神々に抗う人々 その9
超大型隕石の外見が変わっても、怯むことなくブレイヴァーと神威弐式は攻撃を続けた。だが──
『く、傷一つ付かない、だと!?』『だめだ、槍で刺してもボウガンで撃っても通じている感じがしない!』『こちらは僅かながらヒビが入った!』『こちらはダメだ、大斧の重量を生かした一撃でも僅かなヒビすら入らない!』
ごくわずかな報告を除いて、宝石のような姿となった超巨大隕石には傷をつける事すらできていなかった。が、僅かであってもヒビが入った箇所が存在する事により解析班は動く。なぜ特定の場所にだけはヒビが入ったのか、を短時間で徹底的に調べ上げ、その理由に到達して見せたのだ。
『傷が付く場所と付かない場所の解析が終わりました! どうやら、この超巨大隕石には目があるようです! 目と言っても我々の様に物を見る目ではなく、木や石などにある特定の場所に攻撃をあてると割れやすいという方の目です! ヒビが入った場所を調べると、一定のラインが確認できます! そのラインがどこにあるのかを各機に情報として送ります! その周囲を攻撃してみてください!』
解析班からの情報が各機に伝えられ、どこを攻撃すべきなのかの情報共有がなされた。当然その後は猛攻が超大型隕石に対してくわえられたのだが、ここで驚くべき情報が解析班から司令部に伝えられる。
『報告です! あの隕石の目の正確な位置は各機体の奮闘によって割り出しが進んでいます! あと数分もあれば、完全に把握できるかと。ですが、それと同時に大変な事実が判明しました! あの隕石は、目周辺に攻撃を受けると、瞬く間に自己修復を行っている事が確認できました! 動画も加えて報告します!』
動画を見た司令部は、目をむく事になった。多くの機体による近接攻撃で目周辺にヒビが走るが……少しするとそのヒビがきれいに消えてしまうのだ。まるで時間を巻き戻したかのように。
『何と面倒な……! このままでは、この隕石を破壊できずに落とす事になってしまうぞ!』『攻撃による軌道修正の方はどうだ!?』『ダメです、現時点ではあの超巨大隕石はマルファーレンスの首都に直撃するルートのままです! 各機は必死で努力していますが、現時点では効果が認められません!』
司令部と解析班でいくつものやり取りが行われるが、事態は好転したとは言えないままだ。と、ここで如月指令が発言する。
「一つ、解析班に質問がある。あの隕石の目を正しく読み取り、そこにブレイヴァーの大剣を突き刺して楔とし、破砕するという手段はとれないか?」
要は、ピラミッドなんかを作った時に、古代の人がやったという方法をある程度取り入れた行動である。隕石のサイズがぶっ飛んでいる為、楔の代用品となりうるブレイヴァーの大剣やランス、槍などを突き刺し、そこ起点として衝撃を与え、無理やりにでもヒビを大きくして破砕してはどうか? と言う事である。
『確認します! ──まだ情報が足りません! ですがもしあの超巨大隕石の目の中でも特に脆い箇所があれば……不可能ではないかもしれません! 各機に突き刺せないかを試させます!』
この解析班からの指示を受けて、各機はより明確な超巨大隕石の目を探す事と、大剣を突き刺せる脆い箇所の発見に走り回った。大体37分後、目の割り出しはほぼ完ぺきとなり……そこからさらに52分ぐらい後に超巨大隕石の目の中でも、大剣や大型のスピアを突き刺せる箇所がある事を確認した。
『合計17か所、突き刺せる場所があることが判明しました! ですが、実際に突き刺しては見ましたが、その後にハンマーなどで大剣やスビアの尻を叩いて隕石に衝撃を与えて破壊しようとしても、その行為によって隕石にダメージが入る様子が確認できません! 恐らく、相当な力で押さなければ効果がありません!』
との情報が、前線から解析班と司令部に届けられる。
「ブレイヴァーによる大型ハンマーによる攻撃でもダメか!」「剣の尻を蹴りで押し込んでいる機体もいるが……だめか、剣が押し込まれていない」「各国に配布された機体の中でも、パワーは間違いなくブレイヴァーが一番優れているんだ。神威弐式はもちろん、ソーサラーやランチャーでも無理だろう」「息のあった3機が限りなく同時に大型ハンマーで打ち込んでいる姿も確認できたが、あれでもダメなのか!?」
有効な一打に繋がらない。まだ何かが足りない……と、そこで司令部にいた一人がこう口にした。
「もしかすると、光殿が乗っている神威参特式のパワーアップ状態ならどうだろうか? あの機体のあの状態なら……隕石の中に衝撃が届くのではないだろうか?」
実は、口に出さなくても皆がその可能性は考えていた。一機で大型隕石を真っ二つにして見せたパワーを誇る神威参特式のフルパワー状態であれば、届くのではないかと。更に、これといったほかの案が今は出てこない。その状況に、如月指令は目を閉じた。
(また、総理の肩に荷物を増やしてしまうのですか。しかし……他に有力な案が無いのも事実。総理、申し訳ありません)
そう心の中で詫びた如月指令は、指示を出す。光が駆る神威参特式のフルパワー状態による超大型隕石の破砕作戦を。フルパワー状態は機体だけではなく光の体にも負担を強いる。それを知ってなお、そうせざるを得なくなった如月指令は下唇を無意識のうちに噛んでいた。
「これより、この機体による隕石への攻撃を開始する。まずは6番に攻撃を仕掛けてみる。付近にいる機体は退避して欲しい」
司令部からの作戦指示を受け取った光は、再び神威参特式をフルパワー状態に移行させてさっそく攻撃を試みる事にした。既に剣が刺さる場所には1から17までのナンバーが振られており、その中で一番近かった6番に向かっていた。
「現地に到着、刺さっている大剣も確認。これより神威参特式で大剣の尻を殴って楔を打ち込む形の破砕行動を行う! おおおっ!」
光の気合を込めた神威参特式のパンチは、大剣を隕石の中へと打ち込むことに成功した。また、そのことによる周辺のダメージも無数のヒビとなって表れた。
『通じたぞ!』『明確にダメージが入った!』『行けるぞ! これなら──』
しかし、喜ぶのはそこまでだった。拳を通じて剣を打ち込み終わった神威参特式が少し離れたとたん、打ち込んだ大剣が吐き出されるような形で隕石の内部から追い出された。その直後に隕石はあっという間に自己修復してしまい、傷の無い姿へと戻ってしまっていた。
『なんだと!?』『撃ち込まれた剣が吐き出された!? あれじゃダメなのか!?』『なんなんだこいつは! 色々とおかしいだろう!』
その現実を見せられた各機のパイロット達からは、次々とその様な言葉が漏れ出していた。一方で光は、その現実を見た上で別の考えを持つに至っていた。
(ある程度打ち込んだだけじゃ通じないのだと言うのなら……あの剣が撃ち込まれた目の部分を、草薙の剣でぶった切ればどうなる? 目に入ったヒビから草薙の剣による一撃が中に侵入すれば、この超巨大隕石と言えど……大きく斬り裂けるのではないだろうか? 斬り裂ければ、そこから周囲の機体が修復される前に猛攻を掛けて粉々に粉砕する事も、可能となるのではないだろうか?)
そう考えた光は、次の場所でさっそくその行動を試す。7番に突き刺さっている大剣に向けて、草薙の剣を振るおうとした。その瞬間──超巨大隕石が光り輝き、突き刺さっていた剣をすべて外に吐き出し、自己修復を行った。楔となるものが無い今の状態になってしまったので、これでは草薙の剣を振るっても超巨大隕石に対して大きなダメージを与える事にはならないだろう。
また、他の機体もこの超巨大隕石が見せた突然の行為に困惑する雰囲気を漂わせた。だが、フレグはあることを確信した。そしてその確信した内容を口にする。
『皆、今の光景を見たか? そうだ、あそこまで剣を突き刺されても大した反応をしなかったこの超巨大隕石が、剣を吐き出して己の身を回復させたな。だが、私にはなぜ突如そのような行為を取ったのかが分かった。今、奴は怯えたのだ! 己の体を粉砕できる可能性のある一撃が飛んでくると分かったから、慌てて剣を抜き、鎧を治し、引きこもったのだ! つまり! ヒカル殿の機体なら、この超巨大隕石を斬り裂ける可能性があると奴は行動で俺達に教えてしまったのだ!』
フレグの言葉に、確かにそうかもしれないといった声が上がり始める。事実、フレグの言葉の様に、神威参特式が突き刺さった大剣にめがけて草薙の剣を振り下ろそうとしたとたんにあのような行動に移ったのだから、隕石が焦って砕かれる可能性を排したとしか見えなかった。
『もう一度、今度はよりしっかりと剣を突き刺すのだ! その後、ヒカル殿にぶった切ってもらえばいい! 皆、もう一度やるぞ!』『『『『了解!』』』』
フレグの言葉に、各機がもう一度隕石の目に剣を、槍を突き立てるために行動を再開する。だが、そうはさせないとばかりに、ここに来て超巨大隕石の表面から無数の熱線が放たれ始めた。その行動を見て、連合軍側は明らかに敵は焦り始めたという空気を感じ取る。流れがまた変わった瞬間であった。
今年の夏は運動を多く行い、汗をたっぷりと流しています。
運動自体は嫌いではないので苦痛ではないんですが、汗をかいた後の始末が面倒で……
下着が汗で張り付くので、脱ぐのもひと手間。シャワーを浴びればさっぱりするんですがねぇ。




