その4 突然の大ハプニング、推し活より凄っ!
お時間早いですが
その4 突然の大ハプニング、推し活より凄っ!
投稿します。
読んで頂けると嬉しいです。
「うっわぁ、ワクワクするのう。
今日はいよいよハニミルのモモ君に会えるのじゃ!」
「そうだよ、天子ちゃん。大坂に行ってグッズを買うのに並んでさ〜そんで握手会もあるからさ」
「なんと!そんな素晴らしい会もあるのか!モモ君を目の前で見たら私は倒れてしまうんじゃあ……」
「いやいや、本当に気絶した人いたみたいだよ〜」
二人は朝食を食べた後、荷物をまとめている。
今日はハニミルグッズを買った後、漫画喫茶の個室を予約する。
昨日買った素敵な着物に着替え、ヘアメイクをしたら握手会とライブに参戦するのだ。
「うん、ライブ迄のタイムスケジュールもバッチリだよ。私達!」
「そうか。では楽しんでいくとしよう」
今日も空は晴れ、爽やかな秋風が吹いている。
二人は大坂に向かって、少し早めの昼食に定番たこ焼きを食べ、続けてお好み焼きも食べる。
「グッズにも並ぶし、体力つけなきゃ……ね。天子ちゃん!」
「ふふふ、良い口実ができたな美和ちゃん。
でも大坂は食い道楽じゃからの!」
二人で食べながら写真も沢山撮った。
「何だか暗い所で撮っても明るく撮れるね〜。
綺麗に撮れてるけどさ」
「そうか。良かったの」
「あはは。だね〜」
お互い、二日前に会った者同士とは思えなかった。
何をやっても、昨日みたいに財布を忘れたり、すみれ堂でのトラブルみたいなことがあっても、結局楽しくなる。
(こんなに気が合う子、滅多にいないよ)
美和はもう推し活よりも、天子といることが楽しくなっていた。
「私、天子ちゃんに会えて良かった。まだ会って間もないけど、今迄のどんな友達よりも一緒にいると楽しいの」
「美和ちゃん!私にとって美和ちゃんは初めての友達だ。ずっとずっと一緒にいたい。まぁそうはいかんが……」
「また、二人で会おうよ。東京にも行ってみたい着物屋さん、沢山あるし」
「そうか!それは是非行きたいの」
「いいね!うわぁ、また楽しみが出来たよ。
これでまた仕事頑張れるよ」
「私も仕事頑張るぞ」
天子ちゃんが笑顔で答えると、また何だか周りが明るくなった気がした。
「天子ちゃんってそう言えば、お仕事何してるの?
私は看護師。今は健康相談コールセンターだけどね」
「おっ?前の心達と同じじゃな。結構多いのかな」
「前の?以前の知り合いってこと?
割と看護師の子って多いかもよ」
「そうか。私の仕事はな、うん。こうな、人々の応援をする仕事じゃな。そしてこれという奴にはより上手くいくように応援する……」
「まさかそれってスポンサーや後援会ってこと?
凄い!やっぱり天子ちゃんてお金持ちのケタが違うんだね〜」
「う〜ん金持ちかはよう分からんが、そんな感じの仕事じゃ」
「そっかぁ。あ、ハニミルのグッズ売り場着いたよ!」
二人はハニーミルクのグッズ売り場に到着した。
「まだ12時すぎなのに13時から販売スタートで、もうこんなに並んでるよ〜」
「仕方がないのう、やはり人気が出てきている証拠なのか。美和ちゃんいざ、参るぞ!」
「うん、参るぞ!うふふ」
二人は待っている間も話が尽きなかった。いつの間にか美和は、半年前の婚約者の裏切りも天子に話していた。
「……そうか。それは辛かったのう、美和ちゃん」
「うん、でもそんな若い子に走る奴なんてこっちから願い下げだよ。逆に結婚前で良かったかも」
「うん。それはそうかも知れんが美和ちゃん、とても傷ついたじゃろう?」
「え〜、あんな男の為に傷つく?あれっ?やだ、なんで?」
美和は知らないうちに涙が出てきている自分に気がついた。
「美和ちゃん、やっと自分の心に優しくなれたの。
悲しい時はちゃんと泣かないとな。心が麻痺してしまうぞ。さあ、これを使うのじゃ」
「……ひっく」
天子ちゃんがそっとハンカチを渡す。
(私、元彼を悪者扱いばかりしてた。自分が可哀想で悔しすぎて、今迄気持ちに蓋をしてたんだ。
とても悲しくて辛かったのに……)
「私、推しのモモ君に会う前に自分の気持ちに気がついて良かった。モモ君に沢山癒してもらうよ!
天子ちゃんもありがと」
「そうじゃ美和ちゃん!こういう時はやはり推し活。
握手会とライブでモモ君に癒されるのじゃ!」
二人はまた笑顔になった。
日が高くなるにつれて、気温が上がり何だか夏のようにムシムシしてきた。
「暑いの……」
「天子ちゃん、はい凍らせてたスポーツドリンクと使い捨てクールタオル。推し活の暑さ対策は万全よ!」
「ありがとう。さすがじゃの」
(暑いけどあと少しで、押しのグッズが買える……)二人はいや、そこにいる全員がそんな思いで並んでいた。
あと少しで推し活グッズを購入する番になった時、後ろの方から大きな声がした。
「きゃあ!人が倒れた!」
「わ〜!」
声を聞いて、美和がハッとする。
(あと二人で自分達の番がくる……だけど、だけど!やっぱり私はほっとけない!)
天子ちゃんも美和を見ている。
「行こう、天子ちゃん!」
「うん、行こう美和ちゃん!」
二人は声のする方へ駆け出した。
他の皆は列から離れるとグッズが買えなくなる為か、誰も動かない。
倒れた女性に、周りの人だけが大丈夫かと声をかけていた。
「大丈夫ですか?」
そう言いながら駆けつけた美和は脈を取る。
女性は40歳手前位だろうか?体がとても熱い。皮膚を押しても戻らない。
「はい、すいません……あれっ?」
女性は立ち上がろうとするが、上手く動けない。
意識も少しもうろうとしている。
「多分、熱中症だ……」
天子ちゃんが呼びに行った、主催スタッフも駆けつける。
「スタッフさん!救急車呼んで下さい!私は看護師です」
美和の素早い指示に、スタッフもすぐに従った。
「うぇ〜ん、お母さ〜ん」
見ると、小学生位の男の子が女性の服を持ち泣いている。その時救急車が到着した。
美和は救急隊員にバイタルサイン(全身状態を診る事)を伝える。
「お母さんは大丈夫よ。直ぐに病院へいけるわ。
僕、お名前は?」
「翔太」
「よし、お母さんと一緒に病院に行くよ」
「うん。お姉さんも一緒に行ってくれる?僕、一人じゃ怖いよ」
運営スタッフが、同行しようとするが、翔太はお姉さんじゃなきゃ嫌だと言って泣いている。
救急隊員からも誰か急いで同乗してと言われる。
「大丈夫だよ翔太君。一緒に行こう」
(しょうがない。予期せぬトラブルは慣れてるもの)
美和は腹を決め、救急車に同乗した。
「天子ちゃん、はいこれ!握手会とライブチケット。せめて私の分まで推し活してきて!」
「美和ちゃん……」
搬送される病院が決まった。
運営スタッフは車で救急車の後を追うことになり、救急車は病院に向かった。
……ライブが終了した頃、美和が運営スタッフの車で会場に帰ってきた。
「美和ちゃん!」
天子ちゃんが、運営スタッフと待っていた。
「大丈夫かの?美和ちゃんからの連絡で女性は落ち着いたと聞いたが」
「うん。やっぱり熱中症だったよ。
脱水も起こしてた。それでね、そこで妊娠してることがわかったの。早く病院に行けて良かったよ。
ただ、近くに家族が誰もいなくて。
出張先から旦那さんが来るまでずっと待ってたんだ。
だって、翔太君を一人置いて行けないよ。うっ……」
そこまで言うと、美和は天子ちゃんに抱きついて泣いた。
「美和ちゃん、実は私も握手会とライブは観なかったぞ」
「えっ!なぜ?」
「うん。私はやっぱり美和ちゃんと観たかったのだ。二人で推し活したかった。だから……うっ……」
「うわ〜ん!!」
二人は大声で泣いた。あんなに楽しみにしてたのに。
でも、倒れた女性と翔太君を二人とも放ってはおけなかったんだ。
◆
二人でひとしきり泣いたあと、天子が急にこう言った。
「美和ちゃん、今日から明日の夜までは時間は空いとるかの」
「うん……だって明日帰る予定だったし」
「よし、では……」
そう言うと、天子は美和の手をしっかり握り目を閉じる。すると、二人はまばゆい光に包まれて行く……
二人はふわりと宙に浮いた。
「美和ちゃん。私は異世界江戸の神様。弁天池の弁天なんじゃよ。これは私からの今回のお礼じゃ。
美和ちゃんには私の世界に行って、いっぱい楽しんでもらうぞ」
「え?ええええっ〜!!」
美和が驚いている間に、二人はキラキラ光る神の道を進み始めた。
次回の投稿は9月24日(木)19時です。
よろしくお願い致します。
ついに異世界江戸への旅。二人はどうなるのでしょうか?
このお話は「早死して転生したアラフィフですが、異世界の江戸では人生愉快痛快です!
のスピンオフになります。




