ドラゴンゲート・オンライン本サービス開始ですね!!
「キタキタキタキター!!」
「ただいま!! dgo!! よぉし!! 早速。」
2027年 12月06日、日曜日。
『Dgo』ドラゴンゲート・オンライン正式サービス開始日。
スマートメモリアに入っていたドラゴンゲート・オンラインのベータ版ソフトが購入可能の状態になる。
勿論、すぐさま購入する。数秒のロード時間を有し。インストールが完了する。
「ふふっ、もうモモも来てるかな。すぐ入れるって言ってたし。」
感動だ。これでドラゴンゲート・オンラインのあの世界「ユニオンテイル」に親友を連れ、今までのように素晴らしい仮想世界に完全移住出来るのだから。
……──スマートメモリア再設定完了。
スマートリンク可能状態、待機中。
ゴーグル、モードキャリブレート。周囲の安全を確認。無理の無い体勢を確保しオンラインを開始して下さい。
──フィン。
これより、スマートリンクを開始します。
フォオオオン!
周囲に立体グリッドが展開され、ドラゴンゲートオンラインのユーザー待機空間へと移送される。
「……あっ、あれ? 少しベータと違う。……あはは、完全版だもんね。そりゃそうか、メインメニュー画面もそりゃー違うか。」
ギュオオオオン!!! 赤い竜が何も無い空間から現れ、1つの固く閉ざされた金属製の扉が無の空間から現れる。
──ギィ。
扉に手をかざすと、自動で重く硬い扉が開かれた。
「リリー様あなたのお帰り、お待ちしておりました。ナビゲーションのナビィーです。何なりと」
「ナビィーちゃんね。はーい、よろしくー。んじゃ、えーと。そのままゲームスタートで。ユニオンテイルに繋げて」
「かしこまりました。サーバーは如何なさいますか? 現在、10のサーバーがアクティブ状態です。」
「えぇ!? そんなに?? まだ朝の6時ちょい前だよ!? みんな早起きすぎ……。」
──時刻は5時55分。
ドラゴンゲート・オンラインの本サービス開始時間は本日の朝5時半からであった。精一杯努力し45分には起きて、50分にはもうインストールが開始ログってたのに。
それなのにこのユーザーアクティビティ。神ゲー間違いなしであろう。他の強豪VRMMOを抑え、今日だけは皆Dgoへとアクセスを集中させるであろう。
あちらはきっとお祭り騒ぎ、いや。欣喜雀躍心が跳ねて喜び続けているであろう。
開発元であるVision社の凄さを改めて思い知らされる。
「んー、サーバーどしよ。ペティーとはもうあっちでフレカ交換してるからどっちかがオンラインになったらチャット飛ばすって言ってるし何処でもいいかな……。」
「って、うわぁ!! 炎サーバーやっば」
──サーバー『炎の国』ベータ版に設定されていただけあって、メニュー項目の選択欄には『初心者〜中級者オススメ! まずはここから』の文が添えつけてあった。
「えぇ〜じゃあどうしよう。初日だし狩場もめちゃくちゃ人が入り乱れてそうだし……うーむ。」
ピコン、ピコン、シュルルル。
指でカーソルを操作し選択欄をそっとスクロール。どのサーバーに行こうか再び悩み始めるリリー。
□──────────■
・炎の国 《ファイエンド》状態:混雑
・氷の国 《エルザンド》状態:通常
・ドラグニール帝国 《ドラガンド》状態:混雑
・機械ノ国 《プラティヌエネルジー》状態:中
・嵐の国 《シュトルムヴェント》状態:低
・天の国 《シエルエンパイア》状態:低
・月の国 《フル・ムーン》状態:中
・妖精の国 《フェアリリティ》状態:中
・海の国 《ゼーロイバ》状態:中
・自然の国 《ナチューア》状態:中
■──────────□
「うわぁ、どれも楽しそう。んー!! 今すぐ全部行きたい。でも落ち着け私。初期ホームはこの中から1つだよねー。うむむ、」
「よく見ると、種族適正ありそうなホームワールドもたくさんあるなぁ……うーむむ。でも、美味しそうな食べ物とかアイテム大量鉱山とかはこの機械の国とかにありそうだし……。どしよ。」
「んー〜……。」
今すぐログインしてこの世界を楽しむために一分一秒、無駄に出来ない大事なサービス開始日だが、ホームワールドの設定も彼女に取って大事な時間であった。
……──「よし、決めた!!」
──ピコン。
……──ホームワールド設定完了。これより次元転送を開始します。……ロード完了。異次元・ポータル。トランス、アクティブ。
ホームワールドを結局直感で選択し、その次元のワープゲートを通るリリーであった。
「リリーいっきまーー! す!!」
──ビュン!!!
時空の渦に飲まれ、リリーはホームワールドへの転移を開始した。
──フィイイン。バチバチバチ。
無機質な待機場からホームワールドへの転送が正常に行われ、異次元ワープが完了する。
「こっ、ここが私のホームワールド。」
Dgoの仕様上どの種族がどの場所でゲームを開始しようが構わない設定であったが、世界観に浸りたいリリーはベータ版で保存しておいた、お気に入りの妖精スキンでこの世界へとログインする。
「すっごい!! 皆飛んでる。ふああ……これ全部私の仲間の種族なんだー。きゃー可愛いー!!」
虹色で幻影的な空、張り巡らされるオーロラの世界。空中に浮かぶ飛行船の様に空に浮かび続ける妖精の渓谷のそれが──妖精の国フェアリリティ。
空は無論幻ここでしか味わえないような想的で美しい光景なのだが、流れ続ける遥か高い所から止まず、流れ続ける幾つもの滝やフェアリル達が集会場で奏でているハープの音や賑やかな音楽で心が穏やかになる。
「ふふ、好きだなぁ……この場所。」
自由に空を飛行できる透明で美しい翼をもった特殊な種族フェアリル。
自由に空を飛び回る、他のユーザー達を眺めるだけでもそれはもう楽しい事だろう。
──ピコ、ピコン。
「ありゃ、ペティーはまだか。……そんじゃ。」
フレンド画面からオンライン状態を確認する、流石にまだ彼女はオンライン状態に無かった。
「んーっ!! よし! 行こっと!!」
──シュタッ。
空の風景を十分堪能したのか、勢いよく草原から立ち上がる。
「まずはレベリングとアイテム収集を兼ねてダンジョンでも行こう!!」
メインクエストもあったが、それはフレンドとも出来る為、リリーはペティルの合流まで自由探索が出来るダンジョン攻略をめいっぱいソロでやろうと思った。
「フェアリルウィング、てんかいっ!!」
シュゥウウン。
──ビュン!!
丘の上から飛び上がり、勢いをその妖精の羽根に全て任せ空中へとダイブする。
「んーっ!! やっぱり空の風気持ちいなぁ。ふふ」
優雅でそれでいて、大胆に妖精の羽根根を羽根ばたかせて、新たな次元ダンジョンを目指し飛んでいく。
──ピコン。
ナビゲーションAIのナビィがダンジョンへのアクセスポータルの存在がここら付近にあると通知を腕に着けているデバイスに送った。
──リリー様。目的の地点が半径50メートル以内にあります。
「おっ? ほんと?? よし! んー、ここだ!!」
──ビュン!!
荒野の奥にある暗い谷の下へと急降下、妖精の街はあんなに栄えていたのにこちらの方は薄暗く、そして冷たい感じがした。
「ここ、かなぁ……。おっ!? んん。あれっ?」
リリーが降り立ったそのエリアに一際存在感を放つ、通常のポータルとは違う形状であろう、金色のポータルが出現した。
「なんだろう……、って。あ、また準備もせずに触っちゃった。まあいいや。ポータルメニューの確認画面で『いいえ』を押せば……。」
……──。
「って、えぇ!!」
シュウウウン!!
「……。入っちゃった……。」
「あれ……、どうしよう。選択画面無かったし、それに……。」
「ダンジョンから脱出するボタンが無いぃいいいー!!! どうなってるのー!!」
……──不思議な形のダンジョンにソロプレイヤーの段階で飲み込まれてしまったリリー。彼女のその悲鳴が、異次元ポータルの中にある異空間ダンジョンの中でこだました。




