精霊竜イリスの神託
「どしよ……。」
……──。金色に光る未知のダンジョンへとひとりでポータルに入ってしまったリリー。
▫《脱出不可エリア》引き返すことも出来ない特別なダンジョン。
しかし、彼女が出した答えは単純明快だった。
「うし。こうなったら、速攻クリアしてやる!! ま。行けるでしょ」
……──ピコ、ピコン。
フィイイイン。
──ジャキン!!
幾つかの操作を実行し、メニューコンソールを立ち上げ武器を展開する。
ベータ版で手に入れたアイテム槍装備:《トライデントアタッカー》が何も無い空間からたちまち現れる。
「さあ、どっからでもかかってきなさい!!」
槍装備を構えたリリーは敵の存在を警戒し、目の前の暗闇を目を細めて凝視する。
「敵の……音は、まだしないみたいね……。」
──スタスタ。
恐る恐る。視界の前に広がる闇の洞窟をその槍を構えながら進んでいく。
暗い、松明や魔法使いの基本スキル《光呪文》が無いことから薄暗いその道を進んでいくのが少し怖かった。
だが、それ以上にこの特種ポータルダンジョンの先に何があるのか、その好奇心と探究心に突き動かされ、ゆっくりだが
前に。前に進んで行く。
……──不安や恐怖を感じ歩む足が少し怯んだその時。
──バッ、バハババッ!!
フォオオン!!
外的者の侵入を感知したのか、周りに組んであったライトに埋め込まれていた魔法の術式が展開し、あたり全体が明るくなる程にライトアップされる。
「わ……。なんだろ、ここ……敵はいなさそうだけど。」
光が灯ったその先には、神秘的な神殿がそこにはあった。壁には竜の石盤。
──そして。
「えっ!? これって……。」
目の前に映る神聖で崇高なる竜の祭壇。そこに祀られている柱状で六角形のクリスタル。
──……スタッ。
繊細なガラス作りの階段を1歩1歩登っていく。
その輝きに魅入られ、手をのばす。
クリスタルの中に眠る、青い竜の幼体。化石の様に眠っていたそれが目を覚まし、美しきその目を開ける。
「お、起きた!! ──……やっぱり……生きてる!! この、ドラゴンの……赤ちゃん……?」
「……──貴女の訪れを私は待っていました。」
「わっ!! 喋った!!」
「名をリリー。良くぞこの場所を。そんな貴女に私の力を託したい。受け取ってくれますか?」
「うん!! もちろんだよ!! やったぁあ!! これって激レアダンジョンイベント!?? わー何が貰えるんだろ」
──フィイン。
その瞬間、こちらへと語りかけていたクリスタルに眠る竜がその外壁を破壊する。
封印されていたであろう神秘の竜が力を秘めし人間との出会いによって現し世へと現出したのである。
リリーは偶然にも、その《神竜イリスの魂》を手にいれる。
アイテムドロップのマークがポップアップ通知に出て、リリーは《神竜イリスの魂》を手にいれる。アイテムのレアリティランクは『UR』最高レアリティである。
リリーのアイテムとなり、魂だけの霊体となった、霊竜イリスはさらにこう語り掛ける。
「貴女の力を少し分けて貰いました、おかげでここから出る事が出来ます、しかし──……。」
「んー? どしたの。あっ、てか。名前は──……。」
「そのままイリスで大丈夫です。」
「おっけー! んじゃ、イリスさん。力になれるか分かんないけどして欲しい事言ってみて? 今の時点の私で大丈夫ならそれに応えるよ。」
レアなイベントを踏んだのだろうと理解し、サクサクイリスの願いを叶えようとするリリー。
「……、本当ですか。リリー。やはり貴女は、選ばれし者。リリー、貴女に頼みたいのです。私のこの魂の霊体を天空の頂きにある扉、ドラゴンゲートに送り届けて欲しいのです。」
「おぉ、それっぽいクエストが早速……。」
「おっけー! イリス。私の胸にドーンとまかせておきなさーい!!」
「本当ですか? ……よろしく頼みました。リリー。」
その時。
──フィオオン、フィオオン。
鳴り響く、警告音と共に鎧だけが魔力で動く兵隊達がリリーの周りを包囲する。
「わわわ!!……これって!?」
「追っ手たちがやはり、来てしまいましたか……。」
イリスとの出会いで始まった、リリーの新たなクエストはまだまだ続く──……。
月曜日更新予定となります




