神々に抗う人々 その4
奮戦を続ける連合軍&大和の元に、再び緊急通信が入った。その内容は、中型隕石をお供にした大型隕石が3つ急速接近中という物であった。
『再び大和の主砲による攻撃を行います! 射線に入らぬようにお願いします!』
その声に従い、誰もが大和と大和の主砲の射線上から十分に距離を取った。それらの動きが確認された後、大和が3つある主砲を各大型隕石に向けて発射準備に入る。
『カウント! 3、2、1──発射!』
大和の主砲が再び火を噴く。三つの大型隕石は爆炎に包まれて──3つあったうち2つは細かい塵になった。だが。一つはその姿を維持したまま。この状況に連合軍内に動揺が走る。
『馬鹿な、あの大和の主砲による一撃で砕けない!?』『あれだけの火力でなぜ健在なのだ!?』『マズイ、あの大きさの隕石が地上に落ちたら大災害は間違いないぞ!』
この動揺に、反射的に反応して大声を出した人物がいる。そう、光だ。
「うろたえるな! 1発で効かないなら2回3回と撃ち込むだけだ! 大和の主砲再装填までの時間を稼ぐぞ、あの大型隕石に射撃を仕掛けて少しでも前進する速度を落とすのだ! そしてなぜあの隕石がなぜ破砕されなかったのかの理由を、作戦本部は解析しろ!」
言葉と共に、神威参特式の八尺瓊勾玉を飛ばして大型隕石にレーザーを照射する。破壊こそできないが、大型隕石の速度がわずかに落ちた。
『そ、そうだ! 彼の言う通りだ!』『小型と中型の破壊にあたる最低限の人員を残して火力を大型隕石に集中しろ!』『出来る事をやるだけでいいんだ、行動を再開しろ! ぐずぐずする時間はない!』
光の行動に続いて、動揺から立ち直った各機体が大型隕石に向けて射撃を開始した。流石の大型隕石もその弾幕の量の前に速度が落ちる。その甲斐あって、大和の主砲2射目が間に合う。
『大和、主砲装填完了! 主砲発射準備! ターゲットロック、発射!』
今度は主砲全てを一つの大型隕石に合わせての発射である。その結果は……木っ端みじんに大型隕石を打ち砕いた。それを見て、連合軍の士気は回復する。
『よし! よしよし!』『良かった、これでまた今までと同じように隕石を破砕する流れに戻れる!』『解析は進んでいるのか!? 今回はどうにかなったが、次に備えたい!』
様々な声が行き交う中、解析結果が報告される。
『なぜあの大型隕石だけが大和の主砲に耐えたのかが判明! 奴はお供の中型隕石を射撃された直後に移動させて密集させていた! つまり、中型隕石を盾としていたのだ! 2射目はその中型隕石が消えていたから己が身を護れなかった! 今後大型隕石を破壊するときは、まず中型隕石をできるだけ減らしてほしい! 盾として使えなくするために!』
この情報に、半数の連合軍は了解! と返したが──もう半数は返事をしながらもやや暗い表情を浮かべていた。暗い表情を浮かべていたのは大半が日本皇国の自衛隊員。熱線を放ってくる時点でおかしいのだが、更に隕石が盾を作って防ぐ? その盾が大和の主砲を耐える? まだまだ隕石の飛来は終わりが見えないのに、これから先どんな能力を持った隕石がやってくるんだ……という不安が浮かんできたからである。
なお、残りの半数は神々の試練なのだからどんな理不尽が起こってもおかしくないだろうと割り切っている為、その様な不安を抱かなかっただけの話である。決して楽観視している訳ではない。
更に状況が変わる。小型だけでなく中型隕石までもが、己自身を燃やし尽くすかのような強烈な熱線を放ってくるようになったのである。小型隕石と比べて中型隕石の熱線は威力もさることながら何よりその太さが厄介となった。その太さによる広い範囲の攻撃により、避けきれずに焙られてしまう機体が続出したのだ。
『くそ、また被弾した! 機体耐久に警告が出始めた!』『すまない、数秒熱線に被弾! シールドが落ちた!』『く、こいつらっ!!』
明確なダメージを受け、一時撤退を余儀なくされる機体が多数現れてしまい、再び連合軍が押され始めた。更には──
『しまった、直撃を貰った! うわああああああああ!?』
一機のランチャーが中型隕石の熱線をもろに浴びてしまいバリアがダウン。熱線の直撃をそのまま受け続けて装甲を削られて──とどめとばかりに小型の隕石そのものの突撃をもらに食らってしまった。そして、機体は耐えきれずに爆散。パイロットの生存反応は、無し。遂に戦死者が出てしまったのである。他の機体もカバーしようと動いたのだが、間に合わなかった。
『くそ、ガルフォン機が!』『生命反応は──無い』『引くな! ここで引いたらあいつの命が無駄になるぞ! 弔いの為に、隕石を破砕しろっ!!』
初の戦死者を出したが、むしろ連合軍はひるまず猛然と戦う。死亡した同士の命を無駄にしてなるものかと隕石に対して攻撃を仕掛け続ける。そして、ここに来て動きが変わった部隊がいる。それは、インファイト兵装をメインに据えていたマルファーレンスのブレイヴァー部隊の一団である。
『これ以上はやらせねえ! 戦場のにおいも十分に感じ取ってブレイヴァーの感覚も完全につかんだ! お前ら、ここからは俺達が積極的に前へと出て隕石を斬り砕くぞ!』『『『『『了解!』』』』』
今までは積んでいた射撃武器をメインにしていたが、ここまでの戦いで隕石の動きを大体見切り、更に実戦で機体に乗って戦い続けた事で遂に機体と感覚を一つにできた彼らは、意を決して積極的に前に出た。ブレイヴァーの手には両手剣や片手剣&盾、槍に斧にハルバードと思い思いの武器を握りしめている。
『おおおおおーりゃあああ!!!』
先陣を切ったブレイヴァーの一機が複数の小型隕石を両手剣で左から右へと薙ぎ払う様に斬り捨てる。返す刀で迫っていた中型隕石を真っ二つにしてから両方とも蹴り飛ばして、別の小型隕石へとぶつける事で更に破砕した。
『よし、地上で戦う時と同じ感覚だ! 今ならば俺達の感覚通りにこいつは動いてくれる! お前ら、いつもの感覚でやっていい! 遂に俺達とこいつが本当の意味で馴染んで本当の実力を出せる準備が整ったって事を、思い知らせてやれ!』
そのブレイヴァーの後に続くかのように、格闘戦を隕石に対して仕掛けていくブレイヴァーの一団。これにより、押されていた戦線が徐々に前に戻り始める。ただ、当然接近戦を仕掛けているブレイヴァーへの熱線攻撃は当然多い。なので、盾を持つブレイヴァーがさらに前に出て盾で味方を護る動きでカバーした。
『盾はいっぱい予備を作ってもらっている! 使い捨てでも構わねえ! だから自分と仲間の命を護れ! これ以上仲間を死なすなよ!』
部隊の長の激に応えるかのように、彼等は前に出て果敢に隕石と戦いつつ味方を護る。もちろんこの防衛対象者は他の国の機体も含まれる。熱線攻撃を防いでくれるマルファーレンスの戦士達の動きにより、ソーサラーとランチャーの攻撃にも冴えが出てきた。
『護ってもらったままで終わるな! 彼らが守りを務めるならば我々が攻めを担当するんだ!』『彼等の勇気と動きを無駄にするな! 小型や中型を手早く壊して彼らの負担をより減らせ!』
飛んでくる熱線の数が減った事で、攻撃に転じれる機体が増えた。これにより、より前線は前へ通していく形となる。一方でそれ以上進ませるかと言わんばかりに、隕石側は再び大型隕石を3つ飛来させてきた。当然今回も中型隕石のお供付きである。
『大型隕石飛来! 近くの中型隕石を破壊するんだ!』『大和の射撃が通るようにすべく中型隕石を壊せ! 射程が長い機体はそちらに火力を集中しろ!』『護りは任せろ、熱線は出来る限り防いでやる! だから撃て!』
同じ手は食わんと皆が動く。大型隕石周囲にあった中型隕石は次々と破壊され、大和の主砲発射前にはほとんど消え去っていた。そんな状況なら、大和の主砲を大型隕石が防ぐことなど出来はしない。再び放たれた大和の主砲。今度は見事にすべての大型隕石を破砕して見せた。
『よし、お供の中型さえいなければヤマトの一撃は耐えれまい!!』『この調子で行くぞ! 俺達の後ろには数多の命がいる事を忘れるな!』『今までの借りまで、返してやる!』
などの声に呼応したのか……隕石側も、これまでより中型を増やして熱線による弾幕をより張るようになっていく。戦いは一進一退の状態になり、しばし膠着する事となる。




