざわついていた冒険者たちが息を呑む。近衛騎士といえば、王都のエリート中のエリートだ。


「冒険者レン・ヴェルベット、並びにパーティ『銀翼』の皆様ですね?」 「……はい、そうですけど」 「この度のスタンピード鎮圧、誠に見事でした。その功績を聞き及び、国王陛下より勅命ちょくめいが下りました」


 エリスは懐から、豪奢な装飾が施された書状を取り出し、読み上げた。


「――『銀翼』の三名を王都へ招待する。速やかに参内さんだいし、余の前にてその武勇を語るがよい。……以上です」


 シン……と、酒場が静まり返る。  国王からの直接の呼び出し。  それは、一介の冒険者にとっては最大級の名誉であり、同時に逃れられない命令でもあった。


「王都、ですか」 「はい。王都までの護衛は我々が務めます。……拒否権はありませんよ?」


 エリスが微笑むが、その目は笑っていない。  どうやら、レンの「異常な能力」について、国の上層部が興味を持ってしまったらしい。  利用しようとしているのか、それとも危険視しているのか。


 レンは横を見た。  アリアは「王都? 強い奴いんのか?」とワクワクしており、ミリスは「王様……緊張でお腹痛いです」と青ざめている。  いつもの二人だ。


「……わかりました。謹んでお受けします」


 レンは答えた。  この小さな街で終わるつもりはない。  世界を知り、もっと強くなるためには、いずれ通るべき道だ。


「よろしい。出発は三日後です」


 エリスが一礼して下がると、再び酒場に歓声が戻った。  今度は「王都行きおめでとう!」という祝福の声だ。


 レンは窓の外、遠く北の方角にある王都の空を見上げた。  そこには、地方都市とは比べ物にならない権謀術数と、そして未だ見ぬ強敵たちが待っているはずだ。


「……忙しくなりそうだ」


 レンは残っていたジュースを飲み干した。  Fランクから始まった少年の物語は、ついに国の中枢――王都へと舞台を移す。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ