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ベータ版打ち上げ宴のフルコースに乾杯です!!


──ビュン!!


リリーの飛行スキルによって釣り場であろう橋を目掛け飛んで行く。

場所はミニマップにピンマークを付けているので、システムメニューによってナビゲーションされていて快適である。


「あっ、そーだ。釣り場行く前にツバキにお願いがあるんだけど、いーい?」


「は、はい。何でしょう?」


「釣竿、2本持ってたりする?」


「あーえっと、有るには有るんですけど……。ショップで買った初期竿とノーマル竿しか無くって……。」


「おっ、2本持ってる!! おっけーおっけ。全然それで大丈夫だよ! 使わない方貰ってい? お金は払う」


「えっ!? ホントですか?? さっき一人で釣りやってたんですけど、初期竿の性能アレ過ぎて全然釣れなくて、それで2本目の竿なんですけど……。」


「いや!! 平気!! 釣れれば、何とかなる!!」


「すごい自信……。何がこの人をここまで……。あっ!! もしかしてとんでもない釣りスキルを──……」


「なわけないでしょー。そんなモン持ってたら釣竿かしてー! なんて言うわけないよ〜」


彼女の羨望の眼差しの期待感をへし折るように正論でツバキを諭す、リリー。


「あはは……、そうですよね……。」


「まっ、見てなって!! 私の釣りさばきと、私自身の素のラック力をみたら腰抜かすって!」


◇◆◇


「……抜かしました……。」


……──ズシン!!ビッシャアア!!


ピチピチ、ピチピチ。バン!!バン!


大きな水しぶきと共に、ボロっちい釣竿1本で巨大な魚を湖から釣り上げるリリー。


「へへ、でしょ? この世は運と気合い気合い!! わっはっはー!」


リリーは巨大魚を担ぎながら、その場を去っていく。


ピチピチ、ピチチ。


「……。私の方がいい釣竿なのに…。チビっちゃい。う、うぅ……。待ってくださいよー!! リリーさん。」


その後リリーとツバキは始まりの街、始まりの森や隣のエリア炎の渓谷などで食用可能なモンスターをデュオで狩りに狩り。絆とEXP(経験値)をその日のうちに高めに高めていった──……。


「リリーさん、ふぁああ!! つかれましたぁ……。」


「んーーーっ。流石に狩り疲れたね……。ごくっごくっ……ごくっ。ふぅ。ん、美味し。ありがと」


ツバキが調合パレットから即席で作った、栄養ドリンクを貰い、ちょうど喉も乾いていた様であまりの美味しさから一気に飲んでしまった。


美味しい事も去ることながら、ゲーム内HP、MPも全回復する。まるで1日グッスリ寝たような身体の充実感、このスタミナ及び気力回復の速さもフルダイブ型のゲーム醍醐味の1つだろう。


「いえいえ。こちらこそ色々ありがとです。リリーさんのツアーとても楽しかったです。」


「ふふっ、楽しんでもらえて私も嬉しいよ、でもまだまだぁ!! 本当の夜はこれからだよ? ツバキちゃんっ♪」


「へっ……?」


◇◆◇


始まりの街―旅人の展望所星見の丘―


「うぇえええー!!! ここって〜!! うわ!! すっごい景色……。わ! 凄い、流れ星がこんなに!!」


初心者用の集会場の上に建設されたこの丘はとても賑わっており、夜になると数多のユーザーが行き交う人気スポットである。


その最上階は更に競争率が高く、ベータ版の最後はここに立ち寄ろうと思っていたリリーはこの為に、最適な狩場でツバキとモンスターを狩り続けていたのである。


「ギリギリ、チケット余っててよかったね!」


「ま、競争率もそうだけどベータでこのめちゃ高なチケット買える層も限られてくるよね……。かーっ!! 初日で1万ゴールドの入場券は値が貼ったねー!!」


「はぃい……。もう私クタクタです……。」


「あ、そっか。ツバキは私のためにだけさっきのドリンク作ってくれたから自分の分は飲めてないのか……。」


「あはは、気にしないで下さい。あとは落ちて寝るだけですから……。」

やり遂げた達成感によって、疲労困憊の脱力感溢れるへとへとな表情を浮かべるツバキ。


「さ、準備準備。ツバキはそこでゆっくり待ってていいよ。今、とびきりのご馳走を振舞ってあげる! さっきのお礼にね。ふふふ」


「わ、わぁ……。それは…。とても、うれしい、で、すぅ……」


──スヤ、スヤスヤ。スヤリ。


だんだん言葉がしどろもどろになっていき、虚ろ眼だった目が完全に閉じて、棒で線を引いた様な寝顔になり。ヨダレを垂らしだらしなく彼女は眠りについてしまった。


──……。


「……きて、お、きて。」


「ツバキちゃーーん、起きてー!! 出来たよ!」


「は、はひぃ!!」


時間にして30分くらいか、ぐっすりと寝落ちてしまったツバキ。リリーの声に起こされて起きると何やらいい匂いがその眠気まなこを覚醒させる。


「……へ!! えー!! 何これ!!」


──バーン!

目の前に並ぶ、調理された料理の数々。

正にフルコース。今日採りに採った。狩りに狩ったモンスターや山菜、魚の数々がやまてんこ大盛りで調理された状態で大きなお皿に綺麗に盛り付けられており、いい匂いが辺りを包んでいた。


「ふふーん。どう? 私の料理スキル。やる気になればこの通りよ。美味しそーでしょ?さ、頂きましょ。」


「す、すごい凄すぎます!! ど、どこから手をつけていいか……。」


──ゴクリ。


「ん〜っ!! 我ながら美味しそーっ!! へへ、へへ。んっぐ。」

今にも溢れだしそうなヨダレを我慢して固唾をのむ。ドリンクで気力体力は回復したとは言え、お腹はペコペコだ。


「よし、それじゃあツバキ。食べよっか。」


「は、はい!! いただきます!! うわぁー!! すっ、すごい。ご馳走がこんなにも…!」


「頂きまーす!!はふっ。あんっぐ。」

目の前には香り立つ、彼女らの身長より高い丸焼きの虹色フィッシュ。それにホーン・ワイバーンの骨付きステーキ。取りにとったマグマベリー100パーセントの芳醇な香りがする美しいジュース。など、2人で食べるには余りにも豪華すぎる料理が所狭しと並べられていた。


……──


「んー!!」


「こっ、これは……。」


「「美味しー!!!!」」


──ヒュー、ドカン!!!


バチ、バチバチ。


丘の上から打ち上がる『ファイアフラワー・ラビット』からの祝福の花火。空を飛ぶ穏やかな性格の『ボルケイノドラグーン』の背中から発射される鮮やかで美しいイルミネーションの様なキラキラした複数の花火が打ち上がりそれはとても幻影的であった。


「良い、ベータだったね。ありがと! ツバキ」


「ええ、こちらこそ。リリーさん」

うるうると輝くツバキの瞳は幸せな気持ちでいっぱいであろう。


──2人のベータ版、最後の夜はこのフルコースの美味しさ、ベータ版エンドロールの花火の美しさはこの先決して忘れられない物となった……。

これにてベータ版編は終了です、いよいよ明日からは本サービス開始?通常通り、朝更新予定です!! 乞うご期待。続きます。

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